ep.75 ガームダム王国 王都・ケルス1
ガームダム王国の王都・ケルスは、王都だけあって広い外壁に囲まれ、大通りも広く、多くの建物が立ち並んでいる。
だが、その規模の割には圧倒的に商人や人々の姿が少ない。
住宅地域にも空き家が多くあり、場所によっては治安が悪いところも少なくない様子であった。
俺とエルマは、二人でそんな王都を見回っていた。
「広いのに活気がないね・・・」
「軍事的にも経済的にも孤立した状態でしたから、人も物もあまり流れて来ていないのでしょう」
俺は、露店の串焼き店の店主に話かけた。
「そのお肉と野菜の串って1本いくら?」
「1本、銅貨6だ」
「高っ!せいぜい銅貨2くらいでしょ」
「いや、商人たちの流れが悪くて物資が不足しているんだ。
これでも安いくらいだ」
「じゃあ、やめとく」
「ああ、またおいで」
俺たちは歩き出した。
「物の品質、価格、民の生活にも大きく影響していますね」
「これじゃあ、みんな生活できなくなっちゃう・・・」
ドン
「おっと姉さんごめんよ」
「こちらこそ」
「エルマ大丈夫?」
「はい、取り返したので大丈夫です」
「治安にも影響してそうだね」
(さすがはエルマ、隙が無い・・・)
俺とエルマが、王城に戻って来ると、侍女が声を掛けて来た。
「殿下、陛下がお呼びです。
こちらでご支度を」
「はい」
(はい?)
俺は、侍女に浴場で体を洗われて、香油を付けられ、淡いピンク色のドレスを着せられた。
(まじ、お風呂も一緒、着せ替え人形状態・・・)
俺は、王の寝室へと案内された。
王が言った。
「アニス、こちらへ」
俺は、王の言葉へ従い、近寄った。
「お父様、どうされましたか?」
「うむ、父は怖い夢を見たのだ。
アニス、手を握ってくれないか」
俺は、父王・リハリドの手を両手で握った。
「温かい・・・」
「・・・・・・」
「娘よ、温かいぞ・・・
そのドレスは、お前が十歳になった時に余が与えたものだ、よく似合うぞ・・・」
「・・・・・・」
「すまない、まるでネリアが傍にいてくれるようだ・・・」
王はしばらく俺の手のぬくもりを感じていたが、言った。
「ありがとう、下がってよいぞ」
俺は、父となった王を、優しく抱擁して言った。
「ネリアもアニスも、お父様のすぐ傍にいますよ」
リハリドは、目を閉じて言った。
「二人ともよい娘だ・・・」
俺が自分の部屋に戻ると、風呂あがりのエルマが待っていた。
「アニス様、そのドレス、よくお似合いですよ」
「これはお父様が、娘のネリアに贈った大事なドレスなの。
私が着ていていいのかしら」
「きっと、着てほしいのです、王もドレスも」
「そうだね、うん、きっとそう」
俺はふと思いついた。
「エルマ、王宮探索に行こう。
広いからまだ、全部把握出来てなくて」
「ふふふっ、面白そうですね、行きましょうか」
重要事項
『面白い』『続きを読みたい』と思って頂けたら、ブックマークの登録や評価を入れて頂けるととても勇気を貰えます!
著者のモチベーションアップに繋がりますので宜しくお願いします!
本書を読んで頂いている方には本当に感謝しています。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』




