ep.74 義理の親子の契り
翌日、王都ケルスの謁見の間の玉座には、リハリド王が正装を来て座っていた。
俺は、王の前に跪いた。
リハリドが張りのある声で言う。
「これより親子の契りの儀を執り行う」
侍女が、葡萄酒の入った盃を王に渡す。
王は、一口くちにつけると、盃を差し出す。
俺は跪いたまま、それを受け取り一口くちにつける。
侍女が盃を持って下がる。
次は、王が手に持つ錫杖を俺が受け取り、それに接吻すると、王に差し出し、王が受け取る。
「前へ」
俺が王に歩み寄ると、王は俺の頬に軽く接吻をする、俺も王の頬に軽く接吻をした。
俺は、下がり、再び跪く。
王が言う。
「これにて、我リハリド=グレイスは、アニスティア=フォン=エーメガルドを、我が子とし、ガームダム王国の王太子とすることをここに宣誓する」
居並ぶ文官、武官たちが、盛大に拍手をした。
このことは、ガームダム王国の正式発表として各国に向けて公表された。
王の娘となった俺には、王室の一部屋が与えられ、王城を自由に使うことが許可された。
王都に俺たちの兵を駐屯することも認められた。
俺は、王城の応接室でレキとエルマと話をしていた。
「ふう~、儀式もとりあえず終わった~、緊張した~」
「アニス様、堂々とされていましたよ」
レキが少し不服そうに言う。
「禅譲という形ではなくなったが、継承権を与えられたから、大義名分は得たと考えてよいだろう。
アニス、昨日は勝手なことを言い出すから、ひやひやしたぞ」
「ご、ごめんなさい・・・」
(自覚ある~)
「まあ、良いではないか、話は良い方向にいったのだから」
「あとでマリーヌ殿とも相談せねばならないが、とりあえず、我らの重要拠点は、ここ王都ケルスとカルガポルとするのが良いだろう」
「それは良いが、王都は広いのに王都自体に残っていた兵はギリアム殿の私兵と近衛兵合わせて500程度だ、兵を集めないと守り切れないぞ」
「ああ、それについては、アルラ殿とラグネス殿が、カームダム王国の有力者に調略を仕掛けている。
今回の王太子が現れた件を受けてバールダム公に不満を持つものが、こちらに付いてくれる可能性はある」
「不確実だな」
「それとキース達が、傭兵を募っているのと、アルタージュ王国へ援軍要請もしておいた」
「なるほど、どこまで集まるかだな。
今のところ、王都の兵とエムリアから出せる兵を合わせると1500程度か・・・」
「兵だけの問題ではない、王都がほぼ孤立していたため、物資も不足している。
王都全体が、物資不足で、困窮している人々も少なくない。
街に人や商人が少なく、活気がないのはその表れだ。
物資の運搬ルートの設定、街道の整備など、今後も含めてやることがいっぱいだぞ」
「王都の実力と活気は、各諸侯の忠誠にも繋がるからな・・・」
(他人事ではないけれど、レキ、いつもお疲れ様・・・)




