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ep.6 武装商船

 エルマが、酒場に入るとまだ日は明るいというのに繁盛している。


(さすがに大きな港は違うな・・・

 ウエイトレスが5人、奥がマスターか・・・)


 派手なドレスを来たウエイトレスの女がやって来て言う。


「お一人様ですか?」


「そうだ」


「では、カウンターへどうぞ」


 エルマは、促されるままにカウンター席に座った。


「ラム酒をひとつもらえるか」


 高齢のマスターらしき男が、木製のジョッキを無言でエルマの前に置く。

 エルマが話しかける。


「店のマスターか?」


「そうだが、それがどうした?」


「訊きたいことがあるんだが」


 マスターは両手をテーブルにつくと言った。


「かまわんよ、何かな?」


「テイザーク行きの船を探している。

 早ければ早いほどいい、例えば今日出発とかな」


「確かあったな、ちと思い出せんが・・・」


 エルマは銅貨3枚をテーブルに出した。


「乗るのはあんた一人か?」


「連れがもう一人と馬一頭」


「連れはどんなやつだ?男か?傭兵か?」


「女だが腕が立つ」


「女か・・・

 五日後にテイザークの定期船が来る、公のやつだ、それをお勧めする」


(そんなに長居したら確実に追手が来る・・・)


「急いでいる、そんなに待てない」


 エルマは銅貨を2枚テーブルに置いた。

 マスターはそれを手に取りながら小声で言った。


「今日出発するという船があるにはある。

 が、初めてこの港に来た得体のしれない武装商船だ。

 女二人で乗るもんじゃねえ。

 悪いことは言わねえ、定期船を待ちな」


 エルマは銅貨を10枚テーブルに置き言った。


「その船とつなぎを頼みたい」


「ラム酒代含めて後10だ」


 エルマは銅貨10枚を追加した。


「いいだろう、あいつと3番桟橋に向かってくれ」

 と言うや、ウエイトレスの一人に声を掛けた。


「おい、看板娘、こいつと一緒に3番に行って繋いでやってくれ」


 看板娘と呼ばれた色気のある女が、エルマのところにやって来た。


「いいけど、あんた本気かい?

 船長はだいぶいやらしい男だったけど」


「そのためにこれがある」

 エルマは、自分の剣を軽く叩いた。


「自信があるようだね。

 まあ、いいさ、行こうか」

 看板娘は、エルマを促し、エルマはそれに従って店を出る。



 エルマは酒場から出てくると、外で待つ俺に声を掛けた。


「今日出発のあてが見つかった。

 ただ、用心が必要な相手だ、そのつもりで」


「うん、わかった」

 俺はうなずいた。


 俺たちは看板娘の後について3番桟橋へと向かった。

 途中、エルマは、船員を相手にしている露店に寄り、干し肉と水、乾パンを買っていた。



 桟橋につくと、出発まじかなのだろう、船員たちが慌ただしそうに積み荷を運んでいる。

 荷物の配置を指示している男に看板娘が声を掛ける。


「ブルック、お客さんだよ」


 ブルックと呼ばれた中年のひげ面の男が振り返って言う。

「おう、お前か、客だって?」


「ああ、この二人と馬を一頭、テイザークまで。

 寄るって言ってたろ、テイザーク」


「ああ、構わないが、金はあるのか?」


 エルマが言った。

「銀貨7枚でいいか?」


「おいおい、俺たちは定期船じゃねえんだぜ。

 訳アリだろ、訳は訊かねえが15だ。

 もちろん水と食料、安全は保証する」


「ふっかけ過ぎじゃないか?」


「どこかの国の戦争のおかげで、荷も客にも不自由してねえ。

 嫌ならほかの船に乗ることだな」


 エルマは息を吐き出し言った。

「わかった、ただし前5、後10だ」


「いいだろう」


 エルマが銀貨5枚を手渡すと、ブルックは言った。


「さあ、お嬢さん方、ようこそわが船へ、はっはっは」


 ブルックが看板娘に言った。

「また来るから、その時は抱かせろよ!」


「ふん、冗談だろ、私は安くないよ」

 看板娘が応じているのを見ながら、俺たちは船に乗り込んだ。


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