ep.67 王女の決定
カルガポルの領主の館の会議室では、マリーヌの持ってきた提案を受け入れるか否か、もしくは一部修正を要求するかで紛糾していた。
「もし、嘘だったら、兵力的に相当不利になるだろ?
危険じゃないのかい?」
「別にいいんじゃねえのか、そうなったら俺がひっくり返してやるぜ」
「政治にどこまで介入させて良いのか?」
レキが俺に訊く。
「今日には答えを出さなければならない、アニス、お前はどう思う?」
「私は、全面的に信用して受け入れることでいいと思う。
もし、騙されたら武聖の血をもって償わせる」
「・・・・・・」
エルマが言う。
「アニス様が、そう仰るなら私も賛成致します」
レキも言う。
「私も異論ない。いずれかを決めねばならないからな」
最終的には、みな賛成してくれ、マリーヌの提案を受け入れることとなった。
客間のテーブルで、俺とレキは、マリーヌと対して座っていた。
マリーヌが問う。
「当方の申し入れについて、エムリア王国のご回答は如何でしょうか?」
レキが応じる。
「エムリア王国としては、申し入れを全面的に受け入れます。
コルンとの戦いの後、マリーヌ殿には副宰相、アルラ殿には外交官の任に就いて頂きます。
勿論、領地については安堵をお約束致します」
「わかりました、ありがとうございます。
それでは戦場にてお会い致しましょう」
「はい、戦場にて」
コルンの領主執務室では、マルクスが報告を受けていた。
「シアタ及びルイの両方が、ともに参陣すると応じております」
「ほお、平和ボケしたあやつらでも今の危機は理解出来ているようだな」
「ただし、戦場をシアタの東にて会戦を行いたいとの要望がございます」
「シアタを侵略されたくないとの考えであろう、まあ、仕方あるまい。
だが、これで数的有利は動かぬ、エムリアめ、目にもの見せてやろうぞ」
叔父のドワイトが入って来る。
「マルクス、首尾はどうだ?」
「叔父上、心配なされるな、両国ともに我らと陣を並べるとのことです」
「シアタ、ルイは、我らとは少し色が違うところがある、信用できるのか?」
「信用ですか、必要なのは利用出来るかですよ、叔父上」
コルン、ルイ、シアタの3国は、共闘してエムリア・アルタージュ同盟軍にあたるとして、シアタの東の平野に布陣を進める、その総数800。
対する、エムリア・アルタージュ同盟軍は、対するように西側に布陣する、その総数400。
中央に陣取ったコルンの本陣で、マルクスが言う。
「叔父上、見て下さい、この壮大な景観を。
我が方が敵を圧倒しております。
おや、見かけない旗がありますね?」
「あれか、あれはエムリア王国の武聖出陣旗と言うらしい。
総大将の武聖が出陣してきているようだな」
「あれを討ち取れば、我が方の勝利、なんと容易い」
ドワイト=マルクーゼは、圧倒的に有利な兵力にも関わらず、どこかうすら寒さを感じていた。




