ep.58 政治開始
数日後、俺の執務室には、連日、色んな連中が訪れるようになった。
商人、商船、鍛冶屋などの各ギルドの長や外国の特使、各地区や村々の代表だ。
基本、俺には挨拶だけで、詳細は別室にてレキと詰めている。
(お飾りと思われているんだろうな、実際、否定はしないけど・・・)
俺たちの基本方針は、治安をよくし、港や都市を解放し、貿易・商業で国力を底上げすることだった。
基本方針を知った、各ギルドの長や特使、各地区、村々の代表たちは好意的な反応を示してくれた。
敵将だったクライン=ブレイマンは、こちらの申し出受けてくれ、エルマと兵士の訓練や兵士の募集などに力を尽くしてくれている。
俺は、大通りを抜け、桟橋のほうに行くと、複数の帆船や軍船が並んでいる。
海風で髪とドレスが、ハタハタと揺れる。
大きな商船から荷物を下ろしているのが見えた。
俺は指揮をしている日に焼けた女に話しかけた。
「ねえ、この荷物どこからきてどこに行くの?」
「なんだ、お嬢ちゃん、そんなことに興味があるのか?」
「興味ある」
「これはテイザークから来て、ここからメエラ経由でガームダム王国に運ばれるんだ。
ここで積んだ荷物は、その後にセビアに持っていく」
「すごい貿易だ~」
「よく知っているなそんな言葉、そう貿易だ」
「この街どう?私の住む街?」
「どうって?前までは閉鎖的な港だったが、領主が変わって解放路線に切り替えたらしいから、これからどんどん賑わうんじゃないかな。
メエラの交通も解放されたし、ガームダム王国へのアクセスが容易になったからな。
ってお嬢ちゃんにはちょっと難しかったかな」
「ううん、分かるよ~」
「へえ、賢いお嬢ちゃんだ」
俺は酒場に入った、昼なのに満員とは言わないがそれなりに流行っている。
ウエイトレスが声を掛けてくる。
「あら可愛いお嬢ちゃん、食事、宿泊、それとも迷子?」
「食事に来たよ」
「こちらの席へ」
俺はカウンターに案内されたので、そこに座った。
「じゃあ、ご注文をどうぞ」
俺はメニューを見ながら注文する。
「牛肉の旨辛スープとフォカッチャ、それとビール」
「はい、牛肉の旨辛スープとフォカッチャ、それと羊のミルクですね」
「うん、それで・・・」
(高い壁がある・・・)
若い女のマスターが、興味深げに俺を見ている。
「どうしたの?」
「いや、こんなおチビさんが、一人で酒場に来るなんて珍しいと思ってね」
「おチビさんにだって、飲みたいときがあるのだよ」
「あはははは、そりゃそうだ。
どこかの貴族のお嬢様かい?
こんなところに観光?それとも船で旅行かい?」
「この辺に引っ越してきたんだけど、街を観光中」
「この辺は八軍閥の国って呼ばれてたけど、なんか他所から来た勢力に占拠されて七軍閥になっちまったね」
「どう新しい侵略者?」
「ははは、どうって私ら市民には特になにも悪さはして来ないね。
それに港を解放してくれたから、こうして客が増えて来たってところだね」
「じゃあ、良かった」
「そうだね、今のところは。
まあ、でも戦争はごめんなんだけどね。
ほらおチビさん、スープ大盛にしといたからたくさん食べて大きくなりな」
「うわ~、ありがとう!」




