ep.54 八軍閥の国カルガポルの主
元メエラの領主・ドワイト=マルクーゼは、隣国カルガポルの領主の執務室にて、本国メエラの陥落の知らせを受けていた。
「カルガポルを得ると同時に、メエラを失うとは、笑えんな」
将軍・クライン=ブレイマンは、壮年の男だが、凄腕の武将である。
クラインが言った。
「宿敵カルガポルを倒したばかりだというのに、新たな敵として、アルタージュ王国とエムリア王国の同盟軍とは頭が痛いですな」
「それにしてもハッサムの奴は、何をしていたのだ?
2、3日も耐え凌げないとは、情けない奴だ。
戻ったら片目をえぐってやろう」
「如何します?」
「アルタージュ王国とやりあうのは本意ではないが、敵として攻めて来たのだ、殺すしかあるまい」
「エムリア王国の王女は武聖の力を有しているとも聞きますが、大丈夫でしょうか?」
「武聖?おとぎ話であろう。
美しければ、私の美姫に加えてやろうではないか」
「話が変わりますが、カルガポルの領主の一族は如何なさいますか?」
「女子供にいたるまで、全員始末しろ、憂いを残すのは面倒だ」
「それと隣国フリサコが、我らが兵を消耗しているところを、襲撃を加えようとしているとの情報も入っております」
「臆病者のくせに、欲だけはあるようだな。
来るならこい、返り討ちにしてくれるわ」
エムリア王国の都市となったメエラでは、降伏した兵の扱いについて、ハッサムとレキが話し合いをしていた。
俺とエルマは、そばで様子をうかがっていた。
ハッサムが言う。
「どうか、兵たちには寛大なご処置をお願い致します」
レキが問う?
「領主のドワイト=マルクーゼ殿はどのような男だ?」
「領主様ですか・・・
正直、容赦のない、厳しいお方ですが、小国である我らにとっては、あの強さは必要なものでもありました」
「ふむ、なるほど。
降伏した兵は、解放する。
ドワイト軍に戻るもよし、民間人に戻るもよし、我が軍に加わるもよしだ」
「本当ですか?」
「本当だ、我らが王女の決定だからな。
そこでだ、ハッサム殿は、我らについてもらえないか?」
「私がですが?」
「出来れば互いに無駄に血を流したくないので、兵たちにこちらにつくか、民間人に戻るかを勧めて頂けるとありがたい。
それと、この地を治めるにあたり、この地に詳しいハッサム殿の知見も頂きたい。
如何かな?」
ハッサムは少し考えた様子だったが、言った。
「分かりました、私なんかでよければ、協力致します」
俺たちは、旧メエラ兵を解放した。
ハッサムの説得もあってか、半数以上の約30が我が軍に加わることになり、一部を除き他はほとんど民間人への道を選択したようだった。
また、俺たちは暴行、略奪の類を厳しく禁じて、民の信頼を得るように努めていた。




