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ep.49 港街トールロイ 攻略戦1

 アムゼント帝国軍は、ミゼル王国の南東に位置する港街トールロイを陸上から兵3000で包囲していた。


 トールロイを守備する兵力は、500であり籠城し、北西のタロル城砦からの援軍が来るまで持ちこたえる戦術である。


 トールロイ領主の執務室が、今は作戦会議室になっている。


 港街トールロイの領主でミゼル王国伯爵のバヌール=ヘングレンはぼやいた。

「だからエムリア王国が侵攻された時に援軍を出すように陛下に申し上げたのだ。

 それを無視するからこのようなことになるのだ」


 守備隊長である、ケイン=アンドレが応じる。

「確かに、エムリアはトールロイにとっては、帝国からの盾のような存在でしたから・・・」


 バヌールは思う。

(ケインは若くて、戦争経験がない、子爵家の家柄だけで守備隊長になった男だ、本当に頭が痛い・・・)


「で、守備隊長のケイン殿はどのように対処されるのか?」


「とにかく、門を固く閉じ、援軍が来るまで持ち堪えます。

 タロレ城砦から2500の兵が援軍として向かって来ております。

 ところで、テイザークからの援軍は如何でしょうか?」


「議会で会議中とのことだ、あてにはできそうにない」


 兵士が入って来る。

「失礼します。

 敵の猛攻激しく、隊長に直に指揮を執って頂きたいと副隊長よりご要請がございます」


「わかった、すぐに向かう」


(父上、母上、こんなところで死にたくありません・・・)



 アムゼント帝国軍本陣では、総大将・ジスト=バーグシュタインが、戦況の様子を見守っている。


 脇に控える副将・ミューゼ=ガルムラントが言う。

「今のところは、我が軍が攻勢をかけておりますが、タロレ城砦からあと3日もすれば援軍が到着し、兵力は互角になるかと思われます」


「仕掛けてから、約8日か」


「時間との勝負、それまでに落とすためには、さらなる攻勢をしかける必要があるかと」


「よい」


「といいますと?」


「このままでよい、兵を死なせるな」


「はっ、承知致しました」




 翌日の早朝、ジストはミューゼに命を発した。


「攻撃中止、全軍、エムリア方面に一時後退」


「はっ」


(敵援軍との交戦を避けるおつもりか?)




 タロレ城砦より援軍に来たミゼル王国軍が、トールロイに到着した時には、アムゼント帝国軍の姿は無かった。


 援軍を率いて来たマロント=ハイフマン将軍は言った。

「アムゼントの奴らも存外大したことが無い、恐れをなして逃げ出しよったか!」


 迎え入れた領主バヌールが礼を言う。

「援軍ありがとうございます。

 おかげで帝国軍が撤退していったようです。

 トールロイは、わが国の貿易の要、奪われるわけにはまいりませんからな」


 守備隊長ケインを言う。

「マロント将軍、よく駆けつけて来てくださった。

 おかげでなんとか守りきることができました」


「なに礼にはおよばんよ。

 とりあえず、何事もなくて良かった」


「とりあえず、お疲れでしょう。

 食事の準備が出来ております」


「そうか、ありがたく頂戴しよう。

 兵たちも休めないといけないからな」



 将軍・マロントは、領主バヌールと食事をしていた。


 バヌールが言う

「どうですかな、お食事は口にあいますかな?」


「うむ、さすがはトールロイ、食事もあれも華やかですな」


「ははは、それはありがとうございます。

 それでは、あちらは後ほど・・・」


 兵士が入って来る。

「申し上げます!」


「どうした?」


「タロレ城砦が帝国軍の攻撃を受けているとのこと。

 至急、戻られたし!」


「なんだと、こちらは陽動か・・・

 急ぎ、戻る!

 それとセリエンに援軍を要請しろ!」


 バヌールが呟く。

「これは思った以上の兵力を帝国はつぎ込んでいるようですな・・・」


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