ep.47 西領 参謀執務室
ノベアスの執務室でレキとノベアスは向かい合って座っていた。
二人の前には、紅茶のティーカップが置かれている。
「ノベアス殿、それで相談とは?」
「はい、北のシムニ帝国が訓練と称して軍を動かす気配がありましてな。
我が国の北方の守りであるガグ城砦及びグラネスは、東西領のどちらにも属せぬ中立の立場をとっておりますので、外敵に対しては協力できるのですが・・・」
「ここイズアラから援軍を送ることを考えた場合に、途中にある東領のマスレ城砦が、邪魔になる可能性があるということですかな?」
「さよう、今の勢いがあるうちに攻めるべきか否か・・・」
「ふむ」
レキは紅茶に口を付け、少し考えてから応じた。
「早く攻略すれば、シムニ帝国の侵略を抑えられるかもしれませんな。
ところでマスレ城砦を守るのはいったいどのような方ですかな?」
「ヘリケル=オリンティーノ伯、ホマウド様のいとこにあたられる方です。
国を想う気持ちはあれど、優柔不断なところがありましてな、ルカセン様に強く言われて東領に付いたと聞いています。
レキ殿は、力攻めでは無く、調略を用いるべきだと?」
「はい、可能であればそのほうが、犠牲も少なくて済みますし、情勢が西領に傾いている今であれば」
「わかりました。
ヘリケル様と親交のある者を選定して送り込みましょう」
レキが静かに言う。
「話は変わるのですが、我々も正式に本拠地作りに動きたいと考えております」
「八軍閥の国、まずはメエラですな。
さすがにガームダム王国を通る訳には行きませんので軍船が必要となりますな」
「話が早くて助かります。
そこで軍船と援兵をお願いしたい。
現在、西南のカルガポルと紛争中でもあり、その隙をつきたいと考えています」
「作戦は既にあるのですか?」
「破城槌が持ち込めないため、ここイズアラを落としたのと同じ方法を用いようかと考えています。
出来るだけ無傷で手に入れたいですし」
「戦力状況は?」
「メエラの戦力はおよそ300に対して、紅い髪の少女120とホマウド殿の援兵」
「なるほど、それでは援兵100と軍船2隻といったところですな。
従軍には面識のあるグルガス=マルズガード百人隊長を推薦しましょう」
「ありがとうございます。」
レキが紅茶を楽しみつつ言った。
「この紅茶は香りが深い、アルタージュ産ですかな?」
「いえ、ミゼル産です」




