ep.44 首都イズアラ攻略戦2
雨は先ほどより強くなって来ていた。
8人の傭兵たちは雨の中を構わず、中央広場から南門大通りを歩いていた。
大都市の大通りには、普段ならマーケットを楽しむ人々で溢れるのであろうが、今は兵士や傭兵、石や武器、食料を運ばせられる民間人が行き交っている。
傭兵たちは他の傭兵に紛れて南門へとやって来た。
兵士が声を掛けてくる。
「お前ら見かけないが、何しに来た?」
スワリスが応じる。
「東門の守備をしていたけど、あっちは攻撃が薄いから、南門の守備を手伝うよう言われて来たのさ。
外壁に上がらせてもらうよ」
「そういうことか、雨だというのに、敵の攻撃がなかなか厳しい、気を付けろよ」
「ああ、任せな」
スワリス達は、石造りの階段を上り外壁の上に出た。
守将・カトリーヌが叫ぶ。
「一人も這い上がらせるな、もっと矢と石、煮え湯を持って来い!」
カトリーヌがスワリスに言う。
「お前達、何をしている、あそこが薄い、手伝ってやれ!」
「わかりました。
皆、行くよ!」
スワリスは、指示を受けた場所に向かって走りだした。
梯子に石を落としている兵士にスワリスが言った。
「ここは私たちが守るから、あなた達は、あちらを手伝ってくれる」
「そうか、分かった」
兵士が走っていくのを見届けると、スワリス達は、梯子に攻撃するふりをはじめる。
ホマウド軍の兵士たちが、その梯子から上って来る。
スワリスがホマウド軍の兵に言う。
「間違うな、私たちは味方だよ」
兵士はうなずくと外壁にのぼる、つぎつぎと兵士がのぼって来る。
「ん?」
異変に気付いたカトリーヌが叫ぶ。
「そこ何している?敵兵だ!」
背後からの一閃、カトリーヌの首が血の弧を描いて宙を舞った
「南門を一気に制圧するぞ!」
レッドだった。
俺とエルマは、騎馬を並べて、戦況を見ていた。
エルマが指さして言う。
「アニス様、あそこの梯子の兵が次々に外壁にのぼっております。
レッドたちが、きっとあそこに!」
俺はうなずき言った。
「私も行って来る。
エルマは、団の指揮をお願いね」
「はっ、ご武運を!」
俺は、梯子へと馬を走らせ、到達するや梯子を駆け上った。
外壁の上では、レッドとスワリスを先頭に半円陣を組んで戦っていた。
「このまま押し込め!」
俺は叫ぶや、短刀を手に敵に突撃する。
速攻の動きで間合いを詰めるや、相手の喉に突き刺す、血が噴き出す。
相手が倒れる前にフットワークでかわして、その背後にいた敵の腕を引っ張って崩すと抱え込むようにして首を掻っ切る、顔面に血しぶきが飛んでくる。
敵兵が剣を突いてくると空いた手で掴むや振り上げてわきの下を切りつつ、そのまま投げ飛ばした。
「負けてられねえぜ」
レッドも切り込む、相手とすれ違いざまに胴を切る。
次の相手に水平で返し切り、受けられた瞬間に蹴って体勢を崩すと斜め袈裟に切る。
次々と上って来る兵士たちも交戦に加わり、金属の打ち合う音が激しくなる。
俺たちの強襲、守将を失った混乱、半円陣は、徐々に広がり、南門にまで到達した。
「門を開け!」
複数の兵士たちが、ハンドルを回すと、ゆっくりと門が開いていく。
「開けさせるな!」
ルカセン軍も必死に抵抗をする。
敵味方入り乱れての混戦となった。
スワリスは、短槍を振るっていた、突き、崩し、切る。
相手が剣を振って来ると受け止め、腰の力で受け流してそのまま頸動脈を切ると、短槍が折れた。
倒れた敵の剣を拾い、次来た相手と打ち合いになる。
十合ほど打ち合った後、相手の手首を吹き飛ばした。
怒声、叫び、金属音、神に祈る声、そして血、混戦が続く。
・・・・・・
マトロン千人長が叫ぶ。
「門が開いた突撃せよ!」
ホマウド軍兵が、門より怒涛の勢いで押し寄せて、ルカセン軍を圧倒し始めた。




