ep.41 義兄妹の契り
スレン城砦・謁見の間の玉座に肘を付いてホマウドが座っており、脇には参謀・ノベアスが控える。
俺は、エルマとレキを従えて、ホマウドと向き合っていた。
ホマウドが言う。
「なるほど、八軍閥を攻める後ろ盾にとな・・・」
俺が静かに応じる。
「はい」
「ノベアス、お前はどう思う?」
「はっ、我々がここまで押し返せたのは、エムリア王国の支援があったことは否めません。
今後の関係継続も考慮して、受けるのがよろしいかと存じます。
ただ・・・」
「ただ?申してみよ」
「ただ、こちらの情勢がもう少し落ち着いてからにして頂きたい」
「落ち着くとは?」
「首都イズアラの奪還です」
レキは思った。
(ほお、ノベアスも伊達に軍参謀ではないな、なかなかにしたたか・・・)
「アニス王女、如何かな?」
ホマウドは不敵な笑いを浮かべる。
「それは、かなりの難題ですね。
ですが、イズアラ奪還、支援させて頂きましょう」
「ほう」
「その代わり、私たちが八軍閥すべてを制圧するまでの軍事及び資金について支援をお願いします」
「それは、難題・・・」
ノベアスがこぼす。
ホマウドが玉座から立ち上がり、強い声で言う。
「よかろう、その条件で受けよう。
盃を持て、これより義兄妹の契りの儀を執り行う!」
義兄妹の契りの儀は、アルタージュ王国の作法に則って行われる。
まず、女官が桶で持って来た清らかな水でホマウドと俺は手を清める。
次に、女官が大人の顔ぐらいの大きな盃を持ってくると、紅い葡萄酒が注がれる。
女官が跪いて盃を掲げる。
ホマウドが盃の葡萄酒の中に右手を入れて叫ぶ。
「我、アニスティア=フォン=エーメガルドの兄となることを誓う」
俺はホマウドと並び、盃の葡萄酒の中に左手を入れて、ホマウドの右手を握り叫ぶ。
「我、ホマウド=バイヤーグンの妹となることを誓う」
ホマウドと俺が盃から手を取り出すと、ぽたぽたと地面に葡萄酒が滴った。
ホマウドが、葡萄酒を一口飲み、俺に盃を手渡した。
俺が葡萄酒を一口飲み、女官に盃を返す。
ホマウドが高らかに宣言する。
「ここに、我、ホマウド=バイヤーグン、我が妹、アニスティア=フォン=エーメガルドは、兄妹となったことを宣言する」
これは、アルタージュ王国(西領)とエムリア王国(傭兵団・紅い髪の少女)が、正式に軍事同盟を締結したことを意味した。
翌日、スレン城砦にて義兄妹の契り(軍事同盟)を結んだことを公に発表した。




