ep.39 スレン城砦 攻城戦
数日の行程を経て、俺たちはスレン城砦の前に辿り着いた。
スレン城砦は、以前の激しい攻防戦から損傷が激しく、門も応急処置的な復旧しか出来ていない様子であった。
俺たちは、ホマウド軍の本陣のテントの中で軍議を開いていた。
参謀・ノベアスが進言する。
「スレン城砦の門は、破城槌を用いれば、容易に壊せましょう。
そこから侵入して、一気に叩くのが上策かと」
ホマウドが腕を組みながら応じる。
「ふむ、確かにそうだな。
ドロイゼンが討たれて、敵も浮足立っているだろうしな」
将軍・ティノールが言う。
「門を破壊したとして、先鋒は誰に任せるかだが・・・」
レキが応じる。
「その役目、私たちにお任せ下さいませんか?」
「ほう、確か傭兵団・紅い髪の少女を立ち上げたとか。
その初陣をスレンで飾りたいということですかな」
「はい、そうさせて頂ければと考えています」
「殿下、如何しますか?」
「良かろう、我が妹候補の門出だ。
先鋒を任せよう」
「ありがとうございます」
レキが恭しく礼をする。
昼頃、ホマウド軍は攻撃を開始した。
破城槌がゴロゴロと門の前に押し出されていき、扉の破壊を始める。
「せーのっ!」
ゴガン!
「せーのっ!」
ゴガン!
その間も城砦からは矢や投石が来る、それをかいくぐっての作業だから命懸けだ。
もちろん、下からも矢で援護射撃を行う。
俺たち傭兵団・紅い髪の少女は、門が開き次第、突入する役目だ。
「せーのっ!」
ゴゴガン!
門が開いたというよりは、ぶっ壊れた。
エルマが叫ぶ。
「突撃!」
「おらおら行くぜ!」
レッドが先頭をきって走り出す。
「やれやれ、嬢ちゃんだけでなく、ぼうずの子守りもとはな」
ぼやきつつ、キース、そして傭兵団が続く。
敵も待ち構えていた。
槍を持った歩兵が並んでいる。
「馬をやれ!」
馬に向けて穂先が向けられる。
「甘いぜ!」
レッドは、馬から素早く飛び降りると、歩兵の集団に切り込んだ。
予想しない動作・・・
一振り、二振り、三振り、手首、足、首が吹き飛んだ。
飛散する血を浴びながらレッドが剣を振るう。
「おらおら行くぜ!」
レッドの水平切りを、槍を立てて受けようとするが、柄が折れてそのまま胴体に剣がめり込んだ。
そいつをレッドが、蹴り飛ばす。
レッドが作った亀裂に、キースたちが突っ込む。
敵は隊列が乱れ、大混乱に陥った。
「こりゃ切り放題だぜ!」
傭兵たちは、勢いに乗って剣、槍、斧を振るう。
少し遅れて城門を潜った俺は、近くにいる女傭兵に言った。
「スワリス、ついて来て!」
俺は馬から降りて短槍を手に外壁の壁を上る。
上がった先には弓を持った兵が多くいたので、俺が槍で仕留めに掛かる。
速攻の突き。
「一人」
石突で殴ってからの、斜め切り下し。
「二人」
剣を抜き向かってくるものもいたが、槍で剣を弾き飛ばし、胸を突く。
「三人」
「へえ~、お嬢ちゃんやるね、負けてられないわ」
スワリスも短槍を振るう。
打ち合いからの薙ぎ払い、相手の耳から鼻にかけて切り裂く、すかさずとどめの突き。
石突で胸をついて、怯んだところを下からの切り上げ、たまらず敵は血を飛散させながら後方に吹き飛ぶ。
それほどの時間を要せずして俺たちは、城門を占拠した。
傭兵が旗を振り合図をすると、ぞくぞくと門をくぐり兵が突入して行く。
城の門も未だ復旧出来ておらず、兵たちが我先と突入していく。
レッドやキースたちの突っ込んで行く姿も見えた。
敵は圧力にあらがえず、一方的に押されて、傭兵たちは逃げ出し、数時間ほどの戦闘の後、夕方になる頃には降伏をした。




