ep.26 新しい仲間
酒場兼安宿の月光亭は、二階が宿、一階が酒場になっている。
翌朝、俺とエルマは酒場のテーブルで朝食をとっていた。
俺は、薄い鶏がらスープに黒パンを付けて口に運ぶ。
(ああ、味が薄い・・・)
こっちの世界では、肉や魚の臭みを消すためにスパイスを多用する、それに慣れて来た俺は、スパイスが薄いと物足りなさを感じるようになっていた。
(日本料理って、あの味のあっさりさであの美味さ、奥が深かったんだな~)
「お、おはよう、二人とも・・・」
二階から降りて来たレキが頭を押さえながらやって来た。
(こいつ二日酔いだな・・・)
「おはようレキ、昨日は楽しかったの?!」
俺は元気な声であいさつしてやった、レキは、頭に響いてきつそうだ。
「レキもスープとパン食べる?」
「いや、水を貰えるか?
それとアニス、今日はそんなに元気はいらないぞ~」
「なんで~元気は大事だよ!」
「うっ!」
レキは、水を飲みひと段落突いたようだ。
「大丈夫なの?」
エルマが、声を掛けるが心配1だらしない9の割合だった。
「ああ、大丈夫だ。
それよりも二人に話があるのだが」
「話って?」
「新しい仲間を得ることが出来た」
「仲間?
信用できるのか?」
「信用は私が保証する。
ガンザ雑技団で軽業師をやっていたレディアス=ローベルク、レッドってやつだ」
「腕は立つのか?」
「ああ、ガンザが推薦するくらいだから相当だろう」
「へえ、すごいね」
「腕が見たければいつでも見せてやるぜ」
そう言いながら、酒場に入って来たのは一人の少年だった。
エルマは少年をじっと見た。
(なるほど、手練れのようね・・・)
「あなたがレッド?」
「ああ、俺がレッドだ、久しぶりだな、レキ」
「おお、久しぶりだな、あれからだいぶ大きくなったな」
「はじめましてレッド、こちらがアニス、私はエルマ、よろしく」
「ああ、こっちこそ、よろしくな」
「よろしく、レッド」
(ガキだな・・・)
「よろしく、アニス」
(チビだな・・・)
レキが言う。
「早速だが、この後、必要なものを買い足した後、北東にある街、バルロックに向かう。
バルロックは、西領・ホマウド=バイヤーグンが拠点にしている街だ。
その後、城砦スレンに入る」
「レッド、雑技団のメンバーに挨拶はして来たのか?」
「ああ、もうして来た」
「よし、じゃあ、準備に掛かるとするか」
俺たちは、街で買い物をして歩いていた。
「干し肉と乾パン、水の補充も問題なしだな」
「買い物はこれで問題なし。
じゃあ、馬のところへ行こうか」
・・・・・・
月光亭の厩舎に俺たちの二頭の馬がいる。
レッドが言う。
「なあ、その白い馬、乗ってみてもいいか」
「こいつはじゃじゃ馬だ、私以外は乗りこなせんぞ」
「まあ、ものは試しだ」
レッドは、白馬に跨ると、馬を歩かせ、軽く走らせてみる。
「なんだ、おとなしいいい馬じゃないか」
「本当か・・・」
レキは愕然としてその光景を眺めていた。
(レキの乗馬が下手なだけじゃないのか・・・)
俺は口にはしなかった。




