ep.24 港街セビア
港街セビアは、トールロイと街の規模は同じくらいであった。
こちらもしっかりと石壁で囲われており、要衝であることが伺えた。
街の通りや広場は露店や人で賑わっているが、内紛中ということもあるのだろう、傭兵の姿があちこちで見られ、どこか怪しい雰囲気が漂っている。
広場のほうから、音楽と人々の歓声が聞こえてくる。
気になった俺は言った。
「なんかあっちの方、騒がしくない?」
「そうね、なにかしら?」
「ちょっと行ってみようよ!」
気になった俺が促すと、エルマとレキはうなずきついて来る。
広場では人混みが出来ており、俺は掻き分けて見えるところに入り込んだ。
(小さい子供の特権だ・・・)
目の前には長い水色の髪の目鼻立ちの整った美しい少女がいた。
少女は、左手に金貨を持っており、左手を握りしめて右手を開くと金貨が出てくる、左手を開くと金貨が無くなっていた。
金貨を持った右手を閉じ、パッと開くと薔薇の花が出てくる。
薔薇の花を両手で包み込み、パッと開くと鳩が飛び出し、空を舞った後、少女の肩にとまった。
「ありがとうございました」
少女が一礼すると拍手と歓声、おひねりが飛ぶ。
「うわ~、すごい!」
(手品師か、それにしても大人気だな・・・)
ひと段落つくと、音楽がバラード調に変わる。
少女が歌い出した、透き通るような声だ。
「綺麗な歌・・・」
・・・・・・
少女が歌い終わり一礼すると、再び拍手と歓声、おひねりが飛ぶ。
いつの間にか後ろに来ていたレキが言った。
「人気の手品師で歌姫のミストだ」
「知っているの?」
「ああ、この雑技団は、テイザークにも何度か来たことがあるからな」
ピエロが、出て来て言う。
「皆さ~ん、これで本日の演目は終了で~す
ありがとうございました~」
・・・・・・
演目が終わり、人混みが無くなると、雑技団は片づけを始める。
未だ、ミストの周りには握手やサインをねだる人だかりが出来ていた。
「レキじゃねえか。
久しぶりだな」
丸坊主の大男が声を掛けて来た、筋肉質の体にピチピチの黒い革の服を着ている。
(キャラ濃いめだな・・・)
「ガンザか、久しぶりだな」
レキが応じている知り合いのようだ。
エルマが訊く。
「知り合い?」
「ああ、テイザークに来た時、息があってな。
酒をよく飲んだ仲だ。
雑技団の団長をやっているやつだ」
「どうだ、後で久しぶりに一杯」
「ああ、そうしよう」
「私も一杯」
「まだ嬢ちゃんには、いっぱいよりおっぱいの方がお似合いだぞ、ぐはははは」
大男が大笑いした。
(面白くねえよ・・・)
「まあ、アニス、これは大人の時間の話だ、お前にはまだ早いということさ」
「大人の時間って何?」
「アニス、私たちは宿に先に行きましょう」
「月光亭だ、俺の名を出せば、ぼられることは無い」
「分かった」
エルマはレキに応じると、俺を促して宿へと向かった。




