表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/20

ep.15 手練れ

 翌朝、俺が目を覚ますと、エルマは出発の準備進めていた。


「おはよう姉さん」


「おはよう、アニス、こっちへおいで」


 俺が鏡の前に置かれた椅子に座ると、エルマが、髪をくしでといでくれる。


「アニスの髪は、艶があってとても綺麗」


「ありがとう、姉さん」


 髪が整うと、俺はマントを纏った。

 背が低いのでふくらはぎが隠れるくらいまでになる。


「さあ、行くよ」


 俺たちは、決戦飯を食べに出立した。



 エルマお勧めのスープ麺の屋台は、繁盛しているようで、屋台の前に置かれた複数のテーブルも空きが一つだけだ。


 俺が四人掛けのテーブルを確保している間に、エルマがスープ麺を買って持って来てくれた。

 スープ麺は、見た目は赤い醤油ラーメンのような感じだった。

 ゆっくりと口を付けると、


「辛っ・・・」


「だしと唐辛子と塩とかで味を付けているのよ。

 ちょっと辛いから、ゆっくり食べるのよ」


(俺の薄い唇が、たらこになるんじゃないか、そんな気がした)


「でも美味しい!」


「そう、よかっ・・・」


「ここいいかしら?」


 水色の長い髪を後ろで束ねた、二十そこらの綺麗な女性が声を掛けて来た。

 その女性の手にはスープ麺、腰には剣を帯びていた。


(相当の手練れ・・・)


 エルマは、箸を左手に持ち替えると、そっと剣に右手をあて、足はテーブルを蹴る準備をする。


「どうぞ」

 エルマはにこやかに応じる。


「じゃあ、遠慮なく」

 女性もにこやかに応じると座り、スープ麺を箸ですくって一口食べると言った。


「どうここのスープ麺、旧市街名物の一つなのよ、美味しいでしょ?」


「うん、美味しいね」

 俺は無邪気に応じた。


 女性はエルマを見て考えを巡らせた。

(この娘、年は17歳前後の割には、相当修羅場をくぐってるわね、間違いなく手練れだわ)


「おいしいけど、辛い~」


 女性は俺の方に目をやるとスープ麺をすすった。

(連れの子のマント・・・エムリア王国ロイヤルナイトの隠密行動用のサーコートか・・・)


 再びエルマのほうをちらりと見る。

(ということは、ロイヤルナイト唯一の女性、この娘がエルマ=カリンズ・・・

 道理で手練れな訳だ)


「辛いけど、だんだんハマって来た・・・」


(連れている子は、おそらくアニスティア=フォン=エーメガルド。

 なるほど、テイザークに亡命しようってことね)


「お嬢ちゃん、どこから来たの?」


 エルマが代わりに答える。

「ミゼル王国から仕事を探しにここに来た」


「へえ、仕事?

 どういう仕事を探しているの?」


「用心棒とか護衛とか」


「へえ~、それだったら仕事を紹介してあげられると思うけど、どう?」


「既にアテがあるから今はいい」


(この女、何?)


「本当は手詰まりなんでしょ。

 あなたの思い通りになるかは分からないけど、当面はしのげると思うわよ」


(この女、事情を知ってる?!)


「なんのこと?」


「あなた達の考える二つの選択肢は、どちらも上手くいかない」


「へえ~、他に選択肢があるのかしら?」

 エルマの瞳に殺気がこもる。


「私はサーラ=エメスティス。

 あなたの探している男の護衛よ。

 そんなに殺気を飛ばさなくてもよくない?」


 言いつつ、女はスープ麺をすする。


「それを信じるとでも?」


「いや、どっちでもいいけど?」


(ヤバい、女の駆け引き状態じゃないか・・・これ?

 だが、悪い人には思えないな・・・)


「姉さん、この人を頼ってみようよ」


 女は微笑み言った。

「へえ~、お姫様は勇敢だね」


(罠かもしれないが、手詰まりなのも確か、乗ってみるか・・・)


「分かった、仕事を紹介してもらえるか」


「今晩七時、新市街にあるレストラン・ゆでカエル亭に来てもらえるかしら、私の名前で予約しておくから」


「分かった」


重要事項

『面白い』『続きを読みたい』と思って頂けたら、ブックマークの登録や評価を入れて頂けるととても勇気を貰えます!

著者のモチベーションアップに繋がりますので宜しくお願いします!

本書を読んで頂いている方には本当に感謝しています。


『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ