ep.14 自由都市テイザーク3
まだ明るいので俺たちは、テイザークの街を歩いていた。
エルマが、各地を案内してくれる。
旧市街は一般人や貧困層の居住区やマーケット、工房、危ない場所もある。
中央街は、議場やギルドの庁舎、軍の司令部など公の建物が多く、中央広場、内港もある。
新市街は、富裕層の居住区やマーケット、高級な飲食店等が軒を連ねる。
(広いし多すぎて、一度では覚えきれない・・・)
エルマが言った。
「いつまでもドレスにマントと言う訳にもいかないから、あなたの服を買わないとね」
「いや、そんなのは別にいい、それより路銀を大切にしないと」
(少し生意気か・・・?)
「え、そ、そうね、じゃあそうしましょうか」
エルマは、俺に街を案内しつつ、皆がする噂話などを聞いて情報を収集しているようであった。
エルマが歩きながらつぶやく。
「アムゼント帝国によってエムリア王国が攻め落とされたことを、一部の人間は情報を持っている。
さすがにテイザーク、情報が早い・・・」
(俺たちは、ほぼ最速でここに来たのに、一部とはいえテイザークの一般人の情報網でも掴んでいるのか・・・)
「アニス、もし私とはぐれたら基本は宿で、襲撃を受けてはぐれた場合は、さっき教えた3つのポイントのどこかで合流するから覚えておいて」
「わかった」
(いや~自信ない・・・)
言いつつもエルマは、焦っていた。
歩きながら考えるも、答えが出ないのだ。
(王妃様は、テイザーク軍総司令官・セキリュウ=フォンを頼って亡命せよと仰っていたが、どうやってそのセキリュウに会えばいいのか・・・?
軍司令部?
フォン家の邸宅?
いや、おそらくそんな所は、帝国の密偵が張り付いているはずだ、こちらの存在を知らせることになる・・・)
答えが出ないまま街を歩いていると日が落ちて来たので、俺たちは宿へと戻った。
部屋に入ると俺はベッドの上に座った。
エルマは、椅子に腰を下ろす。
「姉さん、何か悩んでるの?」
「うん、実はね」
エルマは、セキリュウにどのようにして会うべきか悩んでいることを打ち明けた。
「なるほど、確かに難しいね・・・」
俺はさっき買ってもらった鶏肉をパンで挟んだ鶏肉サンドをかじりながら言った。
・・・・・・
二人で色々と意見を交わすも答えが出ない。
俺は言った。
「姉さん、旧市街で美味しい店ってある?」
「美味しい店?
そうね、色々とあるけど、
スープ麺の安くて美味しい店があったけど、それが?」
(ラーメンのことか・・・?)
「じゃあ、それ食べて、フォン家の邸宅に行ってみよう。
考えていても、いい案が浮かばないし」
「決戦飯?
でも、確かにそうかもね」
俺たちは、明日に備えて寝ることにした。
俺がベッドに横たわると、エルマも隣に寝転んだ。
「姉さん、少しでいいから抱きしめてくれる?」
エルマが俺を抱きしめてくれる。
(不安や恐怖が、来ませんように・・・)
俺たちが寝静まった頃、隣の部屋からベッドのきしむ音と女の喘ぎ声が聞こえて来た。




