「十角館の殺人」
「今日さ」
「なに?」
「駅の前で地図見てる人いた」
「迷子?」
「たぶん」
「スマホあるのに?」
「それ思った」
「それで本?」
「うん」
「ヒント出す?」
「どうぞ」
「島」
「うん」
「学生」
「うん」
「館」
「……館?」
「しかも変な形」
「分かった」
「ほんと?」
「十角館の殺人」
「正解」
「綾辻行人」
「読んだ?」
「昔」
「ミステリーだよね」
「そう」
「学生が島の館に行くやつ」
「ねえ」
「なに?」
「ミステリーってさ」
「うん」
「読むとき考える?」
「一応」
「犯人とか」
「そう」
「当たる?」
「……あんまり」
「やっぱり」
「そっちは?」
「私は途中で諦める」
「なんで?」
「分からない」
「それはある」
「でもさ」
「なに?」
「十角館って」
「うん」
「閉じ込められるじゃん」
「島だから」
「逃げ場ない」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「この帰り道」
「うん」
「一本道だったら」
「……どういう意味?」
「どこにも曲がれない」
「ずっと続く」
「……」
「考えてる?」
「うん」
「たぶん」
「うん」
「途中で飽きる」
「なるほど」
「でも」
「なに?」
「曲がる場所あるから」
「うん」
「歩きやすい」
「……」
「それ」
「うん」
「帰り道っぽい」
「そう?」
「うん」
「少しずつ変わる」
「確かに」
「ずっと同じだと」
「うん」
「長い」
「じゃあ」
「なに?」
「この道」
「うん」
「ちょうどいい」
「……そうかも」




