「華氏451度」
「さっきさ」
「どうした」
「バス停の横に古本屋あるじゃん」
「あるね」
「シャッター閉まってた」
「もう遅い時間だし」
「でも昼でも閉まってること多い」
「それはある」
「それ見て思い出した本がある」
「文学クイズ?」
「そう」
「ヒント」
「どうぞ」
「本」
「うん」
「燃やす」
「……」
「燃やす?」
「仕事」
「分かった」
「何?」
「華氏451度」
「正解」
「ブラッドベリだよね」
「そう」
「消防士が火消すんじゃなくて、本燃やす話」
「かなり変な世界」
「ねえ」
「なに?」
「もしさ」
「うん」
「本読むの禁止になったらどうする?」
「困る」
「即答」
「なんで?」
「暇」
「それが理由?」
「結構大きい」
「なるほど」
「そっちは?」
「私は」
「うん」
「ちょっと隠す」
「隠す?」
「本」
「なるほど」
「全部じゃない」
「うん」
「好きなやつだけ」
「確かに」
「でもさ」
「なに?」
「本って」
「うん」
「燃やしても」
「うん」
「残るよね」
「どういう意味?」
「読んだ人」
「うん」
「覚えてる」
「なるほど」
「話せる」
「確かに」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「本なくなったら」
「うん」
「どうやって思い出す?」
「……」
「沈黙長い」
「考えてる」
「うん」
「多分」
「うん」
「話す」
「話す?」
「うん」
「覚えてること」
「なるほど」
「少しずつ」
「……」
「それ」
「うん」
「文学っぽい」
「そう?」
「うん」
「本なくても」
「うん」
「物語残る」
「じゃあ」
「なに?」
「この帰り道」
「うん」
「本になったら?」
「難しい」
「なんで」
「ジャンル」
「うん」
「分からない」
「確かに」
「でも」
「うん」
「続きはある」




