「ザ・ロード」
「今日さ、ちょっと寒くない?」
「まあ、昨日よりは」
「さっきコンビニ出た瞬間、風強くてびっくりした」
「この時間の風って急に冷たいよね」
「それで思い出した本がある」
「寒い小説?」
「そういう感じ」
「ヒント出す?」
「お願い」
「世界」
「うん」
「ほとんど終わってる」
「終末系?」
「そう」
「しかも」
「うん」
「父と子」
「……」
「分かった?」
「ザ・ロード?」
「正解」
「マッカーシーだよね」
「そう。読んだことある?」
「途中まで」
「かなり暗い」
「世界ほぼ灰色だしね」
「食べ物もない」
「人もほとんどいない」
「ねえ」
「なに?」
「もしさ」
「うん」
「本当にあんな世界になったらどうする?」
「難しい質問だな」
「考えてみて」
「うーん」
「たぶん」
「うん」
「歩く」
「歩く?」
「止まったら終わりそう」
「なるほど」
「本の中でもずっと歩いてるもんね」
「そっちは?」
「私は多分」
「うん」
「火」
「火?」
「暖かい場所探す」
「確かに」
「ねえ」
「なに?」
「ザ・ロードってさ」
「うん」
「結局、何の話だと思う?」
「生きる話?」
「それもある」
「でも」
「でも?」
「一緒にいる話」
「……」
「それ分かる」
「世界終わってても」
「うん」
「二人は歩いてる」
「そうなんだよね」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「この帰り道」
「うん」
「街なくなっても」
「うん」
「歩くと思う?」
「……」
「沈黙長い」
「考えてる」
「うん」
「多分」
「うん」
「道あるなら」
「それだけで十分?」
「多分」
「……」
「それ」
「うん」
「ザ・ロードっぽい」




