第四十四話:背尾つかさはキノコの森にようやく出発する
一旦家に帰って荷物を置くと、タバサさんのお店で街の外に出る装備を買う。
服装も、街なかではないのでスカートとか無理。頑丈なスニーカーに厚手のボトムス。シャツの上に皮製ジャケット。そして太いベルトをハーネス状に留めるバックパック。ベルトには左右にポーチと水袋。腰の後ろには厚手の短剣を。
わたし、かっこいい!
調子に乗ってマントも買う。ヒラヒラしてるのかと思ったら結構重い。そうか、マントって袖が無いコートか。それも保温性と防水性重視の。要らないかとも思うけどキノコの森で休憩するときの敷物に使うだろうと持っていくことにする。
部屋の中でバサーッて何度かやってみる。なかなか上手く翻らない。
「あんた何やってるんだい?」
しまった、ドア開けっぱなしだった!
タバサさんにまた溜め息付かれてしまった。
「ホントに大丈夫なのかねぇ。山に行った時も持ちきれない程の荷物を持っていたわけだし、何か不思議な秘密があるのはわかるけど、あんた本人がけっこう抜けているから」
「いや、秘密も何も」
旅用の装備を売って貰う以上、キノコの森への遠征をタバサさんに話さないわけにはいかなかった。
もちろん止められたけど、ドワーフとの交易が大きな利益になる以上、わたしの「料理に役立つ品物を取りに行く」という行動を止めるわけにはいかなかったようです。
そして、わたしの秘密はクマですって何度も言っているのに。見えないだけでクマが手伝ってくれてますって言っても信じてくれない。ふわふわしてて愛らしいお目目と肉球でって愛らしさを何回も話しているのに。なぜか誤魔化していると思われている。そしてやっぱり抜けていると思われている。しっかり者ですよ?
「ちゃんと気をつけますよ。準備もしっかりしたし、天井の見方も教えてもらったし」
そしてクマ達も準備万端だし。と思って目を向けると、珍しくひいろ様が短い腕を組んでう~んと首をひねっている。何か考え込んでいるようだ。
あごに手をあてて悩み、棚の奥から一番大きなハチミツの瓶を取り出してくる。なんだ、おやつに悩んでいたみたい。
たぶんだけど、わたしがひいろ様を見る目と同じなんだろうな。タバサさんがわたしを見る目は。
そして街の人たちの心配を振り切って、クマ達を連れて我々調査班はキノコの森の奥地へと向かったのでした。ふふふ、子供の頃から探検隊とかの番組は好きだったのでテンションが上がってしまう。
本音を言うと、キノコの森に行く必要は全然無い。ドワーフ達に会いに行くのにたくさんの料理を持って行きたいけれど、発酵食品は必須と言うわけではない。それに自分が行かなくてもカルダ君とかにお願いして取って貰ってもいいし、買い取り要請を掲示板に貼っておけば誰かが取りに行ってくれる。
それなのにわざわざキノコの森に行くのは、自分が行ってみたいから。
昔に絵本とかで読んだのか、それともアニメで見たのかは覚えていないけれど、大きなキノコが沢山生えている森ってなんだか見覚えのある光景の気がする。
それになんとなくだけど。本当に勘でしかないのだけど。
可愛いクマが居る気がするんだよね。
何処で見たんだろう・・・巨大なキノコの森。




