第二十三話:背尾つかさは一人(+2クマ)暮らしを始める
誤字報告、とてもありがたいです!
見直し強化より次話投稿にリソースを割くので、誤字がありましたらまた教えてください!
それから数日間は、黙々とお仕事をした。
といっても、タバサさんのお店の店番や通りの掃除などが半分だ。
残りの半分は回復薬作り。干したナオリ草を細かく挽いて少し冷ましたお湯をドリップすることで安定して中級回復薬を作れるようになった。
お湯の温度は、一度沸騰させたお湯を他の容器に移すことで20度近く下がると聞いたことがあったので、ゆっくりと二度移す。この方法で温度計無しで温度を安定させている。
シーナさんのお店に何度か通い、サイフォンを作れるか頼んでみた。
何度も絵にかいて、ホースの口を水面より下に持っていくとドンドン吸い出される現象も見せる。アレはなんていう現象なんだろう。名前があった気がする……
他にもフライパンに中に水を少し入れた瓶を立てて煮詰め、瓶の口の上にゆで卵を置く実験もやってみる。たまごより少し小さい瓶の口を通って内側に吸い込まれる姿を見せて気圧が下がる事を説明する。
サイフォン器ができれば回復薬も煮詰めずに簡単に作れるようになるし、それにサイフォン器自体も売れると思うんだ。だって、面白いから。
さんざん試行錯誤してサイフォン器を作ろうとしている様子を見たタバサさんに
「前にも言ったと思うけど、一般家庭は火を使う事はほとんどないからね。工房とか料理屋にしか売れないよ?」
と言う致命的な事を言われてしまって、わたしとシーナさんはバッタリと倒れてしまった。
わたしが後ろ向きに倒れるのをクッキー君が支えてくれたので、タバサさんからは少し浮いているように見えたらしく目を見開いて固まっていた。
そんな風に主にシーナさんに迷惑を掛けながら回復薬を作り、ナオリ草クッキーを作り、ようやく一人暮らしの生活ができるようになった。
一人とはいっても、タバサさんのお店の隣にあった工房付きの空き家を借りたので、今まで通りタバサさんのお店も手伝うのだけれど。
「ねぇ、別にうちにそのまま泊っててもいいんだよ? まぁ、部屋は広くないけれど」
「一応けじめですよ。あと、わたしいろいろ散らかすの好きなので広い部屋じゃないと足の踏み場が無くなっちゃうんです」
「ちゃんと片付けなさいよ」
「あははは」
もちろんこれは建前だ。本音は絵の具を買ったり作ったりして、クマだらけになりたいからだ。
何日たっても、ひいろ様もクッキー君もわたしの傍にいてくれる。言葉は通じないけれど、何を言いたいかはなんとなくわかるし、毎日パンケーキを焼いて一緒に食べたいし、ブラウニやシフォンケーキも作りたいのだ。タバサさんの家にご厄介になっていると、わたしがもの凄い量のおやつを食べていると思われてしまう。
一応、クマ欲以外にも家を借りたかった理由はある。
結局あの後、一度も上級クラスの回復薬は成功していないのだ。
「まぁ、気にすることは無いよ。元々そういう物なんだよ、上級回復薬っていうのは。腕のいい薬師や錬金術師でも作れることはほとんどなくて、新人が練習がてら作っている時にポロっとできたりする。そういう、精霊の戯れなんだっていわれてるんだよ」
タバサさんはそう言ってくれたが、わたしには一つ心当たりがあるのだ。
クマたちが手伝ってくれたという点は他の人とは違うだろうが、その後再現できていないので関係ないだろうというのはわかっている。
上級回復薬の上級はアレだ。『オイシ草』とわたしが名付けた草。
ナオリ草の中に一つ混じっていた、ちょっと形の違う葉。アレを入れたから匂いが変わったのだと思う。
だから、もう一度オイシ草を取りに行ってみようと思う。ついでと言っては何だけど、カルダ君にシオニ石を売ってくれるドワーフさんたちの住処を教えてもらったので、少し遠出してシオニ石とかも買ってこようかと思う。染料の材料になる物があったらしいな、と思うのだ。
感想とかかいてもいいんですよ……展開予想とか、何色のクマが好きとか。
わたし、プーさんよりパディントン派ですが、プーさんの最終話の美しさは永遠に絶賛できると思っています。




