第十八話:背尾つかさは新商品を作り出す
誤字報告とてもたすかります。ありがとうございます!
溶かしたバターが欲しいけど今は無いので無しで。カロリーも跳ね上がるしね!
いや、それを言ったら砂糖も卵も小麦粉もダイエットの天敵ではあるのだけど。気休めは大事だよ、気が休まるもの。
改めて、卵に砂糖を混ぜてもったりするまで混ぜる、混ぜる、混ぜる!
手動でかき混ぜるのがこんなに大変だとは。電動のならば……。ん?
「ひいろ様、これかき混ぜてくれる?」
電動の泡立て器がないなら、クマ動力だ。精霊様だろうと、立ってる物は親でも使うのが厨房の流儀。通りがかりの男性社員に紙が詰まったコピー機を直して貰ったら社長だった事があるわたしからすれば造作も無い事。
両手で抱えるように泡立て器を持ち、全身を左右に振るひいろ様はいつまででも見ていたい。ついつい際限なく踊るしっぽを眺めていると『まだぁ?』といわんばかりに見上げてくるので、仕方なく次の工程に進もう。
フライパンを温め、混ぜた卵に小麦粉をいれる。ここでの混ぜ方でサクサクになるか決まるので手早く!
スプーンで少し取りながらフライパンに落としていく。半分ほどは普通に作って、残り半分には刻んだナオリ草を混ぜてみる。大きさを整えるために落とした端っこが沢山あるのだ。これを更に細かくすると、紅茶の葉みたい風味が良くなるかも。
ナオリ草は薬草だとタバサさんに言われているのに、温度調節を気にするあまりすっかりお茶の認識になってしまった。ハーブティーというものもあるから駄目なわけじゃ無いと思いたい。
軟膏にして売っているのは保存のためで、そのまま飲んだり吹き付けたりでも効果はあるとタバサさんに聞いていたので少なくとも害は無いだろう。
熱で薬としての効果を減じるだろうけど、香りでリラックス効果くらいにはなればいいな、と気楽に考えている。ナオリ草は少しスーッとする良い匂いがするのだ。
生地にナオリ草をいれる姿を見て手伝おうと思ったのか、焼き加減を見ているあいだに、横に避けて置いたナオリ草とは違う葉っぱをひいろ様が混ぜてしまう。
「ひいろ様? これ、食べて平気な葉なの?」
大きくマルをつくる仕草。頭の上に手が届いていないが、わたしのハートには届いた。
「ひいろ様が平気っていうならいいけど、お料理に何か入れるときは一緒にやろうね?」
はーい、と元気よく手を上げる。無制限に信頼できる、この可愛いらしさ。
火加減をファジーに調節してくれた小さな赤クマのおかげか、自宅でガスコンロを使って焼いた時よりも綺麗に焼けた。
一つ味見してみると、ちょっとパサつくけれどとてもおいしい!
ひいろ様がなぞのくさを入れた方はほんのりバニラ風味の香りもしていて、甘みが強くなっていた。仮称であの草をオイシ草と命名しましょう!
みんなに分けようとしたところで、赤クマがバイバイと手を振って消えていく。火の仕事が終わったら居なくなってしまうのか。寂しい。
ちらりとクッキー君を見る。頼んだことが終わっても居てくれる条件は何だろう?
魔法の言葉で呼び出している点は同じ。絵の具かな?
わたしの好奇心は横に置いておこう。二人のクマたちは椅子に座って足をパタパタして待ちきれない様子だけ。
二種類のクッキ……焼き菓子の大きめに作った物を、それぞれの両手に持たせてあげる。
バンザーイと両手を上げて喜ぶ二人の前に、ミルクを入れたカップを置く。
紅茶もいいけど、焼き菓子にはミルクだよね。ミルク草からの絞りたてですっ!
パクリと口いっぱいに頬張り、ぱあぁーっとキラキラの笑顔を浮かべる二人。何よりのご褒美です。
もう一つのお菓子にかぶり付き、ミルクをひとくち。今度はキャーッと目をバッテンにして空いた片手をブンブン振り回す。
こんなに喜んで貰えるならまた明日も作ろう。同じ材料でホットケーキも作れるし!
感想など気楽~に頂けますと、とても喜びます。私もクマも。




