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最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます  作者: あまうい白一
第5章

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8話 応相談

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 広間のテーブルについた俺は、牡丹からお茶のサーブを受けながら、対面に座るカトレアとゲイルから話を聞いていた。


「ゲイルは説明下手じゃったから、まず今日の経緯からに話すとじゃな。ワシが精霊道関係で依頼している仕事がゲイルにあるのじゃよ。で、今日はその件でゲイルに会いに来たんじゃが……その仕事がアクセルの目的にそぐう、という話になってな」

「目的というと、精霊道を見つけて、その先の泉に行くってやつか?」

「うむ。それでゲイルに『アクセル君も居るところで話したい。今いる場所を探すからちょっと待ってくれ』的なことを言ったら、無言でここまで歩かれてな。――で、この状況になったわけじゃ」


 だからさっき戸惑っているような表情をしたのか、と俺は先ほどのカトレアの表情の意味を理解した。


「全く……アクセルがここにいるならいると、そう言えばよいのに」

「ただの客である己が、ここの宿泊者の情報をばらすわけにはいかぬ。行動が精々だった……」

「お堅い奴じゃのー。まあ、口が堅いのも美点じゃし、悪い事じゃないんじゃけども……」

「そうですね。当館の長としては、ゲイル様の選択は有難く思いますよ、カトレア様」


 俺たちにお茶を淹れてくれていた牡丹は、そうしてカトレアに微笑みかける。


「おうおう、分かっとるわい。情報を守るは大事じゃからの。……ともあれまあ、今回の精霊道の仕事は、精霊都市全体に関わる事じゃから、牡丹。お主も聞いていくといい」

「ええ。そのつもりでここにいますとも。ただ、カトレアさん。例の話は……」

「それについても今まさに、色々と試行錯誤している最中でな。上手くいきそうなら、ちゃんと連絡させてもらうのじゃ」

「はい、お願いしますね……」


 牡丹は真剣な表情でカトレアに言っていた。

 今まで見たことがないほど、深刻さが見える顔だった。


「何か、困りごとか? だったら先に話してもいいけれども」

「あ、いえ。……今するにしては関係性が薄い話ではありますので。気にしないでください」「そうか?」

 

 精霊都市全体に関わる事、とも言っていたし、何かしら抱えてるものがあるのだろうけれども。まあ、牡丹が気にするなというのであれば、今は一旦置いた方がいいのだろう。


「ああ、うん。そうじゃな。今する話ではないし、役者もそろったという事じゃし、本題に入ろう。――先ほどの、ゲイルがアクセルに協力できる、という話じゃな」

「それ、気になっていたんだけどさ。ゲイルの今受けている仕事って、あれだろ? 魔獣討伐。俺への協力になるってことなのか?」


 宿に来るまでにゲイルとした会話で得た知識を思い返しながら、俺は聞いた。するとゲイルが頷いた。


「肯定だ。己が魔獣討伐しているのは――精霊道を狙って出現する魔獣を潰すため、なのだ」「精霊道を狙う?」


 どういうことだ、という疑問を発する前に、カトレアが声を重ねてきた。

 

「そうじゃ。精霊道というのは魔力で構築された次元を渡るための道でな。出現の際に濃密な魔力を空間に垂れ流す。それを食いに来ようとする魔獣が出るのじゃ。――そして、魔獣に魔力が食われてしまえば、精霊道は出現することもできないのじゃよ」

「へえ、それは……確かに魔獣討伐は大事な仕事だな」

「うむ。……少し前までは、魔獣の出現も少なかったのじゃがな。本当に今は大変なんじゃ。精霊道の発見も何も、出現前に魔力をかぎつけられて食われたらどうしようもないからのう」

 ため息とともにカトレアは言う。

 ただその言葉の中に気になった部分があって、


「あれ、前からそういう仕組みじゃなかったのか?」

「ああ。そうじゃよ。以前までは出現と同時に結解が張られて、魔獣たちは近づけなかった。その結解が目印にもなっていたレベルじゃったけれど、ここ最近は、なぜかそれがなくて、魔獣が集まるようになったんじゃよ」

「カトレア様の言う通り、ここ数か月、精霊都市周辺の魔獣の集合率は本当に酷いですからね。医療ギルドの者も戦闘に出ることが増えましたし」


 牡丹も悲し気に眉を下げながら言う。


「うむ……。じゃけどな、これは悪い話ばかりじゃなくてな。ゲイルのお蔭で、魔獣も減りまくっていてな。しかも、魔獣の集合していた場所から、精霊道が出てくる場所を計算して推測できるようになったんじゃよ。魔獣が集合するのが良い目印になるとは皮肉なもんじゃが――けど、先程な。計算が完了してな。この街に隣接する草原。そこに次は出るであろう、という目星がついたのじゃ」

「おー、そりゃあ良い話だな」

「じゃろう? で、協力の話はここからなんじゃが――アクセル。それに、他の皆も、今日、これから時間があるなら、ワシら魔術研究所の者と、ゲイルと一緒に、草原に来てくれぬか?」

「……ってことは、今日はこれから、精霊道が出現するってことなのか?」


 俺の言葉に、カトレアは、小さく頷いた。

 

「精霊道は一日のうち、朝、昼、夕方の三回出現するのじゃ。つまり、今からだと夕方の草原に魔獣が集まる場所。そこで魔獣を討伐すれば精霊道は出現する……筈じゃ。今まで通りならな」

「なるほど……」

「じゃからな。まずは魔獣を倒せる力の持ち主は多い方が良いと思ってな。君たちに協力をしに来たというわけじゃ。それと、これはワシらに依頼されたことじゃが、もしも精霊道が見つかったら、通り方を含め、色々と説明したくてな。そういったことから、今日、これからやれそうか、と聞きに来たという訳なのじゃ」


 カトレアはそう言った。

 

「説明はこれくらいじゃな。やれそうかの?」


 その問いに対する答えは、俺としては決まっていた。

 そして、部屋の中で話を聞いていた仲間たちも同様の気持ちであることは、彼女たちの頷きで分かった。だから、

 

「もちろんだ。温泉で元気になったことだし、俺たちの目的の為でもあるしな。しっかりと精霊道を見つけるための協力はさせて貰うよ」

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