表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます  作者: あまうい白一
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/177

1話 プロローグ

お待たせしました。第5章開始です。

 暗闇の中の円卓。

 コカクは、一人卓の上で幾つもの巻物を積み上げ、そして中身を眺めていた。

 

「勇者アクセルの身辺情報は、殆どが隠蔽されているか、世に出て来ていない、か」


 調べても情報は出てこない。

 不可視の竜騎士とはよく言ったものだ。

 業績だけは知られていて、本人に対する情報は見えないのだから。

 

 しかし調べていく中、一つ思い当たった事がある。


 それは一つの記録にあったモノ。

 降神祭にて、地に降りた神に攻撃を加えようとした人間が、下位の職業に転職することになった、という経緯が掛かれたものだ。


「もしも、だ。竜騎士アクセルがこのケースに当てはまるとしたら、あやつは――神に、手を出したのか……。それも、降神祭では無い時期の、神域にいる神に……」


 あくまで可能性だ。

 推測でしかない。

 そうは分かっているが、コカクの胸は躍った。


「ああ、会いたい……。会ってみたいぞ、竜騎士アクセル。あやつが、我らが宿願の一部を成し遂げたというのであれば。あやつが、我らが本懐を遂げるための『経験』を持つ者であるならば……!」


 そしてコカクは立ち上がる。


「我々も神に挑むために。その顔、拝見させてもらいに出向こうぞ、竜騎士アクセルよ……」



 とある建物の一室は今、暗闇に包まれていた。

 窓のない部屋の中、ぼんやりと明かりに照らされた玉座がある。

 

 そこに座るのは、黒い靄で出来た仮面で顔を隠した人のような姿だ。


「今日の報告は以上だな?」


 玉座に座る者がそんな声を聞かせたのは、目の前で膝を付く、浅黒い肌をした耳の長い青年だ。

 そして青年は、玉座の者の声に即座に頷いた。


「はい。コカク様。先に話したのが、かの古代種についても、そして人間たちの動きについても。現状で得られた全てになります」


 青年の返しに、コカクと呼ばれた玉座の者はふむ、と頷くと、


「よろしい。では、これにて解散だ。下がっていいぞ」

「了解しました。このあとは食事の準備でも――」

「――ああ。それは必要ない。私も用事があるのでな」


 そういって、玉座を立った。

 そして、己の顔に仮面のように張り付いた黒い靄に触れた。

 

 瞬間、仮面の一部が黒く輝き、コカクの手に一着の服が生まれた。羽根のような物を何重にも組み合わせた外套だ。

 それを羽織りながらコカクは青年に向けて言葉を放つ。

 

「今宵は、ここで失礼させて貰うよ」

「その服を着られるという事は、コカク様。これから、外に出られるのですね」

「ああ。ちょっとした散歩だ。都市の方へな」

「……では私と部下もご一緒に――」


 青年の言葉が終わるよりも早く、コカクは首を横に振った。


「必要ない。付いてきたところで、やる事はないだろう」

「しかし、護衛は……」

「それも、だ。お前たちの今の力では、私の護衛は出来ないだろう?」


 言われ、青年は何かを言おうとして、しかし首を縦に振った。

 

「……そうですね。コカク様より力を扱えておらず、未だにサポートを務める事が精々でしかない我々では、不可能です」

「ああ、感情に惑わされず冷静な分析が出来ていているのは良い事だ。偉いぞ。……あの奔放で、感情でしか動かない、傲慢な神のような振る舞いをするよりも何倍も良い」

「有り難いお言葉です、コカク様。全てはこちらの力が足りないのが原因だというのに……」

「なに卑下する事はない。いずれキミたちも強くなる。それに元より今回は、都市へ行って、大まかな情報を集めてくるのが目的だ」

「情報……例の勇者と、神々について、ですね」

「それだけ、というわけではないがな。何にせよ、今回はむしろ大勢で行く方が、動きづらい。故に私だけで良いのだよ」


 コカクの言葉に、青年は静かに頷いた。


「……かしこまりました。それでは、お戻りになるのをお待ちしております。私は私で、予定通り、情報収集を続けていきますので」

「ああ。任せたよ。……では、行ってくる」


 言いながら、外套を羽織ったコカクは、青年に背を向ける。そして、

 

「……彼が今どこにいるか、正確には分からぬが、折角の機会だ。一度会えたら嬉しいのだけどもな。……ああ、なんにせよ、楽しみながら行くとするか」

 

 微笑むような、僅かに弾む声を発した後、一瞬のうちに闇へと身を溶かすように、その姿を消したのだった。



いつも応援ありがとうございます!

面白いと思って頂けましたら、下のブクマ、評価など、よろしくお願いします!


また、今週の2/19(水)に、竜騎士運び屋のコミックス5巻が発売します! 

とても面白いので、ぜひ、お手に取って頂ければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ