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正義のヒーローはやっぱり頼りになる!



「大丈夫だ! 助けに来たぞ!!」


 4人の冒険者が、近寄って来るのが見えた。

 エリーザの絶望に染まりかけていた思考に、光が差す。諦めようとしていた自分が、変わっていくのを感じる。


 何を諦める? まだ終わらない、終われない。

日頃の行いが良いせいだろうか、やはり助けは来るに決まっている。当然だ。エリーザは神様に愛されているのだから。


世界はエリーザを中心に回るのだ。周知の事実ってやつである。


 先程の憔悴した心が嘘のようである。が、これがエリーザの通常運転だ。むしろ、あんなに惨めな気持ちになった事こそ珍しいと言える。

 

 スライムの壁を切り裂いて現れた青年に抱き締められる。


「怖かっただろう……もう、大丈夫だ」


 どうやらこいつらは、キングスライムの存在に気付いてはいないようだ。もし気付いていたら、ここまで余裕ではいられないはずだ。

 小動物のように震え、すすり泣く―――演技をする。


「お兄さん達、だぁれ?」

「エイヴァラル、といえば分かるか?」

「っ! あのエイヴァラルなんですかっ」

 無邪気にヒーローが現れたことを喜ぶ少女になりきりつつ、頭ではさらに思考を巡らせる。


 こいつら、ドリセアから何も聞いていないのか?だとすれば、こんな都合のいいことは無い。


「私、とってもでっかいスライムに追われてて、それでっ」

「何―――あれか」

 エリーザが指をさした先、キングスライムもこちらの姿を認めたようだ。ズルズルと、巨体の割に機敏な動きで近づいてくる。


 新たな獲物を見付け、武者震いでもする様にプルプルと震えるキングスライム。それに対峙するエイヴァラル達は余裕の表情だ。

 その背後で、エリーザはほくそ笑んだ。

 

 すぐにキングスライムとエイヴァラルの戦闘が始まった。

 だが、たかがスライムの親玉と生ける伝説のエイヴァラル、勝負になるはずもない。誰一人怪我を負うことなく、キングスライムは斃れた。


「すごいわ、あんな大きいのを、一瞬で倒しちゃうなんて!!」

「当たり前じゃない、私達は『エイヴァラル』なんだから♪」

 エリーザの歓声に、アルダは得意げに笑う。その間、メリアがエリーザに怪我が無いか確認する。幸い、軽い火傷しか負っていないようだ。


「今から、氷魔術で炎の勢いを弱める。その隙に、壁を壊し外へ出る。いいか?」

 セシルがエリーザに作戦を説明する。

だが、エリーザの反応はエイヴァラルが予想していたものとは全く違うものだった。

「そうねぇ、その必要はないんじゃないかしら?」


 え、と声を上げる間もなく、エリーザはヴィレジーを喚んだ。


「エリーザ、目が赤いけど、もしかして泣いてた?」

「うるさいわ、ヴィレジー。さっさとここから出るわよ。暑くてしょうがないわ」

 エリーザは抱っこをせがむ子供の様に腕を伸ばし、ヴィレジーはそれをしっかりと抱き上げ、飛んだ。


「―――な、なんなんだ、お前は……お前達は」

 驚愕に固まっていたセシルがようやく唇を動かす。

 驚くのも無理はない。

 何せ、先程戦おうとしていた相手がこの大火事の中、天井を壊して上から現れたのだから。


 背中に、純白の翼を生やして。



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