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捨て駒の罠師  作者: ポコナムチン


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第8話 少女の苦悩

少年の誘いに、少女は戸惑う。


「私なんかでいいの?」


困惑した様子だが、口がにやけているのを隠せていない。


「えぇ、あなたがいいんです。」


「初めて見たときから思っていました」


おっと、少し言い過ぎたようだ。


赤面した彼女から繰り出される平手を、僕は回避できなかった。


ベシンッ


大きな音がこだまする。


あの時のスライムより痛かった気がする。


そうして僕たちはギルドへと戻った。


「そういえば君の冒険者者ランクは?」


「私?いろいろな依頼をこなしてたから今は2よ」


そう言って得意げにカードを見せてくる。


「すごいじゃないですか!!」


「頼りにしてますよ?」


そういうと彼女は顔を真っ赤にして照れる。


どうやら褒められなれていないらしい。


「それじゃあこれはどうですか?」


そう言って手に取った依頼書を彼女に見せる。


『廃村の探索 推奨ランク2』


「廃村?この近くにあるの?」


悪い反応ではなさそうだ。


「そうですね。最近怪物によって荒らされたものらしいです」


自分の村がそうだったように、この世界では珍しいことではない。


「分かったわ。それじゃあ準備しましょう」


「準備?」


少年の問いに少女は少し驚く。


「え?しないの?」


「水や食料、必要なら道具やポーションだっている…でしょ?……」


そこまで言って気づいたらしい。




僕たちは無一文だ。


さすがに冒険に行くのに装備なしというのはあり得ないらしい。


それを聞くとあの大剣使いがいかに異様だったかが分かる。


ギルドの椅子に座り何かいい案はないかと模索する二人。


すると。


「よしっ」


何か覚悟をしたかのように、少女が椅子から立ち上がる。


「ついてきなさい」


そういわれついていくと、彼女は質屋の前で立ち止まる。


「おじさん。これいくらで売れる?」


そういい店主の前に差し出したのは。


「指輪?」


真っ赤な宝石のついた指輪だ。


「ちょっと待ってな」


そういうと店主の男はそれを追って店の裏へ消えてゆく。


「あの指輪は一体?」


少年の疑問に少女は答える。


「ただの指輪よ」


「私が冒険者を始めた日、パーティーのみんなでお揃いのを買ったの」


少女尾はさも当たり前化のように返す。


「まぁ今となってはあまり必要ないものね」


その言葉に自分は何も言えなかった。


「金貨10枚ってとこだね」


店主の男が査定を終え、戻ってくる。


「安いわね。でもいわ。」


少女はそういい、指輪を金貨と交換する。


「本当によかったの?」


すでに売り払った後だが、少年は少女に確認する。


「別にいいのよ。」


少女は淡々と返す。


「それに、」


「今のパーティーはあなただもの」


そういうと少女は、自分に向かってにこりと笑った。


しかし、いくらパーティーとはいえその金は彼女のものだ。


「僕の分はいいから、先に自分に必要なものを買いなよ」


少年は遠慮がちに彼女へいう。


「そうね。わかったわ」


そういい、彼女が向かった先は。


「防具屋…」


少女は、店に並んでいるブーツを、あれでもないこれでもないと試している。


自分はこんな装備を買う金などない。


それに、なんやかんやで今までも装備なしでやってきたのだ。


今回だってなくても何とかなるさ。


そう思い、店の外で待っていると彼女が出てきた。


店の外に出る瞬間、遠くで金属がぶつかる音がする。


その音に、少女の足が一瞬止まる。


「……っ」


呼吸が浅くなる。


目の奥に、ほんの一瞬だけあの日の記憶が浮かぶ。


「大丈夫ですか?」


「……平気」


そう言うが、声が少し遅れている。


そして次の瞬間には、いつもの表情に戻る。


気を散りなおすように、少年は尋ねる。


「おかえり。何買ったの?」


彼女は赤面しながら紙袋の中身をあさる。


そして、黒色に輝くブーツを取り出し。


僕の前に差し出した。


「これ!あなたが使って!!」


訳が分からない。


どうして自分ではなく、僕に?


「だってあなた、ほとんど丸腰じゃない。」


「その皮手袋だってボロボロだし…」


あの日ダンジョンで得たを見た彼女は、小さくつぶやく。


「でも悪いよ!!それに、自分の分はどうしたの!!」


「私は前から使ってるのあるし」


「それに前も言ったでしょ?」


「あなたとはもうパーティーなんだから」


そう言われ、少年は震える手でブーツを受け取る。


今はいている靴よりも何倍も高そうなそれは、不思議と足になじんだ。


先ほどまで何度も試していたのは自分のためだったらしい。


「それじゃ行きましょ?まだ必要な買い物はたくさんあるわ」


そういうと二人は、にぎわう街の中へ駆け出して行った。

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