王都防衛部隊第五番隊
「防衛部隊?」
セニオリフィスは眉間を寄せる。
「よく耐えたな、少年少女よ」
恐らく隊長である人が呟く。
「なぜ今になって?既に王都は壊滅。あまりにも遅い到着ではないか?」
セニオリフィスが冷笑しながら、言う。
「ここに来るまでに王都の門で魔物の進行を止めていたからな」
騎士隊長が答える。よく見れば騎士達の鎧はボロボロで、欠けていたり、傷があったりしている。
「抜刀」
隊長の持っている剣が変形する。剣の先から真っ二つに分かれ、微かに光を放つ。
「『対魔族抹殺光剣』に、変形完了」
聖剣がウィルバードとやらに呼応する。あれは聖剣の力を宿している?
ガシャガシャガシャと他の騎士達も剣の変形を完了する。
「第五番隊、死ぬ覚悟でかかれ!」
隊長が飛びかかる、セニオリフィスが漆黒の剣を取り出し防ぐ。ガキイィィィィン!
戦闘開始と同時に魔物が上空にいた魔族達が動き出す。騎士達がとびだす。
「、、、」
何が起きているのか最初は理解できなかった。突如第五番隊が来たかと思えば、魔族と、魔物と戦っている。
「殺せぇ!」
魔族が襲いかかってきたので聖剣で斬り捨てる。
「ミナ!みんなに防御魔法はかけられる?」
「で、できると思います!」
「時間を稼ぐ、詠唱に集中を!」
「はい!」
僕はミナに指示を出し、ミナが詠唱を始める。その間に僕は魔族と魔物の討伐に専念する。
「《速》!」
《光速》とはまた少し違う速力強化魔法。光魔法とは少し違うが、似ていると本になっていたので習得した。《光速》はそのまま光の速さで、人が少ない時に使える。《速》は速い。人が多い時に使える。ガクンと速さは下がるが、その分巻き込むことはなくなる。まさか使うことになるとは。
魔物をバッタバッタと斬り倒す。チラッとミナの方を見る。1人の魔族がミナを狙っている。
(ミナの方に魔族が!)
急いで戻る。まあ間に合うのだが、と余裕をかますことができない。相手は相手で早い、間に合わない。
(頼む!間に合ってくれ!)
聖剣がうっすらと光始める。石につまずいた。
「え?」
「ぎゃああ!」
ブズッと『運良く』魔族の心臓に聖剣が突き刺さった。どんな幸運だよ。
「〜〜〜、、神の護りを!」
「《最高位防御魔法!》」
ミナの長い詠唱が終わり、騎士隊員達と僕に結界が張られる。
「ナイス!ありがとう!」
「いえ!」
自分の役目をしっかりと果たせて嬉しいのか、にっこりと微笑む。その後ろ、第五番隊隊長がセニオリフィスと激闘を繰り広げていた。一瞬だが隊長が押しているように見えた。しかし、よく見ると隊長の様子がおかしいことに気づく。
「何だ?」
急いで駆け寄る。近寄るに連れ、話し声が聞こえて来る。
「ぐっ!」
「おら、どうした?もう力尽きるのか?」
「つ、!」
ギィン、ギィンと剣がぶつかり合う音が聞こえる。連戦続きで騎士隊の疲れが見えてきている。他の人達もそうだった。だが、幸運なことに重傷を負っている者が数名いるが、死者は出ていない。
「このまま皆の前で死に晒すが良い!」
「させるかぁ!」
間一髪の所で攻撃を防ぐことができた。隊長だけ《最高位防御魔法》が張られていない事に今気がついた。
「大丈夫ですか!?」
「ああ、すまないな、、」
「ゆっくりと休んで下さい」
隊長はゆっくりと後退する。僕はセニオリフィスと見つめる。
「はっはっはっ!勇者の末裔自らが相手してくれるか!面白い!」
(あいつに隙を見せれば確実に殺される。ならば、気を逸らせば勝機は見えるはずだ!)
「《光の矢》!」
光が凝縮された矢の形をしたものが、空間に多数出現した。
「そんなもので気を逸らそうとしてるのか?」
笑いながらそんなことを言ってくる。僕の目的はこれでは無い。
「《光よ強く》!」
凄まじい光量の目眩しを放つ。流石にこの光だと防ぎようがなかったようだ。
「小癪なぁ!」
聖剣に多量の魔力を流し込む。それを糧に、聖剣が光だした。
「ああぁぁあぁ!」
セニオリフィスの左肩に剣を突き刺し、そこから心臓を通過して右下腹部まで掻っ切った。
「ッッッッッ!!!!!!!!」
声にならない悶絶を発する。聖剣に魔力を流したことで聖の力が格段に上がった。故に魔族に大ダメージを与える事ができるのだ。
「グブッ!ぼぉええぇぇ!」
ビシャビシャと血を吐き出す。
「つ、、ここまでとは、な。だが…私は死、死なない。貴様を…殺すまで、はな」
あえぎあえぎ話す。しぶといやつだ。
「慣れてきたな…この痛み」
「何!?」
こいつやっぱり他の魔族とどこか違う。聖剣で斬られて、死なないのもおかしいしが何より痛みになれると言うのがおかしい。
「皆の者!撤退だ!」
セニオリフィスが全魔族に向かい大声で叫ぶ。
「逃すかぁ!」
「さらばだ、勇者ライト。次会った時は貴様に地獄を見せてやる。」
闇の支配王は大きく羽ばたいて空の遥か彼方へ、仲間の魔族を連れて飛び去っていった。
「クソ、、」
僕はその姿にただ不満を吐くことしかできなかった




