光剣
鎮火作業と生存者を探す。魔物の進軍により、生き残った冒険者は僕とミナを含め、約10名ほど。重症ではあるが皆意識はあり、まだ生きている。
「我らは王都防衛部隊第五番隊の者だ。ひとまず謝らせて欲しい。王都を守れなくてすまない。」
隊長が一礼。それにつづき騎士隊員達も一礼する。
「あんたら、王都の門を守ってくれてたんだよな」
1人の冒険者が静かに話す。
「おかげで魔物の倒す数がだいぶ減った。さすが防衛部隊だな。」
「そうですね。ありがとうございます」
僕もすかさず礼を言う。
「こちらこそだ、少年。君の援助が無ければ今頃私は亡き者になっていた。」
隊長が頭を下げる。
「さて」
頭を元の位置に戻す。
「これからリッカルの死者たちの弔いをしなければならないな。協力してくれるか?」
「勿論です!」
「はい!」
僕とミナは賛成する。元々この戦いが終わったら弔いをする予定だったから好都合だった。
こうして生存者は死者を集め、綺麗に埋葬し焚き火を焚いて弔いをした。
***
「少年」
「どうされました?」
隊長に名を呼ばれた。何やら真剣な顔でーまあ、兜を装着しているから顔は見えないけどー
「君は勇者なのか?」
「いえ全然違います」
即答。聖剣を持ってるし、魔族が嫌う光魔法を扱うが断じてそんなことは無い。
「そうなのか、いや。さっきの魔族…セニオリフィスとか言ってたな、そいつが少年にやたらと執着していたからな。気になっただけだ。」
「そうですか」
「隊長!」
「何だ?」
1人の女性騎士が呼びかける。この人は顔が見えているが、その顔はやけに苦に満ちていた。
「お耳を」
ごにょごにょと話す。隊長はゆっくりと頷き、そして僕を見て話し出す。
「急な予定ができてしまった。少年、別れる前に聞きたいことを一つだけ聞いてやろう。」
もしかしたらもう、、と呟いて言葉をつぐむ。
「では、あなたの使っていた剣について聞きたいです。」
「これが気になるか?」
シュラ、と鞘から剣を抜く。今はただの長剣に見える。
「この剣は光剣。力を失った聖剣の一部が組み込まれている特殊な剣だ。」
「聖、剣?」
「そうだ、聖剣だ。少年の持っているそれがそうだろう?」
「え!?聖剣って力を失うとかあんの!?」
思った以上に大きな声が出た。だって聖剣ちょっとやそっとじゃ壊れないはずじゃ
「ああ、あるさ。何らかの理由で聖剣が力を保てなくなり、破壊することが。」
「そうなんですね」
「その欠片を集め、この剣を作る時に入れたのだ。魔力を流せば本来の力が出る。その時以外はただの長剣だ」
剣を鞘に納めながらそんなことを話す。
「さて、我々はもう行かなくては。」
「あ、待ってください!」
「最後に一つ、いいですか?」
「最後だな。いいぞ」
「名前は?」
とてもテンプレの質問をする。名前を知っといても損はない。
「名か?…シロナ・アールアイ。さらばだ少年」
踵を返し、他の仲間と共に荒野化したリッカルを去っていく。
「かっこよかったな」
僕はそう感じたのだった。




