捨てられた神聖魔法使い
「おはようございます!」
「おはようさん」
街の人々に挨拶をしながら祭りの準備を急ぐ。祭りは明後日。重い物を運びながら王都を駆け回る。
「これここでいいですか?」
「いいぜ!ありがとうな!」
もっている物を置き一礼。それでもってもう一度戻り物を運ぶ。これの繰り返し。評判だけは下げないように必死になって手伝う。ライトさんが生きて戻ってきたら一緒に祭りを楽しむためにも。ズキンと心臓が痛んだ。また考えてしまった、考えないようにしていたのに。
「ミナちゃん!危ないよ!」
「え?うわわ!」
近くにいた行きつけの店の店主が声をかけた。木箱を数段抱えて駆けていたため、前がよく見えておらず、前の人とぶつかりかける。スレスレで回避に成功。
「す、すみません!」
「いえ、こちらこそ!」
なんせ街は準備で忙しく、自分や周りの事を気にする余裕がない。相手も同じである。バタバタとあっちこっち動き回る。準備には大人だけではない、小さい子供もいる。最新の注意を払わなければ事故になりかねない。たださっきも言ったように周りを気にする余裕など、ない。
「ごめんなさい!通りますね!」
「「はーい!」」
キャーキャーワーワー楽しく遊びながら物を運ぶ子供達。それでもしっかりという事を聞いてくれるいい子たちである。
「各自適当に昼休憩してくれ〜!」
開催主が大きな声で呼びかける。自分の感覚ではまだ1時間程だと思ってたけど、お腹が小さく鳴った。すでにお昼時である。時間の進みは早い。
ーーーーーーー
「よいしょっと」
「ありがとう、とても助かったわ」
「いえいえ」
太陽が沈み、月が見え始めている。手伝いをしてから12時間。腕が痺れ、汗をかくほどの重い木箱を運んだ。評価を下げるようなこともしていない。上出来だ。
「ミナちゃん、今日はありがとう。もう休みな」
冒険者のお兄さんが話しかけてきた。
「はい、お疲れ様でした!」
一礼。180度回転し、ギルドの帰路についた。
ーーーーーーー
「戻りました!」
「お帰り!」
アイナさんの元気な答えが返ってきた。
「評判下げないように頑張りました!」
「あー、、」
何故かアイナさんが困ったように声を出す。
「そのことなんだけど、、」
ーイグニスの寝室ー
「イグニスさん!」
「おーどした?」
「私をクビって、、どう言うことです!?」
アイナさんから衝撃の事実を聞かされた。イグニスさんが今日を持って私をパーティーから除籍すると。
「あー、、お前俺があげた指輪つけてないだろ」
「え」
実は私は2日前にイグニスさんから指輪をプレゼントされた。それもただの指輪ではなく、婚約指輪として。この話は誰にもしなかったし、したくなかった。イグニスさんが私に好意を寄せていても、私は好意を寄せていない。でも、貰った指輪は捨てるのも勿体無いから大切に保管している。
「それが何ですか?もしかして、そんな理由で私を?」
「、、で悪いか?」
「ひどい、、少なくとも尊敬はしていたのに」
「今俺の女になれば除籍を撤回してやらんこともない」
語気を強めて言う。
「……」
「あ?」
「私は貴方のことなんか別に好きじゃないです!」
「ああ、そうかよ!」
イグニスさんは席を立ち、舌打ちをして、扉を強く閉めた。
「ひどいよ、、何で、、」
泣きたいのを堪える。なんで私が、、。評判を下げないよう頑張ったのに。こんな仕打ちってないよ。
こうして私はイグニスさん達のパーティーを強制的に追放された。




