捨てられた光魔法使い
ダンジョン攻略は第11階層で終わった。原因はほとんど何も考えずに突っ込んでいったイグニスにあるが、ライトが足を引っ張ったから失敗したんだとイグニスが言っていた。
ギルドの酒場
僕達は1つの大きなテーブルを囲んで、料理に手をつけながら、
「全部ライトが悪い」
と言うイグニスの不満を聞いていた。
料理が運ばれて早々に酒を飲み干し、永遠に愚痴をこぼすものだから食欲が無くなってくる。
「そうよ、さっきのダンジョンで私の矢に小細工をしたって言うけど結局何も細工されていなかったじゃない」
アイナが落ち着いた声で、しかしそれでいてひどく冷たい声で話した。
「何を言ってるんですか!」
それにミナが反論する
「さっきのボス階層はライトさんの援護がないと敗北してましたよ!」
「んな事言ったって結局11階で終わったんだ。変わらねぇだろ」
「そうよ」
「なん、!」
「もういいよ、ミナ」
引き続き反論しようとしたミナを制止した。この人達に何を言っても意味は無い。
「でも…!」
ミナは言い足りないようだが、ここは抑えておく
「気持ちだけで十分だよ。事実を言われてるんだし」
ハハ、と苦笑する。正直殴ってやりたいと思っているが、そんな事が出来るはずがない。なんせ僕は
「僕は不遇魔法使いなんだから」
〜〜〜
翌日 ギルドの宿にて
「よく聞け!お前ら!」
イグニスの大きな声で眠気が覚める。
「今日は昇格試験に行くぞ!」
「そりゃまた随分と急ね?」
アイナが言う
「俺たちはAランクだ!だがしかし、まだ見ぬ魔物や宝が上にはある!」
イグニスが高らかに言う。
「それに、この俺炎龍の剣士イグニス様と聖剣のエクスカリバーがあれば余裕で行けるだろうよ!」
その自信は一体どこから湧いてくるのだろう。因みにイグニスの持つ聖剣エクスカリバーは勝手につけた名前で、本当はそこら辺に売られている高価な剣なのだ。
「アイナ!ミナ!一緒に来てくれるか?」
「もちろん、イグニスに着いていくよ」
「私もいいですけど…」
「ライトも来るか?」
「え?」
予想していなかった問いかけが来た。
「行っていいの?」
「もちろんだ!仲間だろう?!」
ニカッと笑う。なんだろう、すごく嬉しくて少し不安も感じられた
〜〜〜
ランク昇格試験は指定された魔物を討伐するだけの極めて簡単な試験であるが、Sランクとなると話は別だ。討伐目標は古代龍皇で試験時間は今日の日没までだ。
そいつはこの森の最奥に居るらしい。
「もうちょっとで最奥部だ、気を引き締めろよ」
歩みを止めず、振り返りもせず、イグニスが言った。
最奥部まで進むに連れてドラゴンの寝息のようなものが聞こえてくる。
グルグルグル
日に当たっているそこにそいつはいた。黒い竜で所々紫色に光っている。
深く眠っている。
「よし、今がチャンスだ。いつも通りに行くぞ!」
「了解!」
「ら!」
イグニスが炎を纏い、竜に斬り掛かる。
「《矢の雨》!」
10本の矢が雨の様に竜の上に降り掛かる。
しかし、それら全てのダメージは竜に入っていない様に見えた。
「グロロォ」
異変に気付いたのか、竜がゆっくりと目を開ける。
「!!」
「竜が目覚めた!」
「グロォアァァァ!」
古代龍皇が咆哮をあげる。
高い、全長合わせ6メートル近くはある。これだと目眩しも効かない。
「《炎龍波動斬》!」
渾身の一撃が竜に入る。もちろんこの技名はイグニスが考えたものだ。
ゴォォォォォ
竜が大きく息を吸い、
ブァァァァァ
吐く。そこから火炎放射とは程遠い威力のものが放出される。
「ぐああ!」
「イグニス!」
アイナが叫ぶ。大丈夫だ、ミナの防御魔法によりイグニスは無事だった。
「皆さん!追撃が来ます!」
無理があった。先程の威力がもう一度来るのならば今度こそ本格的に死ぬ。
「イグニス!送還するぞ!」
「流石にこれ以上危険です!」
イグニスは転移石を所持している。なので命の危機がある場合ギルドまで転移する事ができるが、、
「帰らねぇよ!」
やはりそうなるだろうな。
「、、、いやそうか」
「お前ら!帰るぞ!」
「え?」
「いい事を思いついたんだ!大丈夫、試験は明日も出来る!早く来い!」
ドラゴンの予備動作。もうあれが来る、急いでイグニスの元に向かう。
ブァァァァァ
「ライトさん!早く!」
ミナが言うも、イグニスは僕が来るより早く転移石を起動した
「あばよ!“不遇野郎”!」
キュンン
〜〜〜
「がは!」
過呼吸をしながら今現在の状況を確かめる。確か、イグニスが転移するから急いで向かって行って、、
「そのまま、あの、攻撃をくら、ったのか」
「こ、こは?」
大きな洞穴その中にいるみたいだ。体を見るとボロボロではあるものの、ミナの防御魔法があったおかげで幸い命は助かったらしい。
みんなは僕を置いて、転移したのか
「ああ、そうか」
1人涙を流す
「僕はあいつの餌か、、」
ドラゴンの羽ばたく音が聞こえる。古代龍皇が僕を探しに来ているのが分かった。




