聖女ミナ
「ミナ?」
安全そうな古民家で名前を呼んでみた。
「いるよ?」
弱々しい声が家の隅から聞こえた。まだ完治していないらしく、部屋でぐったりしていた。
「終わったんですか?」
ミナが聞いてきた。
「うん、終わった」
「凄いです、強くなったんですね」
やんわりと微笑む。この微笑みを見れただけで帰ってきた実感がした。
「強くなんか、ないよ」
「いえ、ダンジョンの時よりずっと強くなってます」
「シャントルの人から貰った魔導書に載ってたのを片っ端から使ってみただけだよ」
本当の事だ。自分はあの本を見て、少しの知識を貰っただけだ。まさかここまで強いとは思ってもみなかった。
「ミナはあれからどうしてたんだ?」
「、、、ライトさんを置いて転移した時、ですか?」
こくりと深く頷く。この質問はしてはいけなかっただろうか。
「ご、ごめんなさい!」
「え!?なんで謝るのさ?!」
「私があの時、イグニスさん達を止めてれば、、」
そう言うことか。
「別にあれはミナのせいじゃ無いよ。イグニスがわざと僕を置いていったんだよ。自分を責めないで」
「ライトさんは優しいです」
ミナは息を深い深呼吸をし、話し始めた。
「ライトさんを置いて転移した後、、」
ーーー王都リッカルのギルド『ツイス』ーーー
シュオン
ギルド内に転移した。ボロボロのイグニスさんを見て、冒険者の方々が心配してきてくれた。
「大丈夫か?」
「何かあった?」
「試験は合格か?」
口々に喋る。そこをイグニスさんが静止する。
「討伐不可能として帰還した」
嘘だ。自分が生き残るためにライトさんを置いていったじゃ無いか
「ライトさんはどうされました?」
受付嬢が聞く。イグニスさんはわざと悲しそうな顔をしながら言う。
「ライトは、、ライトは死んだ。俺らを守るために」
「嘘、、」
これは半分嘘じゃないかもしれない。光魔法使いが古代竜王に勝てるなんて1パーセントにも満たない。でも死んだと言う確証はない。あとライトさんはイグニスさん達を守ってはない。
「死体は酷かったから、埋めて来た。探さないでやってくれ」
これは完全に嘘だ。この人達がライトさんにそんな事をするはずが無い。
「とりあえず手当だ!救護班!」
近くの冒険者が叫ぶ。私は大した怪我をしていないが、山道だったのでかすり傷や切り傷が所々にある。救護班に連れられて私達は傷と疲れを癒してもらった。
イグニスさん達と合流したが、今日の所は解散と言うことになり私はギルドの宿に戻る事にした。




