0.20
ヘリコプターで帰ってきた時に、偶然見つけた場所があった。
屋上への入口付近の窓枠に、足をかけて上に登っていく。数メートル登り平の場所に出た。
俺は、よじ登った天井に腰を掛けた。
一体俺は、何をしているのだろう。こんな所まで来て…。何かを思い出しかけたのに、何も思い出せない。その記憶になにか隠されているんじゃないか…。
それに、母さんとアリセナが話してた事も気になる。
その事が何より、俺の心を閉じるようにして何も言わなくなってしまっている。
まさか、エルがあんなに怒っていたのは、起こす事を条件に話すつもりだったのか?
このなんなのかわからない事を…。でもあのエルがあそこまで恐れている記憶て、一体。
『その…悩み…思い出…させて…やろう…。貴様が…どう…なって…も…俺には…関係…ない。しかし…巫女が…悲しむ…。』
なんだ? お前は一体誰だ?
『貴様に、知る必要なし。力を欲するか? 』
正体が分からないやつのことなんか聞くわけないだろ?
『黙れ、貴様が力を欲しているのは、分かっている。まだ拒むなら実力で意志を止める。』
はぁ…。勝手にやればいいだろ? めんどくさい事を一々聞くな。
『面白い。その意気込み面白いぞ。では巫女に分からないように、貴様に力を与えよう。』
頭の中で流れていた声は、一瞬にして途絶えた時には、意識をなくしていた。
冷たい天井に倒れている俺の身体を、何者かが粘膜のような膜で覆いかぶさった。
ドクンッドクンッと音を発信ながら心臓の鼓動のように、動く膜は、ちょうど良い暖かさを感じた。
意識の渦の中で、俺は混乱していた。永遠に続く石畳のスローブを渡りながら考えていた。
どうなったんだろう。このまま眠りにつくのかな。以前のように…。
すると、身体の感覚が戻り始めた。
血液が体を巡る音、心臓を動かす速さ、徐々に体に意識を取り戻し始め、ついには目を開いた。
「俺は、眠っていたのか? あの声は一体。」
何も無かったかのように、俺は、起き上がり、喋り始めた。呼吸や精神は、通常通り安定していた。
しかし…。右腕の黒い紋章の形が変わっていた。
「お寝坊さんだね〜」
声がした方向に振り返ると、エルによく似た銀髪の少女が腹の上に座っていた。
「おはよ〜。おやすみ」
もう一度寝ようとすると、俺の左腕を引っ張りながら
「起きないとダメ‼ お姉ちゃんが来ちゃうから…」
「お姉ちゃんて誰だよ。ていうか、あんた誰なん?」
「え? 覚えてないの? 」
「う〜ん、おっさんのような声のやつに、力は欲しくないか? とか言われて受諾したことなら覚えてるぞ? 」
「それはさっきまでのこと、本当に覚えてないの? 私の事」
「う〜ん、覚えてない。エルによく似てるけど姉妹かなんかか? 」
この反応、まさか記憶を無くしているの? でもなんで、あの時、保護の魔法かけておいたはずなのに…。
「ちょっと右腕触らせてね。」
彼女は、そっと右腕に触れると突然目を閉じ始めた。
・何者かに力は欲しいか?と言われる(どっかの竜王ですか?w)
・エルによく似た少女が腹上に座っていた・・・





