星降る博物館 5
エミの髪と服の前に、二人揃って館内の清掃を頑張る。
終わった頃には流石のルーナも食事を終えており、食器を片付けているところだった。
ルーナはどうせこれから暇だろうと、ヒマワリはルーナを誘うことにした。
「ルーナも髪切ってあげるよ」
「いらん」
「服も用意してあげる」
「いらん」
「………………」
「振られちゃいましたね」
一度下を向いて深呼吸し、そして斜め上を見たヒマワリ。どこか遠くを眺めている。
「この時間星は見えないぞ」
それだけ言い、その場を後にしようとするルーナの肩をヒマワリは持つ。
「服を作ることができる展示品、ルーナには見せてなかったよね?」
「やっぱりあるんだな」
「あるよ。せっかくだし、案内するよ。他にも展示していない品もあるし」
ヒマワリの目を見ると、ふざけている様子は無い。しかし、なぜ今になりそれを教える気になったのか。想像はできたが、今はそれを言いたくない。
「…………分かった」
ゆっくりと頷いたルーナである。
そこに行くのはエミの髪を切ってからということで、髪を切りに行く二人を見送る。
二人がいなくなった後、ルーナは一人薄い板を持って外に出る。さっきは勢いで塞いだ落とし穴。杖を取り出し、塞がった穴に向ける。
そして空に入り口を囲うように杖を走らせそして——振り上げた。
するとその範囲だけ土が持ち上がり、再び落とし穴ができた。持ち上げた土をとりあえず邪魔にならない場所へ動かし、持って来た薄い板を使って穴を塞ぎ、その上に土を被せる。これで落とし穴が蘇る。
エミは随分苦労して作ったが、ルーナがやればこんなにもすぐできる。
あとは掘った土をそれっぽく館内の周りに撒き、畝を作る。適当な花の種でも蒔いていれば誤魔化せるだろうと、板と共に持って来ていた花の種を使った。
「こんなものか」
そして館内に戻り、ガラスドームの下で待つ。時折展示品を眺めて時間を潰す。
時間の感覚を気にせず待っていたせいで、自分がどれ程待っているのか分からないが、太陽もあと数時間すれば南中するだろう時間になり、ようやくエミとヒマワリは戻って来た。
「おっまたせ〜」
イェーイと、楽しそうなヒマワリと並んでやって来たエミ。膝辺りまで伸びていた髪はかなり切られている。前髪も切られたおかげか、随分とスッキリしていた。
「いやー、かなり軽くなりましたよ」
「頭は軽そうだしな」
「ちょっとちょっと、随分な悪口じゃん! 可愛いでしょ! どう見ても!」
「よくそんな口の悪さで生きてけますよね! 今夜小指ぶつけますよ!」
「やり直しやり直し!」
そう言って、ヒマワリは強引にエミを連れて少し下がる。
「おっまたせ〜」
「……いやあ、かなり軽くなりましたよ」
「少しは動きやすくなったんじゃないか」
「そうなんです! 動きやすいんですよ!」
「そういう所は似なくてもいいの!」
「なんなんだお前は」
「暇なんですか?」
「エミちゃんは僕の味方してよ……」
なぜ自分が責められなければならないのか。
エミの長すぎる髪を切り、結ってあげたのもヒマワリだ。エミは無知ゆえか、ルーナみたく見た目に無頓着だ。だからこうして、見た目を大切にするということを意識してもらいたい。
「ほら見て! 目を隠していた前髪を切って表情が見えるようになって、床に着きそうだった後ろは肩にかからないぐらいかなり切って、でも敢えて残した長い髪の毛でゆるっと巻いたツインテール! 可愛いでしょ‼」
「よく分からん」
「ぐっぬぅ‼」
ルーナの即答に膝から崩れ落ちるヒマワリである。




