表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第3部 第9章
769/786

【第652話:その結果はこうなります】

「今こそみんなの心を一つに!」

アイカが叫んだ。

『ひとつにぃ!!』

バンザイジャンプのジュノと年少組。

「ちぇぇ~んじ!らうみなぁっす!!」

ジュノの叫びで、どこからともなく軽快なBGMが流れ始める。

手を繋いで輪になったスヴァーレイク3台と式神七式が2台、ぐるぐると走り回る。

20mと15mの巨体がぐるぐるは迫力満点だ。

真円の形に轍を描き、砂を3mほど掘り下ろす。

各々のパーソナルカラーで引かれている識別ラインが、ぴかぁっと光り輝き美しいグラデーションを滲ませた。

『はぁぁ‥‥』

楽しげな雰囲気について行けず、ため息の合唱はヴェスタとユーリア。

「何がはじまるの?!」

混乱の中でルニーアはルクールの式神に手を引かれ回る。

それでもフォーメーションを乱さないレベルで機体を操れるように、ルニーアもなっていた。

『マジカルホーム!!』

アイカとジュノが完璧にユニゾンして声を放った。

「とう!」「とう!」「とう!」「とう!」

四方に控えていたアイ達4人が順番にジャンプして輪の上に飛び乗り、中心点で指先を揃え合わせた。

しゃきいぃいーーん!!

また謎の効果音とフラッシュが瞬き、アイ達の式神がナノマシン保護膜のフィールドを広げた。

音と光が止むと、しーんと夜の砂漠に沈黙が下りた。

「‥‥せっかく目立たないようにとゆっくり来たのに」

「あぅん‥‥」

嘆きのヴェスタにユーリアがうめきを添えた。


 そうして派手なアクションと共に()()()()した、アイカ達は機体から降りる。

ちゃんと内側に全員が下りられるフォーメーションになっている。

「ふふふ‥‥完璧じゃない?!」

「完璧です!愛の力ですね!」

盛り上がりまくるアイカとジュノを、ルクールとアイ達4人が囃し立てている。

みんなの頬が赤く染まり、笑顔が輝いていた。

一緒に来るのとルクールに手を引かれて行ったルニーアも、混乱しつつも楽しそうな雰囲気で笑顔になった。

マヤカランではさみしい思いを沢山したルクールが、にっこりと楽しそうなだけで、ルニーアは嬉しいのだった。

げんなりするのはヴェスタとユーリアだけだった。

「どこがマジカルなのよ‥‥」

楽しそうな輪の外で、ヴェスタがこめかみを押さえる。

「フォームじゃなくて、ホームなんですね‥‥キャンプではダメなのかな?」

ユーリアの悲しげな評価も、騒ぎの中心にいるジュノとアイカには届かなかった。

大騒ぎの中でナノマシンまで展開して、完成したのはただの大きなキャンプだった。

豪勢にも人型機動兵器を骨組みにして。


 そうして出来上がった仮設の拠点は、アイカの幻術魔法でちゃんとコンシールされる。

万が一奇襲攻撃が有っても、コックピットは内側に全機向いていて、ナノマシン保護膜が砲弾もミサイルも2~3発くらいは防いでしまう。

「その間に搭乗すればいいのです!」

にっこにこのアイカが、不満そうなユーリアに、実用性の面からプレゼンテーション。

アイカのぺらぺら説明で、ユーリアとヴェスタが捕まっている間に、どこから出してきたのかお風呂ユニットが設置され、その横には仮設用の本物のテントまでが準備されていく。

ちゃんと3棟立ててあり、皆で寝られる仕様だ。

お風呂コンテナを持ち込むために、ジュノのスヴァーレイクはシフトウエポンべイを一つ提供している。

本来はハードポイントシステム向けの、シフト収納スペースを使っていた。

式神達の収納からはテントやら、晩ごはん準備用の屋外コンロまででてくる。

ジュノはもうエビや肉を野菜と一緒に串に刺して、バーベキューの準備に入っている。

「まぁ、楽しそうだからいっかぁ」

ヴェスタもジュノが楽しそうに、にこにこしているので嬉しくなってくる。

決して楽しむのが嫌いな訳ではないので、ユーリアも説明地獄よりいいと、お風呂の準備を手伝いに行った。

アイカもジュノの手伝いをして、晩ごはんの準備。

ヴェスタはにっこりと笑って一人機体に戻り、行軍ログを確認していく。

ここまでに特別な発見はなかったが、明日に向けマップデータを整理することにした。

きっとご飯を食べたら、もうみんな寝てしまうしなと、ヴェスタもあくびを噛み殺した。

外は少し紺色の空になり、もうすぐ日が昇ってくる時間だった。




 結局真面目にしようとしても、わいわいと騒ぎになり、打ち合わせも明日でいいなとヴェスタも諦めた。

ジュノが冷えたビールまで出してきて、ヴェスタにも持たせたので、乾杯してからはもう楽しむだけになった。

お腹いっぱいになって、お風呂にも入ると、年少組は全滅でテントに適当に別れて収まった。

ルクールとルニーアがユーリアを連れていき、アイカとアイ達で大きめなテントに。

一つだけある小型のテントがジュノとヴェスタ用に残された。

「ふわぁあ‥‥」

ジュノもすっかり酔いも回り、頬を染めてトロンとしている。

「ほら、テントまでは頑張って」

そういってヴェスタに引きづられて寝かされる。

「らいじょーぶぅ‥‥」

まったく大丈夫じゃないと宣言するジュノ。

寝かしつけるまでもなく、ぐっすり寝てしまう。

つんつんと頬をつつくと、むにゃあと寝返りを打った。

くすくすとヴェスタも綺麗に笑う。

周囲監視と夜番はアイカの式と魔法が担当しており、全員で寝ることにしていた。

世界中が敵地の様だったアウステラと違い、このアルドゥナの僻地で襲撃は無いだろうと。

「おやすみぃ」

ヴェスタもそう言って、ジュノの背中にぴとっとくっついて寝るのだった。

ずっと不安と責任感から硬い顔だったヴェスタも、すっかり柔らかな寝顔になるのだった。

アイカとジュノの計画した通りに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ