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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第2部 第24章
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【閑話:出会いの結末】

 ルニーア達は世界を相手に勝利した。

「これでもう奪われることはないのね‥‥」

ルニーアは感無量といった雰囲気で、わーわーと喜び合っている子どもたちを見る。

最後の敵となったヴィェラを倒し、これでもうルニーア達を攻撃する大陸はなくなり、誰も子どもたちを奪えなく成った。

喪失と違和感を積み重ねてきたが、ここまで来たのだと、ルニーアはあのルクールと出会った日を、ディエバスを奪われた日を思い出していた。

未だ未完成だったルニーアは涙すらまだ流せなかったのだ。

(ルクール‥‥これでよかったのかしら?)

今そうしてもう争いはなく成ったと考えると、あの日ルクールが話してくれたこの星の意味が失われるのだとも気づいた。

すいっとシフトするように何もない空間から黒い球体が現れた。

直径5mほどのそれは、ルニーアもよく知るルクールの乗っていた監視装置だ。


「zastávka!!」

ルクールとは違う声が球体から響き渡る。

ルニーアは体が動かせなくなった事に気づく。

思考さえ止められそうになるが、それには抗うことができた。

すっと音がなくなり静かになったので、何事かと驚いて子どもたちを見ると、そこにはスイッチを切られたように固まっている子どもたちの姿。

野うさぎはきりんを抱き上げて回っている最中だ。

黒い子たちは互いの肩を抱き合って、大きな口で笑ったまま。

凍りついたように固まり静まった子どもたち。

すっと球体の上半分が開いて、金色の姿を下ろした。

それはルクールに似ていて少し違う姿。

先日まで争っていたヴィェラの声だった。

「やってくれましたねルニーア‥‥許されませんよこんなことは」

ぶんっぶんっと何度か音がして、同じ様に宙に現れる球体は全部で4つ。

その一つからはルクールも降りてきて、悲しそうにルニーアを見ていた。




 ルニーアを断罪するヴィェラは執拗に罰したがる。

クララとレンカが生産設備の復旧に重きを置くのに対して、ヴィェラは罰こそ必要だと重ねて意見した。

議会の進行は概ねヴィェラの思う方向に向かう。

ルニーアは期日を切らず幽閉することと成った。

最後までルクールが庇うので、処分してしまうことは出来なかった。

「ルニーアの育てたGM達のデータも共有してもらい、一歩前進できました」

それがヴィェラ達のルクール(上司)に提示した成果だった。

今後の運営にも提案があり、4人で方針を決めイレギュラーに対応しようとヴィェラが提案し、承認される。

最終的な決定権はルクールにしてもらうのでと決めたのに、ルクールは辞退する。

「私はルニーアの側にいたい」

それがルクールが3人に告げた最後の答えだった。

レンカとクララは考え直すようにルクールを説得し、そのルクールの決定に反対した。

ヴィェラがそれでもルクールが決めたのだからと、ルクールについて意見が割れる。

最終的にクララがこれに同意して、レンカの反対の中それが執行される。

ヴィェラの手によって。




 それは体を失ったルニーアが落とされた地獄。

世界から切り離され、なにも感じ取れない空間。

この灰色の世界には時間の流れすら無かった。

与えられたのは無限の時間と、思考の自由だけ。

記憶すらほとんど失ってしまった。

それは本当にルニーアだといえるのかと、ルクールは悲しんだ。

そうして側にいてせめて一緒にすごそうと、同じ地獄に自ら降りるルクール。

条件としてヴィェラがだした事に従い、記憶(ログ)をすべて引き渡して。

 まっさらな状態になって二人きりになると、ルニーアは遠慮なく気持ちを伝えられた。


ーー私はあなたのことが好きよ

ーーー私も好きなのだと思う‥‥今嬉しいと感じたよ


そういったやり取りをして過ごす。

意外にもそこはルニーアにとっては辛い世界ではなかった。

こぼれ落ちてしまった何かを取り戻すような時間だったから。

ルニーアは記憶をほとんど失っていたが、知識は価値を感じなかったヴィェラに見逃され残されていた。

莫大な量の図書館で得たディエバスに授かった知識。

それはルニーアをルクールを慰める知識となるのだった。


ーーあなたは何も知らないのね‥‥私が教えてあげる。世界は素晴らしいものなのよ

ーーー世界ってなぁに?

ルクールの疑問に果はなく、ルニーアの教えをいくらでも受け入れるのだった。

そうして長い時を経て二人は距離を詰めていった。

価値観という距離を。


ーーじゃあわたし達は姉妹のようなものね‥‥あなたは私の妹よ

くすくすとわらいの気配を感じるルクールは、自分もまんざらではないと気づく。

ーーー姉妹ってなんだろう?


そこからかとルニーアは思ったが、慌てない。

時間はいくらでも与えられていたから。

二人だけの永遠なのだからと。

自分の名前すらもう持っていなかったのに。



 

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