【第165話:因に応じて果は報するもの】
挿絵たしました!
無事ヴァルサール帝国艦隊にカヴィール将軍達を送り返し、オアシスの拠点に戻る。
あのあと巨大な機械の竜をせっせと剥ぎ取りチタン=ルティナリウムの合金製鱗を大量に入手した3人はホクホクだ。
なにしろカーゴスペースにある鱗を分解すれば、ティア7装備を作りまくれるし、ティア8を目指して衛星への道が開かれるのだ。
ナノマシンのサポートもあり、すっかり緑地化の進んだきれいなオアシスで今夜もキャンプだ。
今夜はアイカが自作してきたウクレレも加わり、ジュノのアコーディオンとコラボ。
アイ達の楽器のように正確なハーモニーも加わり、キャンプファイヤーの横で歌が響き渡る。
今夜は風も静かで、オアシスの水面が鏡のように巨大な月を映す。
月の外周は7色のプリズムをまとい、幻想的に佇む。
「ティア7の装備って何が増えるの?でかいのが撃ちたいな」
にんまりのジュノがアイカに聞く。
大砲をぶっ放したいよと顔に書いてある。
「そうですね‥‥武装だとやっぱり重力制御が強くできるので、UMS全開パルスジェットの本気機動が出来ますね‥‥射撃武器だと重力加速の砲撃武器ですかね?もしくは重力制御ホーミング弾も高コストですが作れます」
アイカは説明するのが好きなので、にこにこ喜んでぺらぺら説明する。
「乗り物は?!車もいいけど飛行機もいいよね?」
ヴェスタは自分の趣味を推してくる。
「そうですねえ、VTOLも作ろうと思えばさらに性能が上がりますが‥‥今はロケットに注力して衛星を目指したほうが早道かな?‥‥武装もそうですね、今のところ不便ないですし」
しゅんと淋しそうになるヴェスタとジュノ。
「ティア8になったら軌道往還機能をVTOL機に付けれますよ?!、大砲もほら荷電粒子砲が解放になりますし!」
アイカのフォローでにっこりにもどる二人。
「軌道往還!!やったー大気圏突入大好きよ私!」
あぶない趣味のヴェスタ。
この星に降りた日のことは忘れているようだ。
「かでんりゅうし砲‥‥うっとりの響きだわぁ」
ジュノもにまにまし始めた。
高温のプラズマを叩きつける無双感にとろける。
「あのでっかいアニマロイドでも、ずぼずぼと穴だらけよ!」
ジュノの表現がだんだんおかしくなってくる。
「式神にも変形機能を盛り込んで、アイ達の義体としても使えるように出来ますねティア8なら」
『おぉ!』
コーラス係のアイ達も目を輝かせた。
ガシっと手を組むジュノとヴェスタの手にアイ達も手を重ねる。
瞳に星を宿す4人が叫ぶ。
「めざせ!ティア8!!」
『おー!!』
わーっともりあがり、楽しい曲も次々繰り返されヴェスタとアイカが手を取って踊りだす。
キャンプファイヤーの影が楽しそうに伸びて揺れる。
晴れ渡った夜空から下弦の大きな月が見下ろしていた。
たのしそうだねと。
王国では復興に向け大分動きがあった。
ラヴァナドゥ連邦による実効支配は続いていて、大河を挟む西部国境は相変わらずのきなくささだ。
王家からも支援が厚くでて、海軍の復興も進められている。
そんな中ナライン将軍から連絡があった。
『こちらから足を運ぶべきと進言したのですが‥‥力及ばず申し訳ございませぬ‥‥王家からも御礼申し上げたく、またお礼の品もご準備したので、一度訪ねてはいただけないでしょうか?』
との申し出。
「どうしよう?お買い物もしたいし、いってみる?」
ヴェスタの意見はイベントの広告でも見て思い立ったかのような気軽さ。
「うん‥‥なにかくれるみたいだし、ちょっと言ってみようか?」
ジュノの意見も同じ軽さだ。
景品のもらえる販促会場でも見に行く雰囲気。
「そうですね!もし希望が叶うなら本が良いです!」
アイカも何かもらうのがメインの判断。
そうしてお昼ご飯のあとに打ち合わせて、どうせならお泊りで行こうと準備した。
車を積んでいきたいとヴェスタがゴネてチャレンジしたが、アイカとジュノの言う通り、物理的にVTOL機の荷室に収まらなかった。
「じゃあ釣っていく!」
やめとけや、むりやろ、と言う意見を無視して懸架出来ないか見当するヴェスタ。
30分ほど格闘し、ナノチューブワイヤーで縛ってみたがペイロード以前に空力的に飛行は難しいとなった。
「ぅぅ‥無理なの?やっぱり」
ぽんぽんと肩を叩いて微笑みながらうなずくジュノとアイカに、涙目ですがりつきやっと諦めたヴェスタだった。
車がなければすぐに出発できる準備を二人で整えてくれていたので、日が暮れる前に出発できた。
「どうしてそんなに車がほしいっていうの?」
ジュノが不思議に思い聞く。
「じつはね‥」
先日の街歩きの中で、おしゃれな小物店で聞いてきたらしい。
港からとなり街に続く海岸線に気持ちの良い道路があると。
天気のいい日にドライブは最高だと吹き込まれて、先日のテストドライブのときに思いついたのだと言う。
いつか3人でドライブしたいなと。
「すごくステキです!アイカもドライブしたくなりましたよ!」
アイカの方が食いつきが良かった。
「そうだね!3人でおそろいのサングラスをして、ドライブデートだ!」
キャーキャーと盛り上がって、やれ犬が欲しいだとかスーツケースを縛って積むキャリアがいるとか、好き勝手に盛り上がってるうちにアヤンタ王国にたどり着いた。
ナライン将軍の家に着陸すると話していて、指定された座標に赴く。
「おぉ‥将軍だけあって家大きいね」
ジュノが褒めるように庭も屋敷も大きく、馬場もあって着陸する場所に困らなかった。
馬たちは騒いでいたが、VTOL機を馬場の端に駐機して降り立つ。
今日は白い制服姿だ。
スカートの丈がちょっと長いフォーマル風味の装い。
王城に上がるとのことなので、装身具などもこだわり舐められないようにと準備したのだ。
「おお!今日の装いもお美しいですぞ!使徒様、聖騎士様」
ナラインはべた褒めで侍る。
今日は例の副官の青年と二人で正装の軍服だ。
将軍は勲章がべたべたついていて、本当に偉いんだなとアイカは失礼な驚きをする。
ジュノは騎士なのでとレイピアを帯剣しているし、アイカも裾が足首まで有る魔法使いスタイルだ。
アイカの腰にはプランとアイ01とアイ02がぶら下がる。
今回のお供の二人だ。
中身は式神となって上空に一機、アイカのまわりに一機いる。
「それでは会合は明日のよていですので、今夜はぜひ我が家で歓待させてください。セイラシュもお供しますよ」
青年将校はセイラシュ中佐というそうで、若手の期待の星らしい。
先日の艦隊救援依頼3人とは既知の仲だ。
そうしてナラインの奥方と子供達にも紹介され、アイカはすごいなとまた失礼な関心の仕方をするのだった。
(最初に降参した時‥‥あたまふみっとしなくてよかったな)
そう笑顔の裏で胸を撫で下ろすのだった。




