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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第16章
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【第164話:いにしえの竜という理不尽】

「ヴェスタ退避!!」

叫ぶと同時にヘルメットを被りながら戦闘機動にはいるジュノ。

青白いパルスジェットが、地を蹴ったジュノを瞬間的に音速に届かせる。

ドォォン!

ガキィィン!!

ソニックブームをまとい、バトルアックスを叩きつけたジュノが弾き返される。

そのまま斜め上空に飛び、斧を手放しスマートライフルを抜いたジュノ。

ビシュウウ!!

直ぐ横を熱線が過ぎゆく。

竜が口腔を真っ赤にして放ってきたのだ。

「くぅ!!」

姿勢を崩したジュノが空中でランダム飛行。

UMSが悲鳴を上げる機動だ。

次々と飛んでくる野太いオレンジの火箭(ビーム)を、バシュバシュとジェットを吹いてジグザグに回避する。

アイカの式神が2機そろい、灼熱のビームを放つ。

びしゅびしゅぅん!

2000℃の超高温に熱したチタン粒子が音速で叩きつけられる。

それはオレンジの熱線となり、式神の先端から1cm程のビームとなり左右から竜に襲いかかる。

パキィィン!!

暖色プリズムの翼が振られ、ビームを弾いた。

甲高い音にアイカは正体に気づく。

「上位魔法結界です!?めちゃくちゃだよ!」

アイカもジェットを拭き上げ飛び上がる。

ドゴォォン!

長大な尾が亜音速で落ちてきた。

クレーターのような大穴が空き、アイカの立っていた地面に穴を開けた。


「じっとしててね?死んじゃうからね」

ヴェスタはジュノに指示された瞬間に高速でバックステップ。

地を蹴ってやんわりと加速する。

UMSの及ばない3人を戦闘機動で振り回したら、ナノカーボンの網がさいの目に切り裂いてしまう。

ふんわりと山を越え距離を取って下ろすと、網を解く。

「ここにいて‥‥後で拾いに来る」

また限界まで目鼻口と開けている3人を残し、それだけを短く告げると、バイザーを下ろしヴェスタも戦闘態勢に移った。

どぉんと地を蹴って10mも飛んでからパルスジェットが青い輝きを放つ。

冷静に十分な距離をとってから飛んだのだった。

取り残されたカヴィールの口からよだれが垂れ落ちた。


アイカが高空に逃げながらジュノに通信。

『30秒ちょうだい!』

『了解!』

ジュノとすれ違って飛び上がるアイカは詠唱を始める。

びしゅぅ!びしゅうぅん!

式神達は牽制のため、弾かれてもビームを撃ち続ける。

竜は翼の結界を使わせると攻撃できないようだ。

式神達の攻勢は、30秒はもたない。

だが稼いだ時間でジュノはスマートライフルをチャージした。

翼が打ち払われた瞬間に最大チャージのレールガンが放たれる。

ずどぉぉん!!

音速の10倍にも及ぶ発射速度は打ち出した瞬間に弾丸を液体に変える。

銃身をでた瞬間にフェライトを失うが、すでにそこには10マッハの運動エネルギーがある。

スマートライフルはチャージすると銃身内を負圧にし、大気を追い出すのだ。

空気抵抗を受けない弾丸は超音速で銃口で大気を塞ぐ霊子の渦に撃ち込まれる。

個体弾のはずが、打ち出すと熱線の様になり螺旋を描いて撃ち込まれるのだ。

威力は荷電粒子砲に匹敵する。

超速度の弾頭は回避を許さない。

ズボヒュウウゥ!!!

竜の首に命中したはずの弾帯がホースの水のように弾かれる。

キラキラと鱗が飛び散っている。

反応装甲のように自ら弾けて粒子のシャワーを防いだのだ。

それでも後頭部に大穴がえぐれていた。

「か‥‥貫通しないだとぉぉ!!」

次の射撃まで20秒の冷却が要るスマートライフルをチャージしながら左肩のライフルを抜きざまばら撒く。

たたたたん!!

カカカン

かわいた音で弾かれるレールガンの弾に、血の気が引くジュノ。

(山頂であたった小型よりずっと硬い‥‥)

ジュノは時間経過を体感時間で正確に測っている。

(まだ15秒‥‥)

加速した思考のなかで、再度回避を選択。

右側をかすめるように熱線が飛んでいく。

狙われてもアイカに行かない位置取りを心がけるジュノ。

今度は低空に侵入する。

地面があったほうが回避には有利だった。


ヴェスタはアイカとジュノを拡張マップで把握する。

もう竜はマップに赤々とマークされていた。

(アイカが止まっている!詠唱しているのだ)

ヴェスタはジュノの進行方向を後方からフォローする位置に入る。

ぶぅんと長大な尾が叩きつけられる。

ずどぉぉん!!

地を打ち、森をえぐりジュノに迫る尾が加速する。

青白い炎をふくのはパルスジェットだ。

金属の尾の先端から青白い炎を吹いて音速を超える。

ズバアァアアン!!

最初のソニックアタックを返された形でジュノが弾き飛ばされる。

「ぐはぁ!!」

「じゅのお!!」

ヴェスタは叫びつつ、キャノンポッドを振りかざす。

ぶぅぅぅん!!

高速ホバーで地を滑りながら、一分間2000発の発射速度でレールガンが至近距離から叩き込まれる。

3連装の銃身がケースの中で高速回転し、銃身を冷媒で冷やしながら高温のニードルバレットを叩きつける。

狙わないヴェスタの射撃は扇状に広がりスコールのように降り注ぐ、装甲を剥がされた部分もあり、たまらんと思ったか翼を打ち振る。


(勝ったな‥‥)

アイカの詠唱がついに終わる。

上空800mまで退避しつつ詠唱を終えたアイカが、直下に飛び進みつつ最後の式を放つ。


『Magic.System: ArcaneCore — Online

  Parameter.SealBreak()

  Target.lock-on()

  Magnetic Mega Photon Lance — Initiate


(この距離なら上級結界でも防げまい!)


  >> Charge.PlasmaField(240%)

  >> Accelerate.Particle(∞-vector)

  >> Coil.Wrap(space-time, polarity = inverse)

  Execute —いけえぇ! 』


キュシュゥゥゥゥン!!


アイカの振り下ろした右手の先に禍々しいピンクの閃光。

上級の単体極大魔法『メガプラズマランス』だ。

数万℃に熱し圧縮されプラズマ化した重粒子を、瞬間的に強めた重力バレルで加速してビームが放たれた。

それはアニマロイドの熱線に匹敵する太さ。

どびゅ

巨体ゆえにゆっくりとさえ言える動きで竜がくずおれる。

貫いたプラズマの槍は地面を一瞬で昇華させる。

ジュノのえぐった穴に命中し、その頭部はきれいにはじけ、無くなっていた。


「ジュノ!!」

パルスジェットで音速を越えたタックル。

「ぐはぁ!」

地に落ちる前にキャッチしたヴェスタがUMSがを全開にしてジュノを囚えた。

それでも殺しきれない圧がジュノを潰すが、これくらいならジュノは大丈夫だよねとヴェスタは遠慮がない。

ずどぉおおん!

竜の尻尾といい勝負の土煙とともに、抱き合った二人でクレーターを作った。

ばしゃっとフェイスガードが開きヴェスタが叫ぶ。

「あぁん、ジュノぉ大丈夫?!」

(さっきまではわりと平気だったよ?!)

ばしゃっと開いたフェイスガードの下で、ジュノの唇からは血の糸が引く。

「ぐふぅ‥‥だいじょうぶう‥‥」

ジュノは言葉としてはヴェスタを心配させまいと、痛みをこらえるのだった。

『ふたりとも無事?!』

アイカの通信だ。

『だいじょうぶだよ!』

ヴェスタが答えた。

『じゃあ帝国の人を拾いに行くね、アニマロイドの所に集合で!』

アイカが元気に言って、きぃぃんと上空をフライバイしてから旋回し飛び去っていった。

「なんだったんだろうね?あいつ?」

ジュノが不思議そうに言う。

「ほんとうに‥‥あれが地元の人が見た竜だったの?‥何の目的でここに?‥‥まぁアニマロイドのことを考えても仕方ないわ‥‥あれは天災なのだから‥‥」

そう話しを打ち切るヴェスタだった。

ぎゅっとジュノに抱きつくヴェスタは、ジュノさえ無事ならいいのと顔に書いてあった。

満面の笑みに、ジュノもなんだか嬉しくなってニッコリとするのだった。

「さ、戻ってみようか!なにかレア素材はぎ取れるかな?!」

すっかりゲーマー脳が再発するジュノだった。






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