【第162話:作ったものに責任を持つ】
挿絵を間違って足してました!165話でもう一度同じ絵が出ますが?
ごめんなさい(_ _;)
テスト人形のジュノ子は無事に地上に戻った。
首もとれなかったし、シートベルトで上下に別れそうになったりもしなかった。
人形はまた使うのでとそのまま車に乗せる。
後部シートにジュノとジュノ子が並ぶ絵面はなかなかシュール。
帰りはヴェスタが運転して、アイカが助手席に座った。
助手をする部分などないのだが、ヴェスタを観察できて、アイカは嬉しい。
(ジュノも気にするのはやめたみたい‥‥きっと何かで納得したんだ)
ふふっと小さく微笑むアイカ。
きっと違うベクトルで、違う手法で納得したのだなとジュノを見ると思う。
ジュノは自分と全く違うとアイカはいつも思う。
考え方も嗜好も違うし、嫌いなものも違う。
それでもジュノは暖かくて、優しいのだとアイカは知っているし、端々に思いやりも感じる。
(ヴェスタはある種同じ属性なんだ‥‥似たような考え方をするし、その判断にも納得できることが多い‥‥変な話だけど信頼している‥‥考え方を)
だから嫌いだと示さないヴェスタにショックを受けた。
それを気付けない自分もイヤだった。
運転しているヴェスタは基本的に機嫌がいい。
今も意識せずきれいな微笑みを浮かべる。
あぁ綺麗だなとアイカは思う。
ヴェスタはとても整った顔立ちと肢体を持ち、体幹も鍛えられていて見栄えのする動きをするのだ。
それはどこか愛佳に通ずる動き。
品があるのだ。
足もとても長い。
アイカは身長の差があるとは言え、比率的にヴェスタの足の長さにも感嘆するのだ。
自分を同じ大きさにしてもこの脚の長さにならないぞと。
義体は自由に設計できるが、オリジナルがあるアイカの義体には元の比率があるのだ。
それを意味無く変えたりはしたくないとも思う。
愛佳を思い出してからは尚更だった。
今のこの身体は愛佳の愛した身体と年齢だ。
変えたりはしたくないと想ってしまう。
そうしてにこにこと考えていると、ちらとアイカを見たヴェスタも笑顔になる。
「なんだか楽しそうね!アイカも‥‥その新しい服もとても似合うわ!かわいい」
そういって今日初めて見せたフリルのついた白い服を褒められた。
これはかつて愛佳と買い物にいって沢山買ってもらった一着だ。
思い出した映像から採寸して再出力したもので、時々愛佳を思い出したいなと作ったものだ。
「アイカは顔も可愛いし、身体もとってもキュートだわ‥‥かわいい服がとても似合う」
にんまりと笑うヴェスタに、どことはなく愛佳の面影を見てしまうアイカ。
はっと思ったその感覚は一瞬で消えてしまい、そこにはきれいなヴェスタの笑顔があった。
(きっと‥‥好き嫌いなんてどうでもいいんだ‥アイカをかわいいと言って側に置いてくれるのならくれるのなら‥‥)
そうしてちょっと頬が赤くなってしまうが、幸い夕日に染まり全てがオレンジ色だったので、ヴェスタには見つからないで済むのだった。
翌日に帝国艦隊から連絡があった。
静止衛星から見ているので、連絡したい時は狼煙を上げるように言っていた。
艦隊として色々な色の狼煙を持っているそうで、普段使わない色としてオレンジ色をラウメン聖王国への連絡とさせた。
狼煙を焚いてから2日後には赴くと約束していた。
もう一度現地に一緒に行き、竜退治を約束しているのだ。
朝イチで確認して、準備はしてあったのですぐに飛び立つ。
丁度先日見せたオアシス予定地に一番近いあたりで連絡してと伝えてあった。
この時代の航海は基本的に沿岸航海だ。
四分儀は有るようだが、観測精度は高くなさそうだ。
夜間は可能な限り停船し、日のある間だけ進むとのことだったので、2日経ってもそれほど移動しないし、静止衛星からの映像で十分発見できた。
まずは北に向かいアヤンタ王国北西の補給拠点を目指す。
今回は準備して色々持っていき、補給後に施設を埋設する予定だ。
万が一があっても流出しないように対策するのだ。
また飛行魔法の存在が明らかになったので、そちらへの対策としても埋設しようと決めた。
そうして給油して埋設作業を終えるとお昼を過ぎた。
次は先日のオアシス予定地を目指し飛ぶ。
「もっとナノマシンに余裕があれば、大型の重力制御エンジンを作れるんだけどな」
アイカはナノマシンとルティル鉱石の有無を悔やむ。
今使っているピンポイントの弱いものでは長時間重いものを運べないのだ。
核融合炉を使った発電装置にもルティナリウム合金がほしいので、電力的にも不安がなくなる。
デバイスの充電が半永久的に不要となるのだ。
ティア7でも幾つかの技術がここでボトルネックとなっている。
ナノマシンが十分にあればルティナリウムを直接生成できるので、必要なだけ作れば採掘前でも技術が利用可能となる。
現着すると無事にオアシスは育っていた。
直径80m程となり、水深も深いところは2mを超えるようだ。
スーツのヘルメットをかぶれば潜水服にもなるので、アイカは井戸を確認に行く。
ジュノは山に木材刈に行き、ヴェスタはバイオプラントの埋設をする。
オアシスからは少し離れた空き地に穴を掘り、アイ達の協力で地下に横穴も掘った。
水を引き込むルートだ。
そうして伐採してきてもらった木材と水から、合成バイオ燃料を備蓄できる施設を完成させた。
埋設して使用時だけ蓋を跳ね上げ使うのだが、普通の人間では持ち上げられない重さの落し蓋なので、保護スーツなしでは開けられないと思われた。
さらに蓋自体もカモフラージュをして、隠しておく。
井戸を確認して問題なかったアイカは、貴重な核融合発電機を回収する。
以降はオアシス内水上に設置した風車の風力発電で、これも埋設したバッテリー経由でポンプを作動させる。
水辺にはナノマシン由来の芝を植え、ジュノが伐採ついでに集めたヤシの木の小さいものを植林した。
育つまではナノマシン由来の芝達が、保水して活躍してくれるだろう。
ここいらはほとんど雨がふらないので、地下水で育って貰う予定だ。
準備を終えるとすっかり暗くなったので、今夜はここでキャンプをする。
今日はジュノが欲しいといって作ってもらったアコーディオンも持ち込んだので、アイ達だけではなくジュノの演奏も聴けた。
ヴェスタはうっとりと皆の歌声や演奏に聞き入る。
「ヴェスタはなにか楽器できるのない?」
アイカが準備してあげるよというのだが、ヴェスタは全く音楽の素養がなく首を振った。
「じゃあわたしが教えるよ!」
そういってアコーディオンを貸して、背中から手を回し手伝い、簡単な曲を弾かせた。
ヴェスタは自分がそうして音楽を奏でられると知って、とても驚き喜んだ。
「また時間有るときに教えるよ」
そういって後ろから抱きしめるジュノにこてんと頭をのせるヴェスタ。
「ありがとうジュノ、うれしい」
はにかんだヴェスタはとても魅力的で、ジュノはドギマギしてしまうのだった。
最後は二人で協力しながらセレナーデを弾きながら、二人っきりでオアシスに写る月を見るのだった。
アイカはアイ達と、気を使ってVTOL機で先に休むのだった。
二人のいちゃいちゃに微笑みながら。




