【第158話:意外とうまくいったこと】
挿絵を直しました。アイ達も足してみましたよ!
「もうヤダ!いかないもん!」
ヴェスタがすねてしまった。
明日もがんばるのだぞヴェスタとアイ達に迫られて、こうなってしまった。
アイカにも怒られて、調子に乗ってゴメンねとアイ達がヴェスタをよしよしする。
かなり気分ののったアイ達は、独自に撮影機材まで準備して、監督一行みたいな格好になっていた。
小さなカチンコを持ったアイ01がヴェスタをなでる。
「ごめんねヴェスタ可愛かったよ本当だよ」
大型カメラ(アイ達スケール)を構えたアイ02も続く。
「ちゃんと出来てたよ!上手だった」
サングラスと付け髭のアイ03もハンチング帽を傾ける。
「特に最後のセリフよかったよ!主演女優でノミネートされる演技だった」
そこは褒められたくなかったヴェスタがしくしくとなる。
サンバイザー装備でカバンを下げたアシスタント風のアイ04もよしよしと慰める。
小さな台本が後ろポケットにねじ込まれる芸の細かさ。
「また明日もがんばろうね、アイ達もちゃんとフォローするから」
「やだもん!」
えーんとないているヴェスタをジュノもよしよしと抱きしめる。
ここは任せてみたいな顔でうんうんとするジュノに、ごねる女優をマネージャーに任せるみたいにするアイ達は、じゃあ打ち合わせするぞ~などとまだまだやる気だ。
何分成果が出ているので、ダメともいいずらいアイカ達だった。
おいしい晩御飯と、お風呂いちゃいちゃで癒やされたヴェスタが今日は真ん中で寝ている。
すやすやと寝たのを確認して、視線を送りあったジュノとアイカが、にこっと笑い合う。
「ふふ、なんだか今日のヴェスタ可愛いのだが」
ジュノは優しい微笑み。
「本当です‥‥でもきっと責任感で頑張ったのですヴェスタは。えらいです」
二人は心情的にすっかり王国よりになり、弱みを見せそうだったのに、引き締めてくれたのもまたヴェスタだった。
二人よりもむしろ現場で多く遺体と接し、王国に同情的で悲しそうな顔をしていたヴェスタなのだ。
「きっとわたし達は幸せだわ‥‥ヴェスタという頼りになって、信じられるキャプテンをもって」
ジュノはやさしくヴェスタの髪を撫で下ろしながらそういう。
「そうですね‥‥これからも支えていきましょう‥‥自分たちのできることで」
アイカもヴェスタの腕をとり肩にほほを寄せ目を閉じた。
「そうだね‥‥支えるのも支えられるのもきっと幸せだよ‥‥いい子ねアイカ」
そういってアイカの髪も撫でてくれるジュノ。
アイカは目を閉じながらその懐かしい感触に微笑んだ。
翌朝目覚めたナライン将軍を3人で迎える。
ちゃんとアイカ製の軍服(祭)も準備されていたので、着込んでいる。
ぷっと笑いそうになるジュノとヴェスタ。
かなり派手で、腕のしたには謎のひらひらする紐が連なっていて、生地もやたらに手が込んでラメっぽいキラメキを宿す。
肩モールやボタンなど無駄に金メッキされてキラッキラだ。
将軍は豪華な服までありがたやと喜んでいた。
「本当に奇跡のようなお力を‥‥御恩は生涯わすれませぬ使徒様」
そういってヴェスタに跪いた。
お側に控えて侍りますと頑張る将軍を、お国が貴方を必要としていますよとヴェスタが説得してVTOL機で送ってあげた。
途中港上空も通り、将軍が艦隊は無事帰還しているようだと教えてくれた。
ジュノ達ではどこが軍港なのかすらわからないくらい沢山船が居たのだ。
「‥‥おそらく逃げ出す民たちでしょう‥‥」
さみしそうにその大量に船出していく者達を見下ろした将軍。
ここでいいですと言われたので、港から近い空き地に着陸するVTOL機。
「大変お世話になりました」
そういって頭を下げる将軍に、副官さんに通信機わたしてますとアイカが説明。
「もしも困ったり相談したいことがあったら連絡してくださいね」
アイカににっこりと言われて、また涙をにじませる将軍。
「国に変わって御礼申し上げる‥‥この身命をもちまして、使徒様達の御心を王家につたえますぞ」
そう決心の眼差しで送り出してくれた。
火災のあった街タラシルクはラヴァナドゥ連邦が実効支配していて、領土を主張してきているとのことだし、もしも困るのなら助けてあげたいとこっそりジュノは耳打ちしていた。
ちいさく首をふって微笑んだナライン将軍が、その件で連絡してくることはなかった。
いつまでも頭を下げるナラインを残し、今度は帝国との約束のために艦隊を目指す3人であった。
帝国艦隊にはお昼前に到着した。
お食事をご準備しますと言われたが、ちょっと現地が遠いので遠慮しますと断ると、お弁当を持たされた。
何か入ってるんじゃないかと、ジュノが疑ってアイカが調べたが大丈夫だった。
なかなか豪華で美味しいお弁当だったので、ヴェスタ達はニコニコになった。
帝国の外交手腕はなかなかのものだった。
艦隊からは3人来て、椅子が足らないので、カヴィール以外の文官二人はカーゴ室にある予備シートに座らせた。
メガネちゃんとメガネ君だ。
降下待機する椅子だ。
カーゴ室との間の扉を開けておけば、エアコンも回るので凍え死ぬこともないだろう。
昔の水上機と違ってカーゴ室もエアコンはないが、断熱・気密されている。
水平飛行に入ってからは、離席してもいいよと言って操縦室も見せてあげた。
どうやら技術的な差が大きすぎて、ただ魔法で飛ぶものと認識しているようだ。
『すごいアーティファクトですね』とメガネ君が言い、『ホリーレリックでしょ』とメガネちゃんは称した。
魔法には空を飛ぶものも現地にあると、初めて聞いてアイカはびっくりしていた。
アイカも使えるらしいが、飛行魔法はかなり高度で消耗も大きいとのことだ。
無事に補給基地建築予定地に到着した一行。
アイカが井戸を掘ってる間に、プラントを組み立てるジュノとヴェスタ。
帰りの燃料が足りないので、アイカが井戸を掘る間に少し生成しないといけないのだ。
途中からジュノが山に入り木を切り出してくる。
砂漠から結構奥まで行かないと生えていないので、パルスジェットで飛んでいった。
前回の失敗を元に、プラントは地下に作ることにしていた。
いずれはあの山中のプラントも埋める予定だ。
マインビームでさくさく穴を掘る様子を、すごい魔法だと目を丸くする三人。
アイカはもうかなり深くまで掘ったようで、ジェットで飛んで戻った。
「地底湖まで落差が120m程ありました‥‥想定より深いので、ポンプは電動にします」
そう言って融合炉内蔵の汲み出しポンプを設置して吸い出し始める。
掘り込んだ穴から水が戻らないように、ちゃんと蓋を準備して、パイプだけ通す。
じゃばじゃばと結構な勢いで水が出てきて、またびっくりの三人。
プラントにも水は要るので、取水パイプで引き込む。
そうこうしているうちにジュノが山程木材を背負って帰ってきた。
「とても遠いわ‥‥10kmくらいあっちに行かないと森がないし、山も2つ越えた」
これは燃料基地としては効率悪いなと、あきらめる3人。
とりあえずVTOL機のタンクと増槽を満タンにして、これでいいかなと尋ねると、3人はうんうんと笑顔でうなずく。
「素晴らしいです!次は是非ドラゴン討伐を!」
カヴィール将軍も納得のクオリティのプレゼンだった。
ポンプはそのまま設置していくので、いずれは直径100m程のプールになり、植物も植えてあげると言うと、これで議会を黙らせられますと喜ぶメガネちゃん。
帰っていじめられるのは軍部の文官達が主らしい。




