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【ヘリカルスパイラル】  作者: Dizzy
第1部 第15章
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【第148話:月夜に気付いたこと】

「偵察終了です!」

鼻息荒く、アイカが直立して敬礼してきた。

まだお風呂中だったので全裸で頭タオルで湯船の中だ。

「うん‥‥髪乾かしながら話そうかな?」

「そうね、ちょっとこの状態だとね‥‥」

ジュノの髪はさっきヴェスタが洗ったので、交代してヴェスタの髪をジュノが洗っていた。

ふたりとも結構長いので大変だ。

アイカの髪は短いので先に自分で洗い終わり、タオルを巻いて湯船に入っていた。

「‥‥あい‥‥ごめんねさい」

真っ赤になってちゃぷんと湯船にもどるアイカはとても可愛いな、と二人はニコニコするのだった。


ふぃぃぃん

アイカは先に乾かし終わり、ドライヤーはジュノの手に渡り、ヴェスタの髪を乾かし始めた。

「植民領地側は特に動きがないです。軍船は動いてないので、まだ情報が来ていないか、動かさないかですね」

アイアが簡単にまとめながら偵察結果を話し出す。

「そう‥‥もう少し貼り付けててくれるかな?カルサリクとサラディクとウルヴァシャックの3個所でいいから回って監視して」

ヴェスタの要求は植民領地の北側出口を見張る三角形のコースだ。

「了解です。ジェット無しでゆっくり回していれば、まだまだ電力は持つので‥‥そうですね明日交替を送れば、継続監視可能です」

まもなく西方に向かったアイ02と03が戻る予定だ。

ジュノもヴェスタに櫛を入れながら話す。

「ある程度高空から大型船だけ見張ればいいからね」

「はーい」

アイカはジュノに答えてから、本題の帝国艦隊に入る。

「それで西側ですが‥‥活発に動いてました」

アイカは二人の前に椅子を持ってきて座りながら、表情を引き締めて続ける。

「現在地はラカンラマン=ラマディンの海峡を抜け、北側に再集結してます。足の速い補給艦が20隻ほどいます‥‥うまい手ですね」

ジュノもヴェスタもうんうんとする。

「大型艦を中心に方円に固まって、ゆっくり東北東に移動を始めています。進行方向はほぼ正確にアヤンタに向かっていますね‥‥最短距離を行くようです」

ジュノが横を向いてアイカに答える。

「なるほど、足は止めずに補給艦だけ動かして補給していく気だね」

「そのようです‥‥おそらくジュノが言ったように南北に分断して各個撃破としたいのでしょう‥‥軍船はおよそ120隻居ます。補給艦その他が50隻程度ついてきてますね概算兵数は17000人程度でしょうか」

アイカの予想はAIの判定モデルが船種からだした概算だ。

AIを使いこなすAIアイカなのだった。

「補給艦の一部に陸戦兵を積んでいればもっと多いことも有りえます」

予想と推測だが、それでも現状の偵察では、詳しすぎるほどの数字だ。

ジュノが交替でヴェスタに乾かされる。

ふぃぃぃん

「‥‥たしかジュノの推定だとアヤンタの総兵力が30000程度って言ってなかった?」

ヴェスタの質問に、答えるジュノ。

「そうだね‥‥植民領地は含まない数字だね」

ジュノの髪は細いので、繊細に梳かしながら丁寧に乾かす。

今のヴェスタは戦争よりもジュノのきれいな髪のほうが大事で、話が止まる。

考え込む表情だが、見極めているのはジュノの髪の水分量だ。

「ん、よし‥‥かわいたよジュノ」

フィィ

ドライヤーを止めて終了を告げた。

「ありがと、ヴェスタの髪も仕上げるね」

また交代して、休ませていたヴェスタの髪を乾かし始める。

ふぃぃぃん

アイカも自分の髪を梳かしながら待つ。

「‥‥西側はいったん引き上げないとだよね?アイカ」

ヴェスタが目を閉じながら続ける。

「そうですねえ、あと数時間が限界です‥‥おそらくギリギリまで粘っても得ることはないでしょう」

ジュノもドライヤーを遠くから当ててヴェスタの髪を乾かしながら話す。

「即時撤収でいいと思う‥‥迎えに行ったほうがいい?」

アイカも思案顔で、これは式神と相談しているのだ。

「自力で戻れるそうです、ジェットは持たないので、途中から遅くなるので時間はかかりますが」

ヴェスタが心配する。

「電池は大丈夫?今からVTOL機とばして迎えに行こうよ」

ジュノも賛成する。

「そうだね、夜のお散歩がてら行ってみよう」

アイカはにっこりと嬉しそうにいう。

「ありがとう‥‥きっとアイも喜ぶわ‥‥半分くらいまではジェットで戻れるようだから戻しておくね」

そうしてヴェスタの髪も乾かし終わり、お風呂を終えたところで現状の情報はそろった。


外装はいらないよねと、保護スーツを薄着に設定して夜間飛行の3人。

拠点をでてすぐに式神03とすれ違った。

アイカが通信していて、説明してあるので慌てず充電に行ったはずだ。

充電・充塡後に04と交替するため東へすぐ飛んでもらう。

30分ほど亜音速で飛んで、高度8000で海が見えた辺りでアイ02の式神が下部カーゴから帰投する。

アイカが後部カーゴに入り、充電・充塡してあげている。

「今夜も月がでかいねえ」

ジュノはご機嫌でアイスティーをちゅーっとしながら右側を見上げる。

みんなでお風呂上がりのお茶をしながら迎えに来たのだ。

ジュノはキャミソールのようにした防護スーツと、下はビキニですらりと足を組んでいる。

このVTOL機は贅沢にリムレスの360℃クリアで、巨大な風防だ。

もちろん景色を楽しむためで、目視によるドッグファイトなど想定していない。

「そうだねえ、これって衛星そのものが大きい?近いのかな?」

ヴェスタが中天の月を見上げて答えてから、アイスコーヒーをちゅるっとする。

この機の各席はドリンクホルダー装備だ。

88mm電磁滑空砲と、20mm電磁ライフルを2機ずつ積んだ、この星最強のリムジン民間機なのだ。

アイカがもどってエンジニア席に着く。

アイ02も義体に戻ったのか、肩に乗ってアイカにべったりだ。

「そうですね、両方ですきっと。距離も近いけど、主に大きさで視直径がおおきいと思います」

各種データを見ているのか、アイカが何か気付いておやっとする。

「これ‥‥データおかしいのかな?密度が低い?月の重力が低いですねえ‥‥プローブのデータなので信憑性低いかな?」

ジュノはなんのこったといった顔。

ヴェスタもあれと考える。

「そういえば潮汐も確かに大きいけど‥‥あの視直径ならもっと酷くてもいいはず?」

ヴェスタもアバウトに計算してみたようだ。

「‥‥うん実家の月より3倍は視直径大きいし‥‥もっと潮汐つよいはず?」

アイカも計算しなおして同意する。

「そうです!おかしいですね?‥‥今の5倍くらい潮汐あっていい計算です‥‥じゃあ密度が異常に低い?構成元素が特殊なのかな?‥‥‥‥あ‥‥」

どした?といった顔のジュノと、自分でも計算して首をひねるヴェスタ。

「‥‥わかっちゃいましたよ!」

アイカが大きな声を出す。

「なになに?!」

「どうしたの?アイカ」

ジュノが振り返り、ヴェスタも驚いた風。

「‥‥あの月はルティル鉱石で出来ているのですよ!比重がピタリと合います‥‥そしてあのヘリにみえるプリズム光」

異常に美しく、巨大な月がいつも3人を見下ろしていた。

「ああ!!」

「そういえば?!」

3人でみかわしてニッコリになる。

それは非常に珍しく、ラッキーな異常。

まるで純金でできた月を見つけた気分。

ルティル鉱石は、今の3人にとって純金よりもずっと欲しい素材だった。


 




挿絵(By みてみん)



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