【08 理人くんと僕】
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・【08 理人くんと僕】
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次の日。
慣れないパソコンでの授業を終えると、さぁ、部活だ。
クラスが一緒の理人くんと、ずっと一緒にいるので、昨日よりも、もっと仲良くなっていっているような気がする。
いや、この部活でまたもっと仲良くなるんだっ!
部室へ行くと、まだ鍵が開いていなかったので、職員室から鍵をもらいに行くことにした。
理人くんは『わっ』といった感じに、
「イチローぅ! 鍵分かるんだぁっ!」
僕はうんと頷いてから、
「昨日、大場先輩についていった時に覚えたんです」
すると理人くんは急に首をプイッと僕の顔から背けながら、
「……何か違うぅ、そうぃうのじゃなぃっ」
と言ったので、何か嫌われるようなことをしてしまったのか、と不安になった。
というかもしや息がクサいのか……? だったら最悪だ!
僕は口元を手で押さえながら、話し掛けた。
「ゴメン、何かクサいかな……それとも大丈夫かな……」
ちょっと前半部分が小声過ぎたかもだけども、聞こえたかな。口を手で押さえていたし。
でもまあ聞こえなかったら、また聞こえなかったと言うはず。
僕のその言葉に対して理人くんは嬉しそうに、
「それぇ! それぇん! その感じぃっ!」
と言いながら振り返ったので、僕はショックを受けた。
やっぱり息がクサいんだ。でもだからって、そう言わなくてもいいのに。もう少しオブラートに包んでくれてもいいのに。
もしかすると友達と思わせておいて、嫌なことを笑顔で言ってくるという新手のイジメなのだろうか。
強く落ち込んでいると、理人くんは何かに気付いたような顔をして、
「とぃうかその手は何ぃ? イチローの可愛ぃ唇見せてよぉん!」
「いや、クサいんじゃないの……」
「クサい……?」
と理人くんが頭を捻って数秒、
「あっ! あのセクシーな囁き部分はクサぃかどうか聞ぃてぃたんだねぇん! ゴメぇン! ゴメぇン! 違うのっ! 違うのっ! 全然違うのぉっん!」
そう言って瞳をウルウルさせながら首を横に激しく振る理人くん。
僕は改めて聞こえるように、
「えっ、クサくはないんですか?」
「それぇぇぇえええ!」
急に怒って僕を指差した理人くん。
いやもう一体何なのか分からない。
すると理人くんはプリプリしながら、
「ずっと気になってぃたけどもぉ、イチローぅ! 私に敬語やめてぇん!」
僕は正直面喰ってしまった。
まさかそんなことで憤っているとは思わなかったから。
むしろ敬語のほうが良かったと思っていたわけで。
本当に、
「敬語に怒っていたのっ?」
理人くんは手を激しく揺らして指差しながら、
「そうそうぅっ! 同級生なんだからやめてよぉん!」
僕は昔、友達関係がうまくいかなくて、結果、誰にでも敬語を使って嫌われないようにした。
でもどうやら理人くんは、この敬語のほうが嫌らしい。
そう言ってくれる理人くんが優しくて好きだ。
僕は何故自分でそうしたかもよく覚えていないが、つい嬉しくて、理人くんを抱き締めた。
理人くんはとろけるような声で、
「ちょっとぉん……そういうの……反則なんだからねぇん……」
少し抱き締めて、ハッと我に返って、バッと理人くんから離れて謝った。
すると、理人くんはほんわかとした笑顔で、
「ずっと一緒でぃぃんだよぉん……というかイチローぅ、すごぃ良ぃ香りぃ」
と言ってくれて、何だか照れてしまった。
いや自分から抱きついておいて照れるのも、おかしな話なんだけども。
職員室から鍵をもらい、部室の鍵を開けると、すぐ後ろから声が聞こえた。




