Rati 07. 天元の礎
学校の休み時間。
俺はモナカと共にまたもや途方に暮れていた。
「あーあ。 メンバーどうすっかな~」
「モモちゃん、今日も来てないんだって」
カゲミツが連れて行ってくれた楽市楽座。
周囲の皆は笑顔だったのに、モモちゃんは暗い顔でプレイしていた。
「なんであんな顔……」
「モモちゃん、何か一人で抱え込んでそうだったね」
一人で……?
やっぱり、俺のせいだったのかな?
俺の顔を見て、モモちゃんはどこかに行ってしまった。
それは、つまり……。
「……」
「ヤマト! 大変だ!!」
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Rati 07. 天元の礎
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「なんだ!? モモちゃんが学校へ来たのか!?」
「ち、違うけど……」
「なーんだ。 じゃぁ大した事ねーな」
「話を聞いてくれよ……実は……」
……は?
「モモちゃんが、負けたぁ!?」
あの、モモちゃんが負けた?
学内リーグ戦で俺はギリギリで勝ったけど、モモちゃんは学校でも実力が飛び抜けてるのに……。
「う、うん。 今度の対抗戦の前に賭けルールが黙認されてるショップに乗り込んだらしくて……」
「そ、それで、どうなったんだ? ていうか本当に負けたのか?」
「実は……」
は?
勝ち抜き制? 3対1……?
「3人目の一番強いやつに、負けたらしいんだ……。 それで……」
目の前の友人は、悲しそうに口を開いた。
「切り札のライカンスロープを、取られたって……」
「そんな……」
モモちゃんは一人で俺たちの。
栗ノ木小の仲間たちのために、卑怯な奴らに立ち向かったのか……!
「こうしちゃいられねぇ!」
「ヤマト、待ってよ! 落ち着いて!」
「落ち着いていられるか! これから落ちを着けに行くんだからよ!」
俺が教室から出ていこうと扉を開けると、今日学校に来ていなかった皮肉屋が顔を表した。
「カゲミツ。 重役出勤じゃねーの」
「……その様子だと。 今知ったみたいだね」
なんだこいつ、エスパーか?
「そうさ! 今からオトシダマを着けに行ってやんぜ!」
「……ヤマト、それを言うならオトシマエだよ」
「ま、まぁ、そうとも言うな」
モナカの言葉で、少しだけ平静を取り戻した。
だけど、俺の中の衝動はとどまるところを知らない。
今にも間欠泉が噴火しそうだ。
「ヤマト。 今は耐えるんだ、対抗戦のために」
「んなこと言ったって!」
「放課後に話がある。 モモちゃんからの伝言だ」
「モモちゃんの……?」
そして、ちょうど休み時間は終わり俺は放課後を待った。
カゲミツは……モモちゃんと知り合いだったのか?
それに、なんで俺もさっきまで知らなかったことを知っていたんだ?
伝言ってどういう事だ?
カゲミツの言葉で頭の中をかき回されて、ただでさえ頭に入らない授業が耳の奥から通り抜けていった。
「放課後だ! 公園に行くぞ!」
「僕はやる事があるから、後はよろしく」
「おう、伝言サンキューな! カゲミツ!」
俺はモナカと共に近くの公園へと駆け出した。
息を切らして公園へと入れば、ベンチにモモちゃんの姿があった。
「モモちゃん!」
「ヤマト、モナカ……」
「心配したぜ! 俺達、皆モモちゃんの帰りを持ってたんだ。 対抗戦では絶対に必要だし、モモちゃんがいないと皆まとまりも悪くてよ! 上級生たちも覇気がなくなったっていうか……」
……。
「ヤマト……すまねぇ……! 俺、負けちまった。 皆の仇を取りたくて、ヤマトに迷惑はかけられねぇと思って……それに、負けたくねぇとも……。 それに、俺……」
心の底からの後悔や悲しみが、しゃがれた声になって公園に響いていた。
どれだけ本気で俺達を心配し、そして、俺をライバルとして思ってくれていたか。
そんなモモちゃんの真剣な想いが、大砲のように俺の心にぶち当たるのを感じる。
「それじゃ、モモちゃん。 一緒に戦おうぜ! 負けたままじゃ終われないだろ!」
「ヤマト、すまねぇ……」
これでチーム決定だ。
俺に、モモちゃん、そしてカゲミツが戦ってくれる。
カゲミツの実力は分からないけど……。
へへ、こりゃぁ勝利確定だぜ!
俺が意気揚々と良き未来への道を想像していると、モナカが言いづらそうに口を開いた。
「でもさ……モモちゃん、切り札のライカンスロープ取られたんでしょ?」
「そ、そうだった! 代理の切り札を当てにカードショップへ行くか!?」
俺の付け焼刃の提案を、モモちゃんは首を横に振り遮った。
綺麗なスリーブのついた、よほど大切にされてるかのような1枚のカードを見つめて。
「その必要はねぇ。 たぶん……いや、絶対に……俺は力になって見せる……!」
「何か策があるってことか! となりゃ、今から特訓だぁ!!」




