Rati 61. 最愛の決別
タッグバトルも中盤戦。
今のところ互角に戦えているけれど、この先勝機が見えない……!
「このまま【蒼龍ノ刻印武者】でバトル!」
「春風!」
俺の春風がソウルコストに……!
彼女の痛みが伝わってくる……!
刻印武者は龍神デッキにおける強力な中級モンスター。
バトルには負けたけど春風のおかげで終盤戦への準備は整った……!
「【天魔ノ美鬼・鈴鹿】お願い! 威吹鬼とバトル!」
「【夜刀ノ前鬼・威吹鬼】は一度だけパワー+4000! 迎え撃て!」
タッグバトルは向かい合ったプレイヤーと正面戦闘を行い、勝ち残った方が残りプレイヤーとバトル。
カゲミツとユリネさんは相打ちだ、このままじゃスペシャルTの攻撃がカゲミツへ当たっちまう!
「カゲミツくんへの補助にはコストが足りないなヤマト。 俺はこのままカゲミツくんへとダイレクトアタック!」
今回のルールは、ダイレクトアタックされれば負けだ!!
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Rati 61. 最愛の決別
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「ヤマト、心配はいらない。 僕は威吹鬼に装備されていた相棒を召喚する。 【夜刀ノ後鬼・風吹鬼】!」
「やるなっ!! だが俺がなぜその装備された相棒を破壊しなかったと思う?」
蒼龍ノ刻印武者はスペルカードを破壊できる。
それをしなかったのは……。
「……厄介な前鬼・後鬼を葬るため」
「その通りだ! だがそれだけじゃない、君が生存のために残している手札を捨ててもらおう! 【龍王の咆哮】!!」
前鬼・後鬼の召喚効果はゲーム中に1度のみ使用可能。
それを早めに発動させたんだ……。
そして、カゲミツは一瞬手札のスペルカードを手に取り相手の攻撃を防ごうとした。
けど刻印武者によってそれは破壊されてしまう。
だから使用をやめたんだ!
「フィールドに龍族がいる時に発動可能な【龍王の咆哮】はバトルラウンド終了後、全てのプレイヤーの手札を供物へと送る。 そして捨てた分だけドローを行う!」
それを見抜かれ、俺達の防御札を捨てられた!
本来ならどちらか一つを破壊されるだけだったのに、生き残る術を二つも同時に潰されたんだ!
前鬼と後鬼のコンビネーションは、俺がバトルをする度にカゲミツに勝ち筋を潰される黄金コンビ。
それを迎え撃ち、自分の優位に変えてしまうなんて……。
これが、全国大会初代王者の実力……!!
「くっ……! ドロー!」
「カゲミツくんは流石だな。 既にプロの中でも上位の実力を持っているだろう。 しかし、ヤマト……」
「俺だって、まだできる! カゲミツの足でまといになんてならない!」
「あぁ。 お前はこの戦いによく食らいついているよ。 心身共に強くなったな、ヤマト。 子供のころとは大違いだ……」
……。
「あ、アンタ……誰なんだ……?」
「ヤマト、見てはだめだ!!」
スペシャルTがヒーロー衣装の覆面に手をかけ、素顔があらわになっていく。
俺を子供のころから知っている存在……。
俺を心配しアドバイスをくれた存在……。
そんな、まさか……。
「成長したな、ヤマト……」
「とう、さん……」
……スペシャルT。
優しくて大らかで、凄まじく強い、憧れのソウルキャスター……。
たった今、裏切って戦っている目の前の存在……。
それが、とうさん……?
「ヤマト! 気をしっかり持て!!」
「は、ハク……」
そ、そうだ。
今はバトル中、戦わなきゃ……!
くそ、胸の鼓動が思考をかき乱していくのを感じる……。
手札には、神話大全形見矢倉。
それを活かせるパートナーは……。
「俺は……【風魔ノ大妖狐】を召喚……!」
「このタイミングの大妖狐か、選択を間違えたなヤマト!」
神話大全形見矢倉を駆使した大妖狐が敗れた……。
つ、次のパートナーも召喚しないと……!
「ざ、【在野ノ道摩法師】を召喚!」
「顕現せよ【破邪乱流・荒魂ノ龍王 (リュウオウ)】」
スペシャルTの切り札……荒魂ノ龍王 (リュウオウ)……。
か、勝てない……。
「ヤマト、しっかりするんだ! くっ、ここで発動しなきゃ……」
俺は、何をしても足手まといだ……。
「僕は手札からスペルカード【鬼ノ威圧】を使用する! このバトルラウンドをスキップする!」
「やるな、その防御札はてっきり手札と同時に葬ったと思っていたが、先ほどのはブラフだったのか。 これは一本取られたよ……しかし、このタイミングでいいのかい?」
「僕はヤマトを信じてますから」
俺が足でまといになるなら、カゲミツは一人で戦う時のために防御札を使った方が最善だった。
なのに、俺をまだ信じてくれる。
一緒に戦う好機をくれたんだ。
このままじゃ終われない!
「カゲミツ……!」
「君の力を僕は良く知ってる。 自分を信じて、ヤマト!」
「あ、あぁ……やってやるぜ!」
俺は……この【ソウルカード】で決着を着ける!
儀式のゲーム限定で発動させることができる【ソウルカード】と【ソウルスキル】。
それを駆使すれば、まだ勝機はある!
「在野ノ道摩法師によって、ソウルコストにいる春風を呼び覚ます!」
応えてくれ……!
「召喚! 【夢幻天・琥珀】!」
ソウルカードの召喚には成功した……!
ソウルスキルは……。
「ソウルスキルが、使えない……!」
「やはり、まだまだお前はこのステージに立つべきではない」
そんな……。
Lupinusと戦った時は発動できたのに……。
「ソウルカードの召喚は見事だ。 お前のユリネちゃんを救いたいという思いや、カゲミツくんと共に戦いたいという純粋な心とハクも共鳴したんだろう」
「しかし、お前の心の片隅には、まだ荒れ狂う波のような動揺が残っている。 それが自らの可能性を塞ぐ仇となったんだ」
「この戦いに身を置く事に何が必要か、再び学ぶんだ」
このままじゃ、負けてしまう……。
ハクは俺の想いに応えてくれたのに、俺がソウルスキルを発動できないせいで……。
「これでフィニッシュだ……!」
手札に防御札は……もうない……。
俺のせいで、カゲミツが一人に……。
「僕は、天臨ノ鬼神・茨木童子でバトル!」
「いくら強大なパワーを持とうと、2VS1だ。 俺にはユリネちゃんの補助がある。 このバトル、貰った……!」
か、カゲミツが、負けた……。
「分かるか? ヤマト。 お前が残っていれば、カゲミツくんは別の手段で次のターン起死回生の一手を放てたろうが、お前のミスが続いてそれは儚い夢となったんだ」
それも、俺のせいで……。
「ヤマト、また会える日を楽しみにしている」
「父さん……。 本当に、裏切ったのか!?」
くそっ、俺たちは儀式の疲労によって体がろくに動かない!
そ、そうだ!
ハジメさん達やイシガミ先輩は!?
護衛隊の皆が何かと戦ってる……?
何だ、あれ……。
モンスターみたいな黒い影が、ハジメさんたちと戦ってる……。
「ユズキ! 姉さんを!」
「御意ッ!」
カゲミツの相棒であるユズキが、ヨシュアとその相棒に足止めを喰らって……。
そして、ハクも父さんに振り払われてしまう。
このままじゃ、二人とも行ってしまう……。
ここで別れれば、もう二度と会う事はできない。
そんな嫌な予感だけが、頭の中へ広がっていく。
「くっ……姉さん、どうして! どうして戻ってくれないんだ!」
「私は貴方と別れた日からG(Golden).D(Dawn).の一員なの。 私は私の幸せを掴む。 だから、貴方も、本当の貴方の人生を歩んで欲しいの。 もう二度と、会うことはないでしょう。 さようなら……」
「姉さん……! 待って……!」
俺達は、俺のせいで、負けた……。
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7章‼ ~黒き策謀……?愛を取り戻せッ!~:終幕
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