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ーLev・KarunaRatiー  作者: ☆ごりらカーニバル☆
Deck02. 7章‼ ~黒き策謀……?愛を取り戻せッ!~
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Rati 60. 藤の策謀



「きたか、イシガミ」


「ヨシュア。 お前だけか?」


 イシガミ先輩の問いかけが、夜の静けさと周囲の石段に溶けて消えていく。

 なんだ、ここ? こんな山奥に前に来た時とは別の神社……?


「ここは……かつての最高権力者のお墓だね」


 カゲミツの囁きが耳元をくすぐってくる。

 いつもと変わらないその口調が、胸の奥に張りつめていた緊迫感を取り除いてくれる。


「ここが……」


「おそらく、G.D.はその権力者の意思を引いているって話みたいだよ」


 八咫烏とG.D.とのタイリツコーゾーの話か?

 その繋がりは俺には良く分かんねーけど……やっぱり儀式の組織も強大な権力を持ってるって事か。



――――――


Rati 60. 藤の策謀


――――――



「イシガミ、先に確認させてくれ。 君の取り巻きは、その子たちだけかい?」


「あぁ。 だが、取り巻きじゃねぇ。 ヤマトにカゲミツだ」


 イシガミ先輩。

 作戦のために一緒に修行をして過ごしてきたけど、その間に俺達の事を仲間と思ってくれていたのかな。

 

「そうか……」


 ヨシュアさんは夜空に手を掲げ指を鳴らした。

 何の合図だ?


「イカン!!! カゲミツくん!! ヤマトくん!! 引け!!」


 え?


「魔法陣を起動させた。 君達は運命から逃れる事はできない」


 ……!?


 陰から護衛をしてくれていたハジメさんが叫んだと思ったら……。

 それに気付くと同時に、蒼白い光が儀式の魔法陣を描いていく……!


「どういう事だ。 ヨシュア!!」


「イシガミ。 君はハメられたんだよ、僕らにね」


「なんだと? あの人もこれを承知してるってぇのか!?」


 俺達は、ヨシュアさんにハメられたのか?

 それとも……。


「あぁ。 わざわざあの人が自分も一枚噛んでいる事を明かしたのは、君の警戒を解くためさ」


「くそっ……。 なめやがって……」


 物陰から……二人の人影が出てきて、魔法陣の光に照らされていく……。

 まさか……。


「スペシャルT……。 そして、あの人は……!」


「姉さん……!!」


 ……ユリネさん!


「久しぶりね……」


「一緒に帰ろう! 姉さん……!」


「手紙は読んだはず。 私は、貴方と帰る気はない」


「そんな……」


 微かに震え熱のこもるカゲミツの呼びかけに対し、ユリネさんは冷たい声だ。

 ユリネさんは、ヤツらに脅されているのか?


 そして、イシガミ先輩が言っていた、もう一人の協力者。

 それは、全国大会初代王者スペシャルTだ。

 俺達の仲間のはず……!


 まさか、ヨシュアさんだけじゃなくてスペシャルTまでも裏切ったのか……!?


「久しぶりだな。 ヤマト」


「やっぱり……ミスターT」


 あの時……。

 Lupinus(ルピナス)とのエキシビションマッチで惨敗したあの日。

 俺に大切なものを教えてくれて、気付かせてくれたミスターT……。

 やっぱり、スペシャルTと同一人物だったんだ……!


「ヨシュア……てめぇ……!」


「さぁ。 起動した魔法陣を止めるのには儀式で決着を着けるしかない。 でないと、災害が起こり多くの命が失われる」


「くそっ……! すまねぇ、ヤマト、カゲミツ……俺が適正者なら……」


 ……。


「イシガミ先輩はこうやってユリネさんに合わせてくれたじゃないすか。 後は俺達にまかせてください!」


「そうだね。 ヤマト。 僕らは、必ず姉さんを取り戻す……!」


 ここで怯んでる場合じゃない。

 スペシャルTは強敵だけど、これは好機だ。


「まずは俺から行こう」


 魔法陣の前に立ったのは、初代王者……。


「スペシャルT。 ……俺と、勝負だ!!!」


 俺が戦えば、観戦したカゲミツが勝機を見出すかもしれない。

 それに、儀式が終わった瞬間の隙を狙い護衛の人達が打開策を見つけユリネさんを取り戻せる可能性がある。


 まずは、俺が戦うんだ!!


「ヤマトか。 お前の実力じゃぁ、心もとないな。 カゲミツくんも同時に相手をしてあげよう、どうだい?」


 くそっ……カゲミツはユリネさんを取り戻さねーとならねーのに……!

 もしも儀式で負ければ……!


「ヤマト、言ってくれたろ? 隣で戦うって。 僕も同じ気持ちさ」


 カゲミツ……。


「……貴方がそこに立つなら、私が相手をする」


「姉さん……! どうして……!」


「安心して。 この儀式は魂の義ではなく、契約の義。 敗者は生贄にはならない。 そして、貴方と私の決別の義……」


 ……なるほど。


 何が理由かは分からねーけど、この儀式は誰も生贄にならないのか。

 なら、これは最大の好機でもある。


 ここで勝利してユリネさんを連れ戻せれば……彼女をこれから始まる儀式で生贄にしなくても済むはずだ。


 俺はこの9日間で急成長をした。

 スペシャルTには敵わねぇかもしれねーけど、カゲミツと力を合わせれば必ずやれるはずだ。


「面白い、タッグゲームか! 幸いこの魔法陣はタッグも想定済みだ。 4人でレヴルナの新たな世界を一緒に楽しもう。 行くぞ!!」


 全国大会初代王者のスペシャルTと、この前俺が負けそうになったユリネさん……。


 正直、戦力差は不利かもしれない。

 けど、ここは必ず俺達が勝つ……!


「「セッション!!」」


 俺達は修行でも互いの呼吸を合わせてきた。

 タッグゲームなら、勝機はある!!


「俺は【濡羽色(ヌレバイロ)ノ小夜啼鳥(サヨナキドリ)】を召喚!」 パワー500

「僕は【独眼(ヒトツメ)ノ刀鍛冶】を召喚する!」 パワー1000


 俺の最初の相棒は黒羽の鴉。

 カゲミツの相棒は、厳格な風貌の刀鍛冶……。


「【タツノミナシゴ】!」 パワー1500

「【孤児童子(ミナシゴドウジ)】を召喚」 パワー1000


 相手が召喚したのは、哀しき目をした荒ぶる小龍に小鬼……。

 スペシャルTの龍神デッキからタツノミナシゴ。

 ユリネさんはやっぱりカゲミツと同じ鬼神デッキだ。


「小夜啼鳥(サヨナキドリ)はバトルをスキップしてソウルコストへ!」


 俺の場にいる小夜啼鳥(サヨナキドリ)は、強制的にバトルをスキップできる。

 このバトルは敗北扱いだけど、これで終わりじゃない。


「そして第二の効果! ソウルコストに送られたこのパートナーを、ステイスペルとして召喚! 甦れ、小夜!」


 小夜の第二の効果。

 場に残る【ステイスペル】として召喚し、地属性のパワーを+500させる。


 カゲミツ、頼んだ!


「ヤマトの相棒により、独眼(ヒトツメ)ノ刀鍛冶のパワーは1500! このまま孤児童子(ミナシゴドウジ)とバトルを行う!」


「流石ね……!」


 よし、ユリネさんのパートナーに競り勝った。

 あとはスペシャルTだ。


「刀鍛冶でタツノミナシゴとバトル!」


「迎撃だ! タツノミナシゴ!」


 相打ちだ……!


 相手の二人は俺より強い。

 補助を行い、カゲミツを有利に立ち回らせるんだ。


 そして、隙を見てユリネさんと相打ちできれば……。

 残ったカゲミツならスペシャルTと互角以上に……いや、必ず勝てる……!


「面白い!! タッグバトルはこうでなくてはな……!」


「スペシャルT! 本当に裏切ったのか!?」


 本来はヨシュアと、俺達と共に生贄の儀式を止めてくれるはずだったのに……。

 いつも大会で明るいバトルで皆を引き付けて、レヴルナの楽しさを教えてくれたのに。

 ミスターTとして実況を行い、プレイヤー達に武勇を称えてくれる姿が、皆の憧れなのに……。

 あの日、俺を想って駆け付けてくれたのに……。


 俺の憧れていたスペシャルTは、本当に裏切ったのか!?


「裏切ったのではない、俺は元々こちら側だ!」


「……そんなの、信じねぇぞ!」



――――――



(僕たちは、儀式の終わりに動けるようにしなければ……)


 青白い光を暗闇の中で瞬かせ、契約の義は進んでいく。

 大和たちの護衛についていた一(ハジメ)は小隊を待機させながらも、その儀式を見守っていた。


(やはり、ヤマトくんとカゲミツくん……二人は格段に成長し、呼吸もピッタリだ)


(これなら何とか食らいつけはするかもしれないが……相手が悪すぎる……!)


 全国大会初代王者スペシャルT。

 それは、他の追随を許さないほどの実力を持つソウルキャスター。


 そして伝説の英雄と言われた大和の祖父である天村(アメムラ) 髄継(スネツグ)。

 その一番弟子と言われた存在だった。

 過去に彼は心・技・体において究極のバランスを極め、組織を抜け一人旅立っていった。


 一(ハジメ)の瞳の中では、最強のソウルキャスターとかつての盟友の姿が重なっていた。


(お前は、本当に裏切ったというのか……?)



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