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ーLev・KarunaRatiー  作者: ☆ごりらカーニバル☆
Deck 02. 6章‼ ~潜入!朱鳥ノ宮!僅かな手掛かりを掴み取れッ!!~
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Rati 52. 黄金の夜明け



 屈強な狼男と影を纏う吸血鬼が共に互いを打ち倒した……!

 この勝負、引き分けだ……!


「お前。 あのチビのオマケかと思っていたが、中々やるじゃねぇか」


「くっ……勝てねぇか……!」


 すげーいい勝負だったな。

 久々に胸の鼓動が躍るような、そんなバトルだったぜ。


 そんな余韻に浸る暇もなく、悔しさに俯いていたモモちゃんへと面の男は何かを呼びかけている。


「おい、お前。 まさか儀式を知っているのか? 適正者か……?」


「やっぱり……! アンタは、Renatusレナトゥスなのか!?」


「……勝負は引き分けだが、カードは俺が頂く」


 あんな熱いバトルなのに、そんな結末はあんまりだぜ。


「おひかえなすって!」


「ヤマト……!」


 モモちゃんへと近づく面の男。

 あの廃墟マンションでバトルしたあの日、あの人は半端な儀式の後に俺達を心配していた。


 だから悪い人じゃねーんじゃねぇかって……そんな氣がすんだ。


「あの時のチビか。 この前にも会ったな」


「この前……?」


「ともかく、カードは俺が貰っていく」


 面の男が俺達へにじり寄ってきたけど、別方向から警備員の人がやってきて男は舌打ちして振り返っている。

 逃げる気か?


「何してる! 深夜の外出は禁止だ!」


「しゃぁねぇな。 ここは帰らせてもらうぜ」


 面の男がまた方向転換した時、俺達の仲間が新たに行く手を塞いでくれたみてーだ。


「ここは通さないよ」


 カゲミツ! そしておまけにレッド達も!

 面の男は三方向あった逃げ場を全て失い、一点突破するためか警備員の方へと走り出した。


「うおおっ!」


 警備員の人が勢いを利用されて投げ飛ばされちまった!


「逃げられる!」


 そう思った途端。

 面の男は少し走ったところで動きが硬直した。

 まるで見えない何かに時を止められたかのように……。


 何が起こったんだ!?


「ヨシュアの野郎……!」


「怪しい生徒を確保。 応援を要請する」


 面の男は起き上がった警備員に捕らえられた。

 これで、一件落着だぜ……。



――――――


Rati 52. 黄金の夜明け


――――――



 夏休みの最終日も近づいてきて、俺達が朱鳥ノ宮を去る日がやってきた。

 校長先生との挨拶を済ませ、深夜の校門の前でモモちゃんやレッド達、鷹彦部長が見送ってくれる。


「しかし、皆びっくりするだろうね。 寮を騒がせた一夏の転校生……面白くなりそうだ」


「二人の実力は飛び抜けてたし、来年入学する頃に誰が覚えてるか楽しみっすね!」


「突然、来訪した謎のソウルキャスターのコンビ。 夏休みが明けると同時に姿を消した二人の真相は、誰も知らない……か。 新聞部が飛びつきそうな物語だね」


 鷹彦部長やモモちゃんは、一夏の事件の真相を知るものとして高みの見物と洒落込むみたいだ。


「ヤマト、カゲミツの兄貴。 2人の力になれるように、俺も修験部で頑張るぜ」


「また何かあったら、俺達にも連絡しろよ。 お前らといると、退屈しなさそーだ」


「来年の入部、歓迎するよ。 君たちが心変わりしてなければだけどね」


 それぞれ握手と抱擁を交わして一夏を共に過ごした思い出を振り返りながら、モモちゃん、レッド達、鷹彦部長と順に俺たちは別れの挨拶を送り合った。


「皆、ありがと! 俺達、絶対に朱鳥ノ宮に入って戻ってくるよ! な、カゲミツ!」


「……僕もたぶん、そうなると思う」


「素直じゃねーな~」


 深夜の空に皆の笑い声が優しく響くのを感じながら、俺たちは小さな送迎バスに乗り込み朱鳥ノ宮を去った。


 車内は静かだ。

 運転手は俺も顔見知りのじーちゃんの道場に通っていたお兄さん。

 バスが走り始めてしばらく、一定の走行音が子守唄となったのか少し瞼が重くなってくる。


 このまま窓の外を眺めながら眠ろうと思った時


「あの面の男。 目的と素性が割れたみたいだよ」


「ホントか!?」


 カゲミツの言葉で目が覚めちまった。


「うん、他の人たちに話さないように、学園を去るまで僕にさえ連絡が来なかったけど……今教えてくれた」


 生徒を狙いカード狩りを行っていた謎の存在。

 それは、高等部1年の男子生徒。

 リングネームを【イシガミ】。


 ユリネさんが手紙で忠告してくれたうちの一人だ。


「そして、Renatusレナトゥスに属していた彼の狙いは……カードを狩る事で、生徒を儀式から遠ざける事」


「やっぱり儀式を知っていたのか……?」


「あぁ。 だけど、彼は儀式に深く関わってはいない。 ただ他のメンバーと違い、そういうものが存在すると知識として知っていたみたいだ。 きっと、君達との廃墟マンションでの件でね」


 Renatusレナトゥス……確か、儀式に参加させないというお題目を装って一般人からカードを奪っていた。

 それは本当の儀式の勢力が、自分たちを隠すために産み出された下請けの隠れ蓑だったって話のはずだ。


 イシガミさんは、俺達と廃墟マンションで戦い儀式の存在が迷信ではないと知って……それに関わる人間を減らしていたって事らしい。

 そして彼が獲物の対象として狙っていたのは、Renatusレナトゥスのメンバー、または元メンバー。


 裏側に近い同胞を黒の世界に踏み込む前に止めようとしていた、本当の正義感から行っていたものなんだ。


「彼の供述と行動は一致していて、嘘は言ってないだろうね」


「確かに……。 でもさ、それならなんでレッド達の依頼を受けたんだ?」


「それは……依頼を受けたフリをしたんだと思うよ」


 イシガミは、生贄を以て儀式を行う組織と、それに対立する組織があるという情報を掴んだらしい。

 一つはLupinusルピナスの組織、一つは俺達の属すことになった八咫烏の事だろうな。


 イシガミがレッド達の依頼を受けた理由は八咫烏と接触するため……。

 きっと、事件を起こしていくウチに自分を捕縛するための接触がある、という事を彼は分かっていたのかもしれない……って事か。

 これはカゲミツの推測だけど、可能性は高そうだ。


 レッドや俺たちはまんまとイシガミに乗せられたって事か。


「なるほどなぁ。 それで、儀式の組織……ユリネさんの行方については何かわかったのか?」


「姉さんの行方については、まだ分からない……。 ただ一つ、儀式を目的として動いている組織の名前がイシガミによって判明した」


 ……。


「【G.D.(GoldenDawn)】……。 意味は黄金の夜明け……それが、Renatusレナトゥスを下請けとして作り上げた、黒幕の組織」


 G.D.(GoldenDawn).……。

 それが、おそらくユリネさんも属している裏組織の名前。

 そして裏で儀式の糸を引いている組織、か。


 こうして……期待と不安の入り混じった夏休みの旅は、ささやかな思い出を残し終わる事になった。

 色々あったけど、少しはユリネさんに近づけたのかな。 



――――――


6章‼ ~潜入!朱鳥ノ宮!僅かな手掛かりを掴み取れッ!!~:終幕


――――――



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