Rati 49. マヒトツノ瞳
俺達は、ヨシュアさんとイシガミを調べるべく聞き込み調査を開始した。
幸い今日は部活が休みだから、丸一日を調査に使えたのは大きかったな。
聞き込みや手掛かりの探索を終えて、俺たちは中庭に集まり手に入れた情報の整理を行う事に。
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Rati 49. マヒトツノ瞳
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「まず大まかな情報から整理しよう」
カゲミツはそう切り出し、聞き込みによって入手したヨシュアさんとイシガミさんの情報を共有していく。
・ヨシュアさんは噂通り学園主席で最強の男子生徒。
夏休み中に帰省していて、学生寮にはいない。
彼は成績もよく、素行も模範的らしい。
・イシガミさんについては、学生寮に残っている生徒は話したがらず、言葉を濁すことが多かった。
けど、時々彼を学園で見るという情報を得た。
イシガミさんは交友関係も狭く高圧的な態度が特徴。
一人でいる事が多く孤高の存在といった感じらしい。
怪しいのは一目瞭然、イシガミさんだ。
「イシガミさんって人が怪しいんじゃねーか?」
「俺もそう思うぜ」
モモちゃんと意見が一致したな。
イシガミさんが怪しい理由は、事件の発端が関係してる。
この事件はそもそも、被害にあったかもしれない学生が詳細を話したがらない事から話が始まったんだよな。
そこで情報を掴むためにカゲミツと俺が任務に当たったワケだ。
イシガミさんについて話したがらない学生が複数いるのは、この妙ちきりんな事件の発端と一致しているんだ。
「確かに二人の言う事にも一理あるね……でも僕は、ヨシュアさんが怪しいと思う」
「どーしてだ? 学園でも慕われていて、カードを奪うなんて事はしなそーだけど……」
ヨシュアさんとは大会決勝でバトルし、オープンキャンパスでも会話を交わした事がある。
氣の良いお兄さんで、皆から慕われるのも納得の存在だった。
「ヤマト、公園でバトルしたお面を付けた男の人を憶えているだろう? あの時はモモちゃんもいたね」
「あぁ、俺は動きを先読みされ、ゲームをコントロールされてあいつの掌の上で……」
掌の上で踊らされているように惨敗した……。
……まさか。
「あの時のヤマトでも朱鳥ノ宮で充分通用する実力を持っている。 そのヤマトが手も足も出ず、聖騎士デッキを扱う人物……」
「あのお面の男が……ヨシュア……!?」
「素顔を直接見たわけじゃないよ。 でも、99%あの人はヨシュアだ」
……カゲミツはそう言って、仄かに黄金色の光を放つ自分の左眼を俺たちに見せた。
「兄貴、その眼は……!?」
「僕のこの目は、その人が産まれ持った氣や霊力を見分ける事ができるんだ」
あの日、レヴルナに込められた儀式の意味を知って、鍛錬を経てカゲミツと組むことになって……。
それから、カゲミツは自分に宿る力を教えてくれた。
自分の一族へと伝わる、独目の才能。
氣や霊力、オーラ、魔力……全て似たようなものだけど、人間の持つ産まれ持った見えない力をカゲミツは視る事ができる。
それはユリネさんではなく、男子である自分に引き継がれた。
赤子の頃に両親を失ったカゲミツは、ユリネさんと共に孤児院で過ごしてきた。
その孤児院は八咫烏が運営していて、二人の力を特別視し鍛えるため、そして保護するためにじーちゃんの道場へと通う事になった。
そして……俺たちが6歳になる頃、ユリネさんは急に姿を消したんだ。
「……兄貴にそんな背景があったのか」
「あぁ。 だからこの力によれば、ヨシュアはあのお面を付けた男でありRenatusの可能性が高い。 帰省しているのもカード狩りの活動をするためかもしれないね」
つまり、お面の男とヨシュアの持つ氣が一致しているって事か。
(妾も怪しいと感じていた。 カゲミツの言う通りならあのお面を付けた男はRenatusで間違いないだろう)
ハクもそう感じているのか。
デッキに入れて俺がいつも持ち歩いていた母さんの形見のカードに宿っていたハクは、今まで俺に気付かれることもなく俺を守ってくれていた。
修行によって視えないものを視る【見鬼ノ才】を得た俺は、神社のある区域外でハクを視る事もできるようになったし、コミュニケーションも取れるようにもなったんだ……。
だから俺が気付かなかっただけで、ハクは大会の会場でヨシュアを見てるし、公園とカードショップで戦ったお面の男とも俺と一緒に対峙している。
ハクとカゲミツの二人が言うなら、ヨシュアは黒なんだろう。
「ともかく、纏めると……ヨシュアが学園で起きてる事件の犯人である可能性が高いって事さ。 それと同時に、イシガミさんも警戒はした方がいいだろうね」
「ユリネさんの忠告だもんな……」
「あぁ。 学園の件、糸を引いているのはヨシュア。 実行部隊はイシガミという男の可能性が高いと思うよ」
「忠告通り、二人の動向を警戒しねーとって事か……」
話し合って、次の目的が決まったな。
ヨシュアは帰省していると考えると、やっぱりイシガミさんにターゲットを絞る事になった。
彼が出現する場所を調べて赴いて調査する。
これが、明日からの調査の目的だ。
「明日は部活だし、今日は解散すっか」
モモちゃんの一言で解散し、俺たちは別々の寮へと帰った。
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「口ほどにもねぇ……もうレヴルナからは手を引け、器じゃねぇんだよ」
深夜の学園の林で一人の男が賭けゲームに勝利し、生徒のカードを取り上げていた。
「くそ……」
カードを捕られた生徒は寮へと去り、男は戦利品を確認していると物陰への気配に気づいた。
「誰だ? 姿を見せやがれ」
「貴方が噂のカード狩りですか?」
「なんだァ? てめェ……。 中坊か?」
「中等部一年のしがないソウルキャスターです。 貴方と取引がしたい」
「……んだと? お前、何者だ? 適正者か?」
「適正者……?」
カード狩りの男は、相手の反応に拍子抜けした。
「何用か知らねぇが、とっとと帰って寝てろ」
「貴方を嗅ぎまわってる人がいるのをご存じですか?」
「俺を……?」
自分より背丈の低い少年の言葉に、カード狩りの男は動きを止めた。
「僕はそいつらへ恨みがあってね。 復讐を代わりに貴方にしてほしいんですよ」
復讐を持ち掛けた少年は、カード狩りへと自分の目的を説明していく。
それは、過去に自分を負かした相手を叩きのめしカードを奪って欲しいといった内容だった。
「お前、名前は?」
「レッドと呼ばれてます」




