Rati 04. 光を求める陰
「そろそろ決着をつけようぜ。 モモちゃん」
「覚悟しろよヤマト。 最強は俺だ!」
「「バトルラウンド!」」
最後の勝負はこのカードだ。
力を貸してくれ……!
「召喚。 風魔ノ大妖狐!」 パワー4000
「風魔ノ大妖狐! ヤマトの切り札!!」
対するモモちゃんは……。
「それじゃパワー不足だぜ! 月夜を浴びるライカンスロープを召喚!」 パワー8000
……出たな狼男、モモちゃんの切り札!
強敵の出現にモナカの声色も緊張感が入り混じっている。
「まずい! ライカンスロープは高コストのパワー系モンスター。 それに、呪文を打つコストが無くても自身の手札を捨て、パワーを上げる事ができるんだ! 相性も含んだ合計パワーは13200……!」
「モナカ。 心配するなって」
俺はこの時のために手札とソウルコストをコントロールしていた。
「スペルを一斉に発動する!」
「3枚も発動できるのか!?」
ソウルキャスターは基本的に1度のバトルラウンドに3枚までのスペルを発動できる。
「ヤマトの妖狐のパワーが上がっていく!」
コストを余すことなく発動していけば……。
地属性のスペルを発動する度パワー+2000する能力を持つ妖狐は、スペルカードの効果も相まって……。
パワー13500!!
「ゴクラクさま! またやろうぜ!」
――――――
Rati 04. 光を求める陰
――――――
良い気分だ!
校内最強の座を手にして、皆でどんちゃん騒ぎのあとに帰宅。
夕日の闇をかき分け家に帰れば道場の灯りがまだ点いていた。
「コーン」
「ハク、ただいま。 シーっな! じーちゃんにバレるから」
珍しいな。
まだ道場生が残ってるのか?
バレないように、静かに様子を見るか。
端っこに移動し、下の窓から顔を出して覗こう。
……あいつ、なんで。
視線の先にはじーちゃんと向かい合って座るカゲミツの姿があった。
二人とも息をするのも忘れていそうなほどに真剣な表情だ。
なに話してんだ……?
外の風の音が耳の奥に木霊するせいでこっからじゃ全然聞こえない。
回り道して近づいていみるか。
「何してるの?」
「うわっ!」
入り口を通り過ぎた瞬間、綺麗な声に背中を震わせて振り返るとカゲミツが立っていた。
「おどかすんじゃねぇ!」
「そっちが勝手に驚いたんだ。 僕のせいにしないでもらえるかい?」
……まるで気付かなかった。
存在感がないわけじゃないんだけどな……。
「なんでここにいんだ? もしかして俺の跡をつけてきたのか!?」
俺が警戒するように構えると、カゲミツは鼻で笑ってくる。
「そんなワケないだろ。 君が覗き見する前からおじーさんと話をしていたんだから」
「き、気付いてたのかよ!」
「とにかく、僕はもう帰るよ」
「おう。 かえれかえれ。 じゃあな」
……。
「コラ! ヤマト!」
「いでっ! なにすんだよ!頑固じじい!」
「なんじゃと?」
「いえ……」
な、何で殴られたのに俺が悪者に……。
「ヤマト。 カゲミツくんを送っていきなさい」
「え~、なんでだよ!」
「つべこべ言うな! 夕餉を抜きにするぞ!」
「は、はい」
カゲミツを送ろうとすると、ハクが足元に走ってきた。
「お、ハクも行くか?」
カゲミツにハクを紹介すると、ハクの方からカゲミツへ近寄っていった。
珍しいな、ハクが自分から人に寄っていくなんて。
「君は……ずっと、ヤマトの側にいるんだね。 よろしく」
そうして、俺たちは歩いて神社から出ていく。
……送るつっても、カゲミツが俺といたくねーだろ。
口を開けばバカにするようなことばっか言ってくんだから。
「ったく。 じーちゃんのワガママにも困ったもんだよな~」
「……」
「ところで、なんでウチにいたんだ?」
「……」
「なんか言えよ」
そんなに俺と話したくないのか。
お互いにしばらく無言のまま歩き続けると、カゲミツは口を開いた。
「ヤマト……」
「なんだよ」
……。
「……ありがとう」
「は?」
「学校で、誘ってくれて……嬉しかった……」
「え……あぁ……」
「もうここでいいよ。 それじゃ……!」
あいつ……素直にお礼言えたのか……。
――――――
「カゲミツ。 怪しい気配は消えたが、どうする?」
「僕は平気だ。 あの人たちがいるから……ヤマトが家に着くまで見ていて欲しい。 あの子は力を封印されてるみたいだし……」
「御意……」
―――――
1週間後。
「おうヤマト!」 「前の戦いすごかったな!」 「ヤマト! おはよう!」
「おう! 挑戦したければいつでも言いたまえ!」
いや~気分が良いな。
最強の座を手に入れたおかげか、皆の俺を見る目が変わった気がする。
教室の座席に就けば、隣の席にサクヤが既に座っていた。
「分かりやすいくらい調子に乗ってるなぁ」
「おうサクヤ。 お前もレヴルナやってみれば? 今なら【最強】の俺が特別講師になってやるよ」
「そんなに面白いの? ちょっと興味出てきたかも」
「マジかよ! 今まで娯楽に全然興味なかったってのに、どうしたんだ?」
「うん……ちょっと……」
……サクヤ。
今、カゲミツの方を見なかったか?
気のせいか。
「ともかく、まだやるって決めたわけじゃないからね!」
「お、おう。 そっか」
休み時間。
相変わらずカゲミツは女子に囲まれている。
転校生の華は最初の内だけと言うが、女子の熱狂ぶりを見るとコイツの人気は永久に続くんじゃないかと思わされる。
「カゲミツの何がそんなにいいのかねぇ……」
……。
『……ありがとう』
まぁ、あの時のあいつはまだ素直で可愛げがあったけど……。
「大変だぁ! ヤマト!」
「な、なんだぁ!?」
別クラスの友人が、急に俺たちのクラスへやってきた。
「ヤマト、俺たちの仇を取ってくれ!!」
「あばばば」
急に両肩を掴んで体を激しく揺らしてくるなよ。
喋れないだろ。
「お、落ち着いて。 まず何があったのか説明してよ」
「お、おう。 実は……」
モナカの静止により、そいつは一度息を吐き落ち着きを取り戻して話し始めた。
「隣地区のやつらが、いきなり賭けデュエルを挑んできたんだ!」
「カードを取られるのもやだし、最初は断ったんだけど……あいつら……」
「俺たちの小学校やモモちゃんのことまで悪く言うんだぜ!」
モモちゃんは俺たちの中でも頼りになる。
学年関係なく明るく接してくれて……。
最強のソウルキャスターは俺でも、モモちゃんはこの栗ノ木小学校を引っ張るガキ大将だ。
……そして、モモちゃんを慕う皆は賭けデュエルを受けて負けたと。
「ヤマト頼むぜ! あいつら、取り返したかったら強いソウルキャスターを連れて来いって言うんだ!」
「ふふふ……この俺にまかせなさい! 正真正銘、校内最強ソウルキャスターの俺にな!!」
くぅ~、良い響きだぜ!
・「風魔ノ大妖狐」 コスト5 タイプ:地
パワー4000
地属性のスペルを発動する度パワー+2000
ソウルコストに地属性が存在する場合に、召喚可能。




