Rati 03. 校内最強決定戦ッ!!
「宇良々 景光です。 皆、よろしくね」
「キャァ~~!」「かっこいいかも……!」「カゲミツくん! ここ開いてるよ!」
公園で会ったあいつ。
転校生だったのか……。
――――――
Rati 03. 校内最強決定戦ッ!!
――――――
「カゲミツくん! 前はどこにいたの!?」「誕生日は?」「彼女とかいる!?」
休み時間。
転校生のカゲミツは物珍しさから女子生徒に囲まれている。
「別に……」
「キャー!!!」
あーもう、さっきからカゲミツが一言発するたびにこうだよ。
うるさくてかなわん。
「うるせぇよ! 集中できないだろうが!」
「なにいきなり」「やきもちでも焼いてんの?」「うわぁ、子供っぽい」
小学5年生は子供だろうが、ったく。
妙に背伸びしたがる方が子供っぽいっつーの。
それに誰がお前らみたいなのにやきもちなんか焼くか。
って言うのはやめておこう。
こちらが正論を言っても大抵は【なにそれ、意味わかんない】で効果を無効化される。
挙句の果てには向こうはどんどん仲間を増やしていくからな、言い返すだけ無駄なんだ。
これは小学生歴5年で得たジンセーケーケンというヤツだ。
さて、うるさい女子たちは放っておいて、次の試合に向けてデッキの調整をしないとな。
「ヤマト、バレたら先生に捕られちゃうよ」
「大丈夫だって。 サクヤはレヴルナやらないのか? 最近は女子プレイヤーも多いみたいだぞ」
「……うーん、私はカードとか良く分かんないし」
「へ~」
……カードの調整をしていると、カゲミツがこちらを見ていた。
そういえば、カゲミツもやってるんだったな。
「カゲミツも……リーグ戦出るか?」
「僕は……いいよ……」
また、朝と同じ顔……同じ目だ。
「そうか、やりたきゃいつでも言えよ。 どうしてもって言うなら仲間に入れてやるからな」
……。
「……う「なにそれ、カゲミツくんがそんなのやるわけないでしょ」
「ほんとカードバカ」
「少しはカゲミツくんの落ち着きようを見習ったら?」
「う、うるせぇよ」
あーでたでた、カゲミツの興味が自分らからそれたからってやっかみですか。
お前らこそサクヤを見習ったら?
と言うのは当然やめておく事にするぜ。
「ホント変な遊び……何の意味があるの? カードなんかやって」
「遊びじゃ、ない……!!!」
……カゲミツが急に声を荒げ、教室が静まり返った。
あ、遊びだろそこは。
「ぼ、僕はレヴルナの世界一を目指してて……だから学校のお遊びなんか興味ないんだよ」
「そうだったんだ!」「私もやろうかな!」
カゲミツって、なんかおもしれーかも。
そして、カゲミツの人気ぶりを目の端で眺め続け学校生活は過ぎていき……放課後だ!
「いくぞ! モナカ!」
「ヤマト、待ってよ~」
これから、公園でリーグ戦の続きだ。
早くしないと日が暮れちまうからな。
「ヤマト、今日の夕方は稽古でしょ」
「しばらくはリーグ戦あるから無理だ! じーちゃんによろしく!」
サクヤが呼び止めるのを流して、モナカの勉強道具を鞄に押し込んでいく。
「なんだよ、カゲミツもくるか?」
「……僕は、お遊びには興味ないから」
「へっ、そうかよ」
カゲミツとサクヤを残し、道中の友人達とも合流し皆で公園へ。
「よし、じゃぁ始めるぞ!」
休日と今朝、そして放課後を通し試合は消化されていき、とうとう最終戦だ。
「ヤマト、連戦連勝だね。 でも次は一番の強敵だよ」
「あぁ、楽しみだぜ」
モナカの言う一番の強敵。
その最後の相手は……百地 桃道。
小学6年生の先輩で、校内最強(仮)のソウルキャスター。
元々、このリーグ戦が始まったのも彼が発端だ。
本当の最強を決めるため、学内でレヴルナをプレイしているソウルキャスター全員に声がかけられた。
「最後はモモちゃんか」
「やっぱり全勝か、ヤマト。 今日で俺の【最強(仮)】の称号も返上だ。 俺様が校内最強ってことを証明してやんぜ!」
「俺だって全国一を目指すんだ。 負けないぜ、モモちゃん」
互いの意気込みを入れて、審判がソウルゲーム開始の構えを取り、合図を告げた。
「セッション……ゴー! ファーストラウンド!」
俺のファーストパートナーはこれだ。
「伝令走狐・疾風!」 パワー1000
「ブラック・ファング!」 パワー1500
黒き狼のファーストパートナーか。
パワーは俺の負け、ソウルタイプはどちらも地属性。
けど俺の手札には【疾風ノ舞】があるから、相手のパワーを落とし勝利を狙える。
「いくぞ、ヤマト。 バトルラウンド!」
「なら俺は、スペル、疾風ノ舞。 ブラック・ファングのパワーを落とす」
「効かないねぇ」
なに!?
疾風が相打ちもできず負けた……?
「俺のブラック・ファングはパワーの変化を受けねぇんだ。 小細工は通用しないぜ!」
「そんな効果が……」
「ヤマト、お前みたいなやつと戦うためのファーストパートナーだ」
パワー系デッキのモモちゃんがそんなカードを使うなんて……へへ。
「やるな。 モモちゃん」
「まだまだこれからだぜ。 エンドラウンド!」
手札を4枚になる様にドロー。
そして、ソウルコストを1チャージ。
そして使ったコストがあれば全回復する。
エンドラウンドでできる事はこれくらいだ。
「2ターン目 ファーストラウンド!」
バトルで負けてデッキを削られた分+ソウルコストへ送られた疾風。
そしてチャージしたコスト。
俺のソウルコストの合計は3。
「俺は風霊・一反木綿を召喚する」 パワー3000
「ブラック・ファングの負けだ」 パワー1500
これでバトルは1勝1敗だ。
「よし!」
そして、お互い準備を終えて次のバトルラウンドだ!
「バトル!」
「ヤマト。 先に呪文を出せ、【真紅の闘牛】のソウルタイプは天だ」 パワー3000
「相性効果だ!」
モナカがギャラリーの初心者たちへと説明してくれる。
相性効果。
このゲームの駆け引き要素の一つだ。
バトルに負ければデッキから相性の有利なパートナーを選んで召喚できる。
そして、相性有利ならばパワーは+10%。
同パワーなら、それで勝利する事ができる。
だがこのゲームには呪文……スペルカードが存在する。
それを発動し、パワーを競うわけだけどこれにも相性が絡んでくる。
相性不利な方は、そのパワー差を覆すために、先に呪文を発動しないとバトルに負ける。
有利な方はそれに対処する呪文を行使できる。
つまりは相性有利な方は、パワー+10%に加えて……相手の発動した呪文への回答権を手にできる。
モモちゃんはこれを狙ったんだろうが……。
「ヤマトの一反木綿のソウルタイプは【天】に不利な【地】。 でも……」
「そう。 確かに一反木綿のタイプは地。 でも、このカードは相性の効果を受けない!」
「く……やるじゃねぇか」
こっちのセリフだぜ。
モモちゃんは中々リードを許してくれない強敵だ。
「相打ちだ! どっちも、一歩も引かねぇぞ!」
「モモ!勝て!!」 「絶対負けんな!ヤマト!」
俺達のバトルで皆が熱狂している。
これだ。
これが、やっぱりレヴルナだよな!
真剣勝負をして、皆がそれを心から楽しんで、その時間をみんなで共有する。
熱狂の中、気付けばお互いの生命線とも言えるパートナーデッキは切れかかっていた。
このバトルが最終バトル!
「そろそろ決着をつけようぜ。 モモちゃん」
「覚悟しろよヤマト。 最強は俺だ!」




