Rati 45. 歓迎の宴……!
「さ、これから転校生の君たちがどのくらいの体力があるか、基礎訓練を通して見ていくよ。 修験の道には体力が必須だからね」
俺たちが入部したのは修験道の部活、修験部。
修験の道を進むための基礎を作り上げ修練するための部活動。
高等部からは、こことは別の設備や内容がもっとしっかりとした修験道部という部活動になるらしい。
足腰を鍛えるためウォーミングアップのランニングから、ダッシュ。
険しい山道でも軽快に動くけるように、フットワークを鍛えるためのステップの訓練になるラダーを行っていく。
そして、筋力や瞬発力のトレーニング。
精神を鍛えるための瞑想など。
セミの鳴き声に身を預けながらもたんたんとメニューをこなし、気付けばレッド達は大分バテているようだ。
部長も俺達が思ったよりも動けているからか感心してくれた。
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Rati 45. 歓迎の宴……!
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「2人とも、やはり髄継さんの教えを受けているだけあってかなりのものだね。 びっくりしたよ」
「へへ、それほどでも……」
鷹彦部長もじーちゃんの名前を……。
ハジメさんや父さん、校長先生までじーちゃんのもとで修業をしていたって話だ。
今まで考えた事なかったけど、じーちゃんって何者なんだ?
「じーちゃんって、何者なんですか?」
「……。 あの人は、色々な人の憧れさ」
「憧れ……?」
「詳しい話はまた今度かな。 今は鍛錬に集中しよう」
……確かにレッド達もいるし、部活に来る他の生徒の目も増えてきた。
八咫烏はいわば秘密組織のようなもの。
大っぴらに活動や事件の事を話すわけにはいかないもんな。
色々あってその日の部活は終了し、俺たちはモモちゃん達から学生寮の紹介を受けた。
「ここが俺達、中等部一年の学生寮だぜ」
校舎から少し歩いた場所に立てられた学生寮。
外観はまるで大きな武家屋敷のようで、古風な雰囲気が漂う木造建築の建物みたいだ。
隣に数十メートル歩けばすぐに2年生の寮があり、そのまた隣には3年生のエリアがある。
学年が別けられているのは、まず仲間達で問題を乗り越える事や共同生活を学ぶため。
直ぐ近くに寮があるのは、問題があれば上級生に助けてもらったり、何か人手が必要なら俺達が手伝ったりと集団間での助け合いの精神を養うためだという。
寮の説明をしてくれたモモちゃんは、屋敷の大広間の扉へと手に掛けた。
「ほんで、どっかから転校生が来ると聞きつけたのか……」
そして、勢いよく扉を開いた。
「「ようこそ!! 朱鳥ノ宮へ!!」」
「うわっ!」
多くの生徒がクラッカーを響かせて俺達を歓迎してくれた。
周囲にはお菓子や飲み物。
レヴルナの対戦台まで並べられている。
「俺、タケル! すげぇよ! 皆ありがとな!!」
寮生たちと挨拶を交わし、和気藹々と時間は過ぎていく。
へへ…転校生としての期間限定だけど、皆と仲良くやれそうだぜ!
「タケル君ってどっかで見たことあるなぁ……どこだっけ……」
「き、気のせいじゃないかな~」
去年ジュニアチャンピオンになって、俺のヤマトという本名が比較的通っているのは高等部だという話だったけど。
やっぱり中等部の一年生にも知ってる人がいるのかもしれない。
ここはカカシの如くシラをきり通すぜ。
「それじゃ、そろそろやるか。 タケル、まずは俺と勝負だ」
「おう! いくぜ!」
……こうして、新たにできたたくさんの仲間とソウルゲームを行い、日は暮れていった。
「タケルもつええけどさ……カゲミツくんって、なんかレベルが違うよな。 もしかしてプロだったりする?」
皆カゲミツの強さに気付いたみたいだな。
歓待のソウルゲームを受けたカゲミツは、始めて俺と戦った時みたいに完封勝ちを連発していた。
普段一緒に修行している俺も鼻が高いぜ。
「いや……僕はただ……目的があってやってるだけなんだ……」
「目的って?」
「世界一を、目指してるんだ……」
姉貴であるユリネさんを探すという目的を伏せ、カゲミツが便宜上用意した目的。
その答えに場は静まり返った。
自分が世界一になるほど強くなれば、ユリネさんが自分を見つけてくれるかもしれない。
そう願いを込めた目的らしい。
沈黙の中、夜風と鈴虫の音が心の裏に秘めたその真剣な想いを引き立てていた。
「「うおおおおおお! すげー!」」
「カゲミツならぜってーなれるよ!」「どうりでこんなつええ訳だ!」
「兄貴って呼んでもいいか!?」
「バカ! カゲミツの兄貴は俺の兄貴だ!」
この日カゲミツは、モモちゃん意外にもたくさんの生徒の兄貴となった。
カゲミツは兄貴という呼び名は少し嫌そうだったけど、皆と親しくなり心から笑っていたように見える。
その顔は、俺が昔から知ってる友人が大笑いしていた時にしていたような……。
そんな表情だ。




