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ーLev・KarunaRatiー  作者: ☆ごりらカーニバル☆
Deck 02. 5章‼ ~行くぜオープンキャンパス!そして、思わぬ再開……?~
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Rati 40. 迷い家の導き



「迷った」


 説明会の途中、トイレに行っていたら皆は先に部活動の体験会へと消えていた。

 体育館前にいた先生に道を聞いたけど敷地が広いせいで迷っちまったぜ。


「ハク、いるか?」


「どうした」


 虚空へと呼びかければ、霊体となっていたハクが姿を現した。

 

「迷ったんだけど、皆がどこにいるか分かったりする?」


「なんでもかんでも妾を頼るな。 このくらい一人でなんとかしてみせろ」


「んなこと言われてもさぁ。 こんな広い場所じゃぁ……」


 最近自分に頼りすぎだと、ハクは小言を嘆いている。

 だけど、そんな事はどうでもいい。

 こんな広い敷地じゃ遭難して、林の中で干からびてしまうかもしれない。

 頭の中へと、明日の朝刊に乗ってる自分の未来が勝手に描き出されてきたぜ。


「このままじゃ学園に一人取り残されて……ミイラになっちまう!」


「安心しろ。 妾は来たことがあるからな。 閉園までには外に出してやる」


「なーんだ。 それなら安心……って来たことあんのかよ!」


「うむ。 照彦(テルヒコ)と行動を共にしていた時にな」


 そっか……。

 俺へと母さんの形見のカードを託してくれた行方不明の父さん……。

 ハクが宿るそのカードが俺の手に渡るまでは、ハクは世界各地を回る父さんと共に行動をしていたんだよな。

 そのハクによれば父さんはこの学園とも関りがあったという。


「誰だ。 こそこそせず姿を見せるがいい」


 ハクが突然、林の物陰を見つめ警戒した。

 同じ方向へと視線を向けると、人影が飛び出して鬱蒼とした林の奥へと消えていく。

 この先はおそらく山へと繋がる森になっていると思う……。


「逃がさん!」


「おい、ハク!」



――――――


Rati 40. 迷い家の導き


――――――



 自分たちを付けまわしていた人物を問い詰めるつもりか、ハクは山の奥へと入っていく。

 しばらく歩けば……小学校くらいの大きさの校舎が見えてきた。


 その校舎の前の開けた場所でスカートを履いた人物が立ち止まっている。

 静止していた人物は木漏れ日を反射する綺麗な髪を揺らめかせて、こちらへ振り返った。

 

 とっても、綺麗なお姉さんだ……。


「いらっしゃい、ジュニアチャンピオンのヤマトくん」


「ここは……?」


「ここは旧校舎。 ときどき、ここで秘密のお茶会を開いてるの」


 ……楽しそうに話す女生徒をハクは警戒している。

 けど、この人はきっと悪い人じゃない。

 そんな感情が俺の胸の中に芽生えていた。


「そんな事はいい。 貴様何者だ。 なぜヤマトを狙う……!」


「知りたい? 私が君をここに招待した理由」


 あの任務の日、ショップで仮面の男が言っていた……。

 俺は高等部で名前が知れ渡っていると。

 この人もそれで、俺を……?


「だって……とってもかわいいーんだもん!」


「え?」「は?」


 ……聞き間違いだろうか。


 俺とハクが呆気に取られている間、お姉さんは俺達へと近づいてくる。

 な、なにをする気だ……?


「もう! 学校新聞で見てからずっと会いたかったの!」


 急に……俺を捕獲……。

 いや、抱き着いてきたのか!?


「え! ちょっと! お姉さん!離れて!」


「なぁに照れてんの~? そっか、もう来年中学生だもんね~!」


 ち、力強っ!

 なんとか抜けようとしてみたけど、すごい力で抱きしめられてる!


「は、ハク! 助けてくれ~!」


 なんだか懐かしい温もりが胸の内に湧き、心地よさを感じてしまうけれど……。

 もしサクヤに見られたらなんて言われるか!


「こ、こら! ヤマトから離れんか!」


「あら? その狐さんはお友達なの? カワイイね~!」


「うわぁ! こっちに来るでない!」


 実体化したハクの言葉は分からないのか?

 普通の人なのか……。


 俺から離れたお姉さんは、嬉し泣きしてるのか目じりに涙を浮かべている。 

 そ、そんなに嬉しかったんだろうか。

 なんだか良く分かんないけど、釣られて俺も嬉しくなってしまった。


 彼女はハクの言葉を受け止める様子はなく、無視して抱っこしている。


「俺の友達なんです。 オープンキャンパスについてきちゃったみたいで」


「ふーん。 それより、初めましてだね。 私は高等部2年、リリムっていうの。 可愛いリングネームでしょ?」


「は、はい。 ところで、なんで俺を?」


「言ったでしょ、学校新聞を見たの。 君が学園首席のヨシュアを破ったって聞いてからファンになっちゃったんだ」


 シュセキって確か、一番つええ人って事だよな?

 あの人……学園の首席だったのか。


「ほ、ホントにそれだけ?」


「ホントにそれだけ!」


 ……なーんだ。

 なんか警戒して損しちまったぜ。


 女性に招かれて校舎の中に入ると、そこは古ぼけた場所とは思えないほど綺麗な場所だ。

 どうやらここは朱鳥ノ宮ができる相当前にあった小学校の校舎だという。


「それで、私たちは秘密基地として使ってるの」


「私たち?」


「今は誰もいないけどね。 さ、入って入って!」


 促された部屋に入ると、理科室のような場所が小綺麗に模様替えされ、華やかな秘密基地のような場所となっていた。

 なんだか少年心をくすぐられるなぁ。

 こんな秘密基地があったら毎日通ってレヴルナ三昧だ。


「ほらほら、このお茶も新しくもってきたんだ。 飲んでみて」


 リリムさんは小奇麗な缶から取り出したお茶ノ葉で、紅茶を淹れてくれた。

 冷蔵庫から取り出した冷えているグラスに氷を入れて、紅茶によって締められた氷の音色が渇いた喉の期待感を煽っていくのを感じる。


「そんじゃ、いただきます……」


 ……!

 冷えた紅茶の香りが微かに鼻へと伝わり、のど越しの爽やかさを引き立てている。

 ほのかな甘みが紅茶の苦みを中和して舌を流れていく感覚が病み付きになりそうだ。


 喉が渇いていたから……と言うのもあるだろうけど、それを抜きにしても相当うまいぜ。


「めっちゃ美味しいです! とんでもない腕前っすね!」


「ふふ、でしょ? いっぱい飲んでいいからね~」


 ……お茶をして世間話に花を咲かせてしばらく、リリムさんは少し真剣な表情になり俺の瞳を見つめ始めた。


「ところで、君はなんでレヴルナをやっているのかな?」


「楽しいから……」


「それだけ? わざわざ朱鳥ノ宮にくるくらいだもん。 何か別の理由があるんじゃない?」


「それだけ、だったんです。 前までは」


 俺は楽しいからレヴルナをやっている。

 でも、それだけじゃ大事な人とも会えない事。

 大事な人を守れないという世界を知ってしまった。


 そして、この一年間は修行が多くなり……。

 俺は……新しくレヴルナをする理由を見つけたんだ。


「俺。 友達が、ライバルがいて……そいつは、一人で孤独を抱え込んでる。 ほっといたらいつでも離れていっちまいそうで、そいつを一人にしないために、俺はレヴルナをやってるんです」


 俺はサクヤと約束したんだ。

 カゲミツを一人にしないって。


 そして、カゲミツだけじゃない。

 サクヤも、モナカも、モモちゃんも。

 古代から続く因縁に巻き込まれる子供達とも……。


 儀式を終わらせて、皆で楽しくレヴルナをできるようにしたいんだ。


「そっか……」


 林にいるセミの鳴き声が消えるまで、お姉さんは窓辺に立って外を眺めていた。

 なんか妙な空気になっちまった。

 真面目に答える話じゃなかったのかな?


「君の友達は幸せ者だね。 でも……」


「……」


「自分じゃ手も足も出ない。 どうにもできない本当に強い相手が現れても、君はレヴルナを続けられる?」


 当然だぜ。

 あの儀式で勝ったのは、奇跡だ。

 今の俺じゃ、カゲミツやLupinus(ルピナス)に遠く及ばない。


 でも諦めないで戦ってきた。

 俺はいつか、全てのソウルキャスターの宿命を超える。

 そして儀式を終わらせて、皆で楽しくレヴルナをやるんだ。


「もちろん!」


「そっか。 じゃ、お姉さんが試してあげる……!」


 その手の紋章は……!



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