Rati 36. 古ノ因縁
情報量が多いので、次回で情報を簡単にまとめる予定です。
大まかに把握できればいいという方は、事件の真相などに関するシーンは流し読みしても大丈夫です!
「Renatusと名乗るカードギャングは、今回の儀式の件に繋がっていたんじゃ」
カードギャングが……。
「Renatus。 彼奴らの目的は……子供達を儀式に参加させない事じゃ」
「え? どういう事だよ……やつらは儀式に関わっていたんじゃないのか?」
「まぁ最後まで聞け」
――――――
Rati 36. 古ノ因縁
――――――
「Renatusは、ただの駒にすぎんのじゃ。 本当の黒幕が背後にいる」
しばらくじーちゃんの話を聞いて、頭をうならせながらも何とか理解できたぜ。
つまり……Renatusは背後にいる黒幕が儀式を進めるために作り上げた、下部組織。
黒幕はRenatusを都合の良い駒として扱い、カードを集めていたって事だ。
「正義という心を利用したのじゃ。 人は自分に正義がある時、残酷な選択ができる」
「どういうことだ?」
……。
「スネツグさんが言いたいのは、子供たちの大事にしているカードを、怪しげな心霊体験に関わらせないために取り上げている。 という事なんだよ。 それがRenatusの行動理念さ」
「カゲミツくんの言う通りじゃ」
なるほど、そう言う事か!
Renatusは自分たちに正義があると黒幕によって思い込まされ、儀式に参加させないため子供達からカードを巻き上げていたんだ。
けど当のRenatusの構成員は儀式の事なんて目にした事すらないという。
そうして取られたカードは横流しされ、闇の市場に……。
「そうか、けどなんで取ったカードは闇の市場に……」
「うむ。 闇の市場にカードを行き渡らせていたのはな、魂が宿るカードを適正者へと行き渡らせ覚醒させるためだったんじゃ」
適正者……。
無意識に自分の手の甲を見つめてしまった。
一本角が生えた馬の紋様。
それが俺の手の甲へと浮かび光った瞬間。
あの時【適正者】と言われたんだ……。
まさか、サクヤも……!?
サクヤは魂が宿る【幻想ノ白兎】を渡されて……。
「サクヤも適正者なのか……?」
「サクヤちゃんは、少し特殊なんじゃ。 今は適性者と似たようなものと思っておけばいい、情報量が多いと混乱するからな。 サクヤちゃんも、いいかね?」
「はい……気になるけど、そっちの方が私も助かります……」
「かたじけない」
ともかく、Renatusは人の善性を利用し悪事を働かせているって事。
そして【適正者】の覚醒や、そのためにカードを集めたり……。
様々な目的を遂行するための都合の良いコマってことか……。
「そして、今回の儀式の話に移っていくのじゃ。 適正者を覚醒させて儀式に参加させる事。 それが彼奴らの思惑」
「重要な力を持つサクヤちゃんを攫い、【適正者】として類まれな力を持つヤマトをおびき出したのじゃ。 そして、適正者をおびき出す目的は……お主も戦いの中で感じたであろう」
……あれは遊びじゃない、魂を賭けた戦いだった。
適正者をおびき出し、儀式に参加させる目的……。
「生贄……」
「その通り。 祟り神を復活させる【供物】にする事。 それが真の目的なんじゃ」
「タタリガミの復活……」
信じられないけど、信じられる。
だって俺は儀式に参加させられて、死にかけて……。
相棒であるハクだってたぶん……守り神様だったんだから……。
「奇跡的にヤマトは勝利を掴み、あの優男は逃げていったという報告を受けている。 カゲミツくんからな」
「あぁ。 Lupinusは君が倒れた後、息を吹き返し逃げてったよ。 彼も疲労困憊だったけどね」
そう、だったのか……。
それはそうとLupinusはどうなったんだ?
「でも! Lupinusは公式プレイヤーだ! 捕まったのか!?」
「Lupinusは捕まっていない……それどころか、次の仕事や儀式に向けていつものように調整しておるだろう」
「え? なんで……?」
……今までの答え合わせをするように、カゲミツは目を見開いた。
「レヴルナ……Lev・KarunaRatiは……Lupinusも属している儀式の組織……。 Renatusの裏側にいる黒幕が手掛けたカードゲーム……儀式なんだ」
それが、カゲミツが遊びじゃないと言っていた理由。
俺をレヴルナから離れさせようとしていた理由。
手紙で父さんがカゲミツを庇っていた理由……。
!?
「父さんも……!?」
父さんも儀式を知っていたんだ……。
そして、ハクの事も……。
「ともかく、今は話を続けるぞ。 ややこしくなるからな」
「あ、あぁ……」
「Lev・KarunaRatiは、ワシも属していた世界を裏で守る組織。 そしてLupinusの属する組織が共同展開をしたカードゲームなんじゃ」
大まかに分けると……。
カゲミツやじーちゃんも関りを持つ儀式を止める組織。
Lupinusが属する儀式を遂行する組織。
この二つがレヴルナを共同展開したって事か。
目的が反しているのに……二つの組織は敵対していないのか?
「二つの組織は、味方同士なわけでもない。 ただ利害の一致があったのじゃ。 それには古代の一族が催していた儀式が関係しておる」
「古代の……儀式?」
……。
「かつて……古代の日本。 とある地方で子供を神の供物とする儀式が行われていたんじゃ」
……子供の生贄。
「その恐ろしい儀式は、古代日本を統治していた十氏族により生贄という形式だけを変更させられたのじゃ」
招待状に書かれていた……俺が十氏族の末裔だと……。
じーちゃんや俺は、その十氏族の末裔ってことなのか。
「それ以来、生贄の儀式は形だけのものとなり供物となる子供もいなくなった」
「生贄のエネルギーを欲していた神は、己を制御する術を無くし、憎しみを、邪気を蓄積させていったのじゃ」
「そこで祟神を祀る一族は十氏族たちへと責任を取らせる事にした。 呪術の祭祀を儀式と並行して行うようになったんじゃ」
鹿や兎。
祟神を封じ込めた十氏族の象徴と言えるような動物を代わりに供物として捧げる事で、十氏族を呪い祟神を鎮めていったという。
「それが呪いの証として十氏族の末裔である子供たちの手の甲に現れるようになった。 適正者の証じゃ」
……生贄は祟り神を抑えるのに必要だったけど、十氏族がそれを止めて呪いによって影響が出たんだ。
そして、生贄の象徴として十氏族の末裔に適正者の証が浮かび上がってきたのか……。
「そして、現代。 呪いの受け皿が零れはじめ、このままでは祟り神が暴れ世界が崩壊してしまう。 そこで生まれたのが……古代の儀式を模したカードゲーム」
「Lev・altareと名付けられたそれは……やつらの信仰する祟り神を復活させ、本物の生贄を用いて苦しみから解放させることが目的の儀式だったのじゃ」
……Lupinusが言っていたレヴルナの別称。
あれは儀式の名前だったんだ。
「そして、生贄勢力は新たな儀式であるLev・altare完成させ、表の世界で展開力を持たない彼らはそれをゲームとして広めるために協力を仰いだ。 生贄をやめさせた十氏族の組織に協力を求めたんじゃ」
「それが、ワシらが属する組織。 【八咫烏】じゃ」
八咫烏……それがじーちゃん達が属していた組織の名前。
「八咫烏も目的があった。 この世界の崩壊を止めるという目的がな。 もちろん生贄の勢力とは別の形でだ」
「それをするのにこの儀式は非常に都合が良かった。 利害の一致として、カードゲームとしてリリースする事になったのじゃ」
「それが、表向きのゲームとしての名前【Lev・KarunaRati】じゃ」
それが、レヴルナが作られた真の目的だったのか……。
八咫烏と儀式勢力の両者は、形は違えど世界の崩壊を防ごうとしているって事か。
「でも、子供の生贄なんて……!」
「気持ちは分かる。 ワシらも生贄を認めたわけではない」
「なら、どうして!」
どうして、共同展開をしたんだ?
「ワシらの目的は、祟り神を復活させて崩壊を止める事ではない。 祟神の荒ぶる魂を儀式によって鎮静化させることなんじゃ」
じーちゃんによると、儀式は儀式でしか止められないという。
無理矢理止めれば、儀式に参加した人間の魂も完治できないほどに深く傷つけ、儀式の影響が後遺症のように土地にも残ってしまう。
だから、カゲミツは俺が儀式をする様子を途中から見ていて、隙を見て助けようとしてくれていたってことか。
本来ならばカゲミツは、儀式で祟神を鎮静化させる強力な戦力として……八咫烏に属していたんだ。
そして、その儀式を自分たち側でも管理を共同することで、目の届きやすい範囲で監視できる。
自分たちも儀式に関わっていくには、展開に多大な力を貸して権利を持った方が都合がいいという事らしい。
二つの組織が協力して、儀式の形式や規定を取り決めていった……。
儀式の組織側から一人が儀式の舵を取り。
八咫烏から【適正者】が一人、生贄ではなく儀式を止めるための戦力として送り込まれる形になったんだ。
「だが今回、やつらも事を急いだのかサクヤちゃんと、未成熟なヤマトをおびき出されてしまったのじゃ。 2人には本当に申し訳ないと思っておる」
俺では思いつかないような思惑が、組織間では渦巻いているんだな……。
「これが事件の繋がりと、儀式の目的じゃ。 今日はここまでにして、分からない事があったら明日にでもまた聞きに来なさい」
疲れたから、次の日にでも簡単に内容をまとめるか。
今日はもう寝よう。




